【第325話:異世界で資格を取りに行く】
ロイが異世界の大地にたたきつけられた横で、白い羽の少女――ミリエルも同じように砂ぼこりをあげて転がった。
「いててて……ここが異世界なのね……。なんだか虫が多そう……やっぱり嫌……」
「いや、来るつもりなかったのに来たのお前だろ」
「ロイが渡るからよ。ついていったら安心かなって思ったの……。戻る方法? 知らないわ」
「知らねぇのかよ!!」
天然にもほどがある。
しかも、ふとミリエルが自分のお腹を押さえた。
「……ロイ、お腹がすいたわ」
「この状況で最初の言葉がそれ!?」
とはいえ、どちらも財布はからっぽである。
「しょうがない、冒険者ギルドに行くか。登録すれば依頼で稼げる」
「ギルドって何? 美味しいの?」
「食うな」
ロイは慣れた調子でギルドへ向かったが――
「冒険者登録には資格が必要です」
「資格!? いつからそんなハードル高くなった!?」
壁に貼られた案内には
“職業の館にて適正診断を受け、職業証明を取得すること”
と書かれている。
「……嘘くせぇな、この施設名」
「職業って……バイトみたいなもの?」
「まあ……そういう感じだ」
二人は半信半疑で“職業の館”へ向かった。
◆
中はやたらと神秘的な雰囲気で、ローブを着た男が迎えてくれる。
「ここではあなた方の内に眠る力を引き出し、“職業”を授けます。これが冒険者になるための資格です」
「ほう、そういうことか……よし、まず俺から頼む」
「はい。では目を閉じて、心を委ねてください……」
男の手に光が集まり、ロイの体を包む。
「おお……力が……湧いてくる……!」
「出ました」
男が紙を差し出す。
ロイは期待に胸を膨らませて読み上げた。
【職業:四十肩】
「おい。なんだこれは」
「あなたの内に眠る本質です」
「そんな本質いらんわ!!」
ステータス欄には
筋力:ひくい
敏捷:ひくい
耐久:ひくい
肩:とてもよわい
と書かれている。
「肩だけ明らかに悪意があるだろ!?」
「ロイ、四十肩って職業なの?」
ミリエルが純粋な目で覗き込んでくる。
「違うよ! 本当はもっと華やかな職業があるんだよ!」
ロイの怒りと悲しみをよそに、ミリエルが「じゃあ次は私ね」と前に出た。
男は同じように光を集め、ミリエルに職業を授ける。
「出ました」
ロイが覗き込む。
【職業:天使】
「おおぉぉい!! お前は本来の職業そのままかよ!」
「私、職業だったのね……?」
そしてステータス欄を見ると、
光:MAX
魅力:そこそこ
知:とてもひくい
「知が弱いって書くなよ!? 公式文書に直接書くな!!」
「だって覚えが悪いって言われがちだし……」
ミリエルはしょんぼりした。
「いや、お前が落ち込むな。事実だけど!」
こうして、
四十肩のロイと
知が弱い天使ミリエルは、
資格を手に再びギルドへ向かうことになった。
「……ロイ、肩いたそうね」
「お前の光ステータス少し分けてくれ」
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