ー19ー
ーその人は美しい人だった。
長い黒髪。
切れ長の黒い瞳。
透けるような白い肌。
黒い鎧を着ているが体格は細く、背は160センチ前後。
鎧と揃いの兜を小脇に抱え、腰には黒い鞘の剣。
ゆっくりと、それでいて隙のない歩き方。
ー大助はその人に見惚れた。
「魔王様。人を指差すのは止めるよう、何度も注意しているはずです。それと、私は1兵士です。誤解を招くような言動は慎んで下さい。」
その人は玉座の前まで来ると、女性にしては少し低い声で魔王を咎めた。
「そうやっていつも僕を叱ってくれるのは君だけだ、クロウ。母も同然だよ。」
魔王はクロウに笑顔でそう言うと大助を見た。
「ダイ、紹介するよ。彼女はクロウ。君と同じ人族で、君の旅に同行する……うん、君の先生だ。」
魔王そこまで言うとクロウを見て言った。
「いいよね?、クロウ。」
「……魔王様、説明を要求します。」
「………メンドイんだけど。」
「…………魔王様。」
クロウはジト目で魔王を睨んだ。
「…………はぁ。わかったよ。」
魔王はクロウの視線に負け、事の経緯を話した。
その間、大助はダグラスに小声で疑問に思った事を聞いた。
「あの……ここ魔王城だよね?。何で人族がいるの?。」
「人族だけじゃない。獣族も妖精族もいるぞ。勿論、魔族もいる。」
「いや、だから何で?。」
「?。何でっていたいからじゃろう。」
「いたいからって……魔王って魔族とか魔物とか率いて世界征服とか、世界を破壊するとか……。」
「お主、前にもそんな事言っておったな。……お主にはあやつがそんな奴に見えるか?。」
ダグラスは顎で魔王を指した。
魔王は一生懸命クロウに説明している。
「……見えない。」
大助は魔王を見ながら呟いた。
「じゃろう。だからじゃ。」
ダグラスも魔王を見ながら呟いた。
「あんな魔王じゃから他族からも慕われ、わしも親友になれたのじゃ。……お主の言う魔王は、あやつが倒したのじゃ。」
「…………は?。」
大助はダグラスを見た。
「あやつ前の魔王を倒し、魔王になったのじゃ。」
「それって…………魔王って勇者なの!?。」
大助は思わず大声をあげた。




