ー29ー
【で、だいちゃん、どうしたの?。】
歩き始めてすぐ、太刀がカタンと音をたてた。
【どうせ、だいちゃんの事だから、罪悪感とか感じてるんでしょ?。】
(っ!!)
大助は一瞬立ち止まって太刀を見た。
が、またすぐに歩き出した。
【あ、声に出さなくても、思ってくれれば伝わるから大丈夫♪。】
太刀はまたカタンと音をたてる。
(………………わかんないんだよ)
【???。何が?。】
(………さっき……魔物とはいえ…生き物を殺しただろ……)
【うん、殺したよ。】
(とっさだったし……死にたくなかったし……だけど……ゲームとは違くて……)
【現実に殺したら、罪悪感一杯って事?。】
(………………………)
【それってさ、綺麗事だよ。】
「なっ!!。」
思わず声が出て、大助は立ち止まった。
「何じゃ?。どうかしたか?。」
「な、何でもないです。」
ダグラスに声をかけられ、大助は慌てて歩き始める。
(綺麗事って………どうしてそんな言い方するんだよっ!!)
大助は怒りで顔が真っ赤だ。
【だって、だいちゃんは生きたかったから殺したんでしょ?。】
(だけど殺さなくても……どうにかなったかも知れないだろっ!!)
【ならないよ。】
カチンっと、今までと違う音を出した太刀。
【………だいちゃん、この世界は、私達がいた世界と違って、自分の身は自分で守らないと死んじゃうんだよ。】
(………………………)
大助は下を向いたまま歩き続けている。
【それに私達の世界でも、生きる為には肉や魚、野菜だって食べるでしょ?。それだって、命を奪ってる事に変わりはないよね。だけど、その度に罪悪感感じてられないでしょ?。】
(………わかってるよ………だけど)
【だけど?。】
「だけど、出来るなら殺すのは嫌だっ!!。」
大助はつい立ち止まって、大きな声を出した。
その声にクロウとマルタは足を止め、大助を見た。
ダグラスも首を伸ばして、大助の顔を覗き込んでいる。
「………………すいません、ごめんなさい。大丈夫です。」
大助は3人に謝り、また歩き出した。
ダグラスはゆっくり首を縮め、クロウとマルタは顔を見合わせ、また歩き出した。
【………わかったよ。】
太刀は寂しくカタンと音をたてた。
【だったら、私は必要ないだろうし、黙ってるから好きにすればいいよ。】
太刀は最後にカチンと音をたて、そのまま静かになった。
(俺の気持ちなんで………わかるわけないよ………)
大助はそう思いながらも、声に出さずに黙ったまま歩き続けた。




