ー15ー
ー今から1700年前、青き月に1人の若き亀族の男がいた。
名前はダグラス。
水魔法と棒術を得意とし、次期族長として周りから期待されていた。
しかし、当のダグラスはそんな事には興味がなく、暇さえあればお気に入りの岩の上で日向ぼっこをして過ごしていた。
その日も何時もと変わりなく作業を終え、何時も通りにお気に入りの岩の上で日向ぼっこをしていた。
ーそれは突然だった。
ウトウトとしていたダグラスを、何処からともなく発生した黒き霧が包んだ……。
次の瞬間、引っ張られるような感覚がし、不審に思いダグラスが目を開けると、そこは空だった。
ダグラスは青き月から堕ちていたのだった。
「…………いきなりじゃった。何故この世界に堕ちたのかも分からず、わしは途方にくれた。」
見知らぬ世界で頼る者もないダグラスは、青き月に帰る為に冒険者になり各地を旅して歩いた。
「わしは各地を回り、あらゆる文献や書物を調べた。生きるために魔物を狩り、様々な種族と交流を持って知識を得た……遺跡や迷宮で魔物や盗賊に襲われて生死の境をさ迷った事も1度や2度じゃない。」
ダグラスは4つの大陸を巡り帰る術を探した。
10年過ぎ、50年過ぎ、100年過ぎ……そうして700年が過ぎた。
この地で最近発見された古代遺跡の探索メンバーとして参加していたダグラスは、その時手に入れた古文書を解読し、遂に方法を見つけ出した。。
【異世界渡り】
月石の力を集め、空に3つの月が並ぶ時、力を解放すると異世界への扉が開く……赤き月石は激動の世界へ、青き月石は静寂の世界へ、そして白き月石は望みの世界へ。
ダグラスは白き月石を集め、自らの望みの世界、青き月に帰ろうとしていたのだった。
「……じゃが、わしは間違えたのじゃ。1つだけ青白い月石があったのは判っておったのじゃ。……1つぐらい大丈夫だと思ったのじゃ。」
ダグラスは目を閉じて俯いた。
「結果、他の異世界とを繋いでしまった。……お主をこの世界へ来させてしまったのは、わしのせいじゃ。…………すまなかった。」
ダグラスの独白を聞きながら、大助は別の事を思っていた。
(亀師匠って……ダグラスって名前だったんだ)




