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「………ふにゃ?。ここ、どこ?。」
大助が目を覚ますと、暗くゴツゴツした岩肌が見えた。
「起きたみたいだねぇ……。」
声がする方を見ると、ダグラスが焚き火の前で座っていた。
向かい側にはマルタが丸まって寝ている。
クロウの姿は見えない。
「ここ、どこ?。」
大助は再度、質問した。
「見ての通り洞窟じゃ。」
ダグラスはそう言いながら、大助にカップを差し出した。
カップからは湯気が立ち上っている。
大助は身体を起こすとカップを受け取った。
「一角ウサギのスープじゃ。暖まるぞ。」
大助は一口飲んでみた。
細かくなった肉と香草らしきものが入っていて、優しい味だった。
大助は黙って飲み続けた。
「………何故殺さなかった。」
ダグラスが大助を見ながら言う。
「覚悟したのではなかったか?。」
「………………。」
大助はスープを一気に飲み干すとカップを見つめた。焚き火にくべられた小枝がパチッと音をたてる。
「………覚悟はしたよ。」
大助はカップを見つめたままポツリと言った。
「邪魔をする奴や殺そうとする奴は、ぶっ殺す。………だけど、さっきのスノードラゴンは違うから。」
「違う?。」
大助の言葉にダグラスは思わず大助を睨み付けた。
大助はカップからダグラスに視線を移し続けた。
「あのスノードラゴンは、もう弱ってた。………それに月石が手に入れば、殺さなくてもいいはずだろ?。」
大助の問いにダグラスはため息をついた。
「お主は甘い。」
ダグラスは大助を見つめながら言う。
「もし、あの瞬間、あやつが最期の足掻きを見せたら………わしらは死んでたぞ。」
「………ごめんなさい。」
大助は素直に謝った。
「だけど、こうしてここにいるって事は、無事に済んだって事だよね?。」
大助のその問いに、ダグラスは苦い顔をした。
「あの後、気絶したお主を引き摺り、この洞窟に避難したんじゃ。………後の事はクロウに任せてな。」
「後の事って………まさかっ!!。」
大助はダグラスの言葉に慌てて立ち上がり、洞窟の外に飛び出した。
そこには………
「お手っ!!。」
「ウギャッ!!。」
クロウの手に器用にお手をするスノードラゴンの姿があった。




