ー20ー
「……お主。」
ダグラスは呆れたような声を出し、魔王とクロウは無言で大助を見た。
「…………ごめんなさい。」
3人の視線が痛くて、大助は頭を下げた。
そんな大助に魔王は何でもないように答えた。
「そうだよ。僕は元勇者で今は魔王だよ。おかしいかな?。」
「えっと……何で?。」
「何でって……たまたま?。」
大助の問いに、首を捻りながら答える魔王。
「たまたまって……そんなもんなの?。」
「そんなもんだよ。」
「そんなもんじゃろ。」
「そんなもんです。」
大助が聞くと、魔王だけでなくダグラスやクロウもそう答えた。
それ以上は聞けない雰囲気を感じた大助は、仕方なく黙った。
「で、ダイが激弱で心配だから、クロウに先生として同行してやって欲しいんだよ。頼むよ、クロウ。」
魔王はクロウの方に向き直ると、そう言って顔の前に両手を合わせた。
「……魔王様。相変わらず貴方は甘いですね。」
クロウはそう言って暫く魔王を見ていたが、やがて深くため息をつき、大助の前まで来ると、ジッと大助の目を見つめた。
「あ……あのっ、お「黙りなさい。」……はい。」
大助はクロウの一言で黙った。
「「……………………。」」
暫くそのまま見つめあっていたが、やがてクロウが大助に問いた。
「貴方はどうしたいのですか?。」
「えっ、あのっ……家族の所に帰りたいです。」
大助はクロウの目に怯えながらもハッキリと言った。
「俺は……スライムより激弱で、剣はあるけど使い方がわからないです。魔法も師匠から珠を貰って使えるだけです。」
大助はそこで1度区切り、目を閉じた。
そして心を決めると、クロウの目をシッカリ見据えて続けた。
「俺はこの世界の事を何も知りません。1人では何も出来ません。だけど、どうしても家族の所に帰りたいです。この世界で死にたくないです。だから、俺が生きて帰れるように、クロウさんの力を貸して下さい。」
大助はそこまで言うと、膝をつき土下座した。
「クロウさん、お願いします!!」
「………帰りたいから力を貸せ……ですか。……自分勝手な願いですね。」
クロウの抑揚のない声に大助は硬直した。
「……しかし……。」
クロウはそう続けると、大助と同じ様に膝をつき、大助の手をとった。
「真っ直ぐで素直な願い。土下座されるのは久し振りですね…………魔王様以来です。」
クロウの言葉に大助は思わず顔をあげ魔王を見た。
魔王は顔を赤らめながら、ポリポリと顔を書いていた。
「ダイ。魔王様の命ではなく、貴方からの願い……このクロウ、お受け致します。」
そう告げたクロウの顔は、まるで母のような優しい笑顔だった。




