ー10ー
今、大助と亀は大きな岩の前にいる。
あの後大助は、亀を掌に乗せ、自分がこの世界に来た時にトイレのドアと繋がっていた岩の所まで案内をすることになった。
道中、亀にこの世界の事を聞いてみたが難しくてよくわからなかったので、頭の中で簡単に整理しながら歩いた。
ーアルラファンー
この世界の名前。
人族・獣族・妖精族・魔族の4族が主な種族で、その中で細かく分類されているらしい。
動物の他に魔物もいる。
大陸は大きなものが4つと、その中心に小さな大陸が1つ。
空から見ると、十字架のような形になっているそうだ。
勿論、魔法も存在する。
基本は、火・水・風・木・土の5種類。
上位になると、炎・氷・雷・金属の4つを使えるようになる。
1人に1属性が多く、複数属性を持つ者は少ないらしい。[因みに亀は水属性のみ。]
(オーソドックスなRPGみたいだなぁ)
他にも色々聞いたのだが、大助の頭の中に残ったのはこれくらいだった。
「……で、お主はこの岩から出てきたんじゃな?。」
亀は大助の方を向きながら、そう聞いた。
「はい。トイレのドアから出たらこの場所にいて、ドアのあるはずの所にその岩がありました。」
大助は亀に敬語だ。
「もう少し岩に近づいてくれんかの。」
亀に頼まれた大助は、腕を前に伸ばし亀の顔が岩に着くぐらい近づけた。
亀は首を上下に揺らしながら岩の表面を確認していた。
「……うむ。やはりそうか。」
亀は振り返ると、大助を見つめた。
「帰るには帰れるが、まだ、その時ではないようじゃ。」
「は?。」
「今は封じられているが、お主の言うように扉があるのはわかる。」
亀はそう言うと、また岩の方を見た。
「しかし、月の力が足らなくて封じられておる。」
亀は空を見上げた。
空には3つの月が輝いている。
「えっと……いってる意味がよくわからないんですけど……。」
大助は亀と同じように空を見上げながら聞いた。
「どうやって月の力を集めるというか……足らす事が出来るんですか?。」
「自然に集まるのを待つか、月石を集めて補充するかじゃのう。」
「自然に集まるのを待つとしたら、どのくらいで集まりますか?。」
「そうさのう……あのくらいだと、300年くらいかのう。」
「はぁ?。」
その瞬間、大助は亀を見た。
亀はまだ空を見上げている。
「300年なんてそんな待ってらんないよ!。今すぐ帰りたいんだよ!!。」
大助は思わず亀に怒鳴ってしまった。
亀はジロリと大助を睨むと、フンと鼻で鳴いた。
「だったらさっさと月石を集めれば良いじゃろ。……自分1人で出来るのならな。」
(……自分……1人で?)
大助はハッとした。
考えてみたら、まず月石というものがどんなものかわからない。
また、集めるとしてもどこにあるのか、どう使うのかわからない。
魔物に襲われても戦う術もない。
(……無理だ)
大助は、自分1人ではどうにも出来ない事に気づいて俯き落ち込んだ。
亀はそんな大助を見ながら溜め息をついた。
「そんな顔をするな。わしが手伝ってやる。」
(!!)
大助は勢いよく顔を上げて亀を見た。
「……ホントに?。」
「本当じゃ。何なら魔法も教えてやろう。」
亀は得意そうな顔をして大助を見た。
「その代わり、わしの事を師匠と呼ぶように。」
こうして大助は、元の世界に戻る為に亀の弟子になった。




