ー27ー
「……見事に雪山だよね……寒っ!!。」
大助はあまりの寒さにブルッと震えながら呟いた。
大助達は今、ロハ山にいた。
ーロハ山
ミラ・ククルで2番目に高い山。
ブリザードドラゴン、スノードラゴン等が生息している。
頂上にある神殿に災いが封印されているとの噂がある。
「災いかぁ……師匠、それって本当ですか?。」
「…………モゴッ。」
大助は小脇に抱えたダグラスに聞いた……が、分厚い毛布でグルグル巻きにされたダグラスの声はくぐもった音にしか聞こえなかった。
あの後、同行拒否しか言わないダグラスをクロウが梱包し、大助が抱えたまま宿屋を出発したのだ……同行拒否の原因である僧侶を連れて。
「噂じゃこの大陸をひと飲みに出来る程の巨大な魔物らしいッス!!。そんな巨大な魔物、きっと大味で旨くないッスよね!!、ダイ様!!。」
そう言いながら、大助の周りをはしゃぎながら跳ねている兎族……、クロウの知人の弟子である僧侶のマルタ。
頭からスッポリとローブを被り、左手に短杖、背中にリュックを背負っている。
……フードからは、ウサミミがニョキッと生えている。
ローブのせいで顔はよく見えないが、左右3本ずつの髭は確認出来た。
(顔も兎なんかなぁ……)
大助はマルタを見ながらそんな風に思っていた。
「ダイ、マルタ。2人共、注意散漫ですよ。ここはもう魔物が出現するエリアなんです。気を抜くと、痛い目に遭いますよ。」
クロウは2人にそう言うと、ズンズンと山道を登っていく。
大助とマルタは慌てて後に続いた。
「…………モゴッ。」
勿論、ダグラスも一緒である。
30分位歩いただろうか。
不意にクロウが立ち止まった。
「……ダイ。最初はスライムが良かったのでしたよね?。」
「えっ?。えっと……?。」
言われている意味がよく判らなくて、戸惑っている大助を尻目に、クロウは剣を抜き構えた。
「3体は私が。ダイ、貴方は1体、お願いしますね。……来ますよ。」
クロウが 言うと同時に、目の前の雪の中から4体のスライムが飛び出てきた。
初めてこの世界に来た時に遭ったスライムとは違い青白い色をしている……スノースライムである。
飛び出てきた瞬間、1体はクロウの剣のひと振りで真っ二つになった。
「えっ……お、俺っ!?。」
【だいちゃんっ!!抜いてっ!!。】
カタカタという音に、大助は慌てて太刀を抜いた。
目の前にスノースライムが1体。
大助に向かって飛びかかってきた。
「うわっ!!ち、ちょっと待ってよっ!!。」
大助は急いで後退った。
寸での所でスノースライムの体当たりをかわす。
「ダイ、真っ直ぐスライムを見て両手で構えなさい。」
クロウの冷静な声が響く。
「そ、そんな事言われてもっ!!。」
【だいちゃん……大丈夫だよ。】
焦る大助に太刀がカタンと音を音を発てる。
【だいちゃんの大好きな漫画の主人公みたいにさ。サユリを振ってみてよ。サユリを信じてさ♪。】
「サユリ……、わかった。頼むよ!!。」
大助は子供の頃から大好きな漫画の主人公の刀の構えを真似て、スノースライムを見据えた。
スノースライムは再度、大助に飛びかかってきた。
「……今だっ!! 。」
【了解っ!!。】
大助が勢いよく太刀を振るうと、太刀はスノースライムの身体を真っ二つに切り裂いた。
……大助は初めて魔物を斬った。
それはまるでバターを切るような感触だった。




