ー23ー
「これは……ドアですよね?」
大助は自分の背丈位の高さのあるドアを見ながら言った。
「うん。これは【転送の扉】だよ。この扉はミラ・ククルに……魔大陸に繋がってるんだ。」
魔王は爽やかな笑顔のまま、そう説明した。
ーミラ・ククルー
魔王城より北に位置する魔族と魔物の大陸。
雪原や氷山が多い。
魔王の管轄地。
「最初の大陸が魔族と魔物とか……俺に死ねと?。」
大助は魔王に向かって怒りの口調で言った。
「とんでもない!!。」
魔王は顔の前で両手を降り否定した。
「ダイ……お主が怒るのも判るが、ミラ・ククルはこやつの管轄地じゃ。何処よりも危険が少ない。まして、その装備なら尚更じゃ。」
ダグラスはそう言って、大助の腕をチョンチョンと叩いた。
大助の装備は先程までのポロシャツ&ジーンズと違い、黒のインナーの上に赤黒い縁のある黒の胸当て・肘当て・膝当て・ブーツである。
左腕にはダグラスから貰った甲羅の盾をバックラー代わりに嵌め、腰には太刀を下げている。
その上から黒いフード付のロングコートを羽織った状態である。
「魔王部隊の装備ですから、他の魔族から攻撃される事は少ないです。その装備をしている以上、清廉実直でいて下さいね。」
クロウの鋭い視線が大助に刺さる。
「……わかりました。」
大助は修練場での一件もあり、何となく気まずい気持ちで答えた。
「この扉は一方通行だから。帰りはドラムにいるラジルに頼んで送ってもらってよ。……クロウ、ダイ達を頼んだよ。」
魔王はまるで買い物を頼むかの様に言うと、最後にクロウに向かって頭を下げた。
「御意。魔王様……私がいない間、公務を滞らせない様……お願い致します。」
大助に向けた視線より、更に鋭くした視線を魔王に向けるクロウ。
「は……はいっ!!。」
その視線にビビる魔王。
(魔王とクロウさんって…本当に親子みたいだなぁ)
2人のやりとりを見ながら、大助はそんな事を思った。
「それでは行くかの。」
ダグラスの言葉で、3人は扉の前に立った。
ーカチャ…ギギィ……
クロウが扉を引くと音を開いた。
扉の向こうは暗く、先が見えない。
クロウとダグラスは躊躇うことなく扉の向こうに進んで行った。
「ダイ。」
大助も2人を追いかけるように行こうとしたが、魔王に呼び止めれて足を止めた。
「この世界は、君のいた世界と違う。君の常識が通じない事もある。だから、自分の目と耳で判断して欲しい。……正しい事が必ずしも正義ではないから。」
魔王は今まで見た中で1番真剣な顔で大助にそう話した。
「……わかった、気をつけるよ。ありがとう。」
大助も神妙な顔で答えた。
魔王は何時もの爽やかな笑顔に戻って大助を送り出した。
「ダイ。いってらっしゃい。」
「……いってきます。」
大助も魔王に笑顔で答え、ダグラス達を追い、扉を向こうへ進んで行った。




