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【第325話:異世界で資格を取りに行く】

ロイが異世界の大地にたたきつけられた横で、白い羽の少女――ミリエルも同じように砂ぼこりをあげて転がった。


「いててて……ここが異世界なのね……。なんだか虫が多そう……やっぱり嫌……」


「いや、来るつもりなかったのに来たのお前だろ」


「ロイが渡るからよ。ついていったら安心かなって思ったの……。戻る方法? 知らないわ」


「知らねぇのかよ!!」


 天然にもほどがある。


 しかも、ふとミリエルが自分のお腹を押さえた。


「……ロイ、お腹がすいたわ」


「この状況で最初の言葉がそれ!?」


 とはいえ、どちらも財布はからっぽである。


「しょうがない、冒険者ギルドに行くか。登録すれば依頼で稼げる」


「ギルドって何? 美味しいの?」


「食うな」


 ロイは慣れた調子でギルドへ向かったが――


「冒険者登録には資格が必要です」


「資格!? いつからそんなハードル高くなった!?」


 壁に貼られた案内には

“職業の館にて適正診断を受け、職業証明を取得すること”

と書かれている。


「……嘘くせぇな、この施設名」


「職業って……バイトみたいなもの?」


「まあ……そういう感じだ」


 二人は半信半疑で“職業の館”へ向かった。



 中はやたらと神秘的な雰囲気で、ローブを着た男が迎えてくれる。


「ここではあなた方の内に眠る力を引き出し、“職業”を授けます。これが冒険者になるための資格です」


「ほう、そういうことか……よし、まず俺から頼む」


「はい。では目を閉じて、心を委ねてください……」


 男の手に光が集まり、ロイの体を包む。


「おお……力が……湧いてくる……!」


「出ました」


 男が紙を差し出す。


 ロイは期待に胸を膨らませて読み上げた。


【職業:四十肩】


「おい。なんだこれは」


「あなたの内に眠る本質です」


「そんな本質いらんわ!!」


 ステータス欄には

筋力:ひくい

敏捷:ひくい

耐久:ひくい

肩:とてもよわい

と書かれている。


「肩だけ明らかに悪意があるだろ!?」


「ロイ、四十肩って職業なの?」

ミリエルが純粋な目で覗き込んでくる。


「違うよ! 本当はもっと華やかな職業があるんだよ!」


 ロイの怒りと悲しみをよそに、ミリエルが「じゃあ次は私ね」と前に出た。


 男は同じように光を集め、ミリエルに職業を授ける。


「出ました」


 ロイが覗き込む。


【職業:天使】


「おおぉぉい!! お前は本来の職業そのままかよ!」


「私、職業だったのね……?」


 そしてステータス欄を見ると、


光:MAX

魅力:そこそこ

知:とてもひくい


「知が弱いって書くなよ!? 公式文書に直接書くな!!」


「だって覚えが悪いって言われがちだし……」

ミリエルはしょんぼりした。


「いや、お前が落ち込むな。事実だけど!」


 こうして、

四十肩のロイと

知が弱い天使ミリエルは、


資格を手に再びギルドへ向かうことになった。


「……ロイ、肩いたそうね」


「お前の光ステータス少し分けてくれ」



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