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フラマンタスの刃13

 正面を阻むゾンビは、マグナスの剣によって一掃された。無論のこと他の教会戦士も頑張っていた。マグナス隊は隊長を先頭に臆することなく突き進んでいた。いくら板金鎧がゾンビの歯を通さないからと言っても、倍を超える通りに溢れ出たゾンビ目掛けて歩んで行き対処する胆力は見事だとフラマンタスを感心させた。

 これこそ教会戦士だ。

「周辺の掃討完了」

 マグナスの低い声が聴こえた。

「お前達は二人組になって家屋の内部を捜索せよ。一人、ルサイナ隊とバロウ隊の伝令に走れ。我、北地区鎮圧成功と」

 マグナスの配下はフラマンタス同様に重装の割りにきびきび動いて事に当たっていた。

 その黒衣のマグナスはジッとこちらを見据えながら歩んで来た。黒塗りの甲冑が鳴った。

「大きいな。マグナスだ」

「フラマンタスだ。こちらは協力者の傭兵コモド」

「知っている」

 マグナスはそう言った。

「知っているとは?」

 フラマンタスは思わず尋ねた。

「ギルバート神官長が私を含め主だった者に話してくれた。真紅の屍術師を討伐する任を与えられたそうじゃないか」

「ああ、その通りだ」

 フラマンタスは頷いた。そして鉄仮面越しに鉄仮面を見詰めた。

「ここへは何をしに?」

 フラマンタスは一つの疑念を覚えて尋ねた。

「この町の人間にオニキスの首飾りを渡そうと思っていたところだった」

 やはり。と、フラマンタスは確信した。

「真紅の屍術師は私を不安にさせたいらしい」

「ん? どういう意味だ?」

 マグナスが問う。

「不浄なる術から身を護るタリスマンを渡そうという動きに気付いたのだろう。東の町は無理だったがここは奴の邪法と気まぐれから逃れた町のはずだった。つまり、俺を疑心暗鬼にさせる玩具を取られるぐらいなら先に遊んでやると考えたのだろう」

「フラマンタス、お前が狙われているのは知っている。つまり、我々がオニキスの首飾り、いや、タリスマンを配る動きを見せなければここはもしかすれば平和のままだったと言いたいのか?」

 マグナスはあっという間に理解してくれた。その通りなのだ。

「私はそう考えている。ギルバート神官長にもそう伝えてもらえるとありがたい」

 マグナスは腕組みした。二メートル五十のフラマンタスよりも小さいが、マグナスも百八十ぐらいの背丈はあるだろう。手に持つ血の滴る十字剣は刃と鍔の左右が波打って伸びている物であった。

「分かった。そうしよう。できれば私も協力したいものだが」

「あまり大勢だと敵を刺激するかもしれない。敵が我々を斃せると思わせるぐらいの戦力で調整しないと、危険かもしれない。今回、見過ごされていたこの町が迎えた結末のように」

 フラマンタスが言うとマグナスは頷いた。

「そうなのかもしれないな。助勢出来ないのが心苦しい。無事に戻って来いよ」

 マグナスはそう言うと兵を指揮して町の向こうへと消えて行った。

 フラマンタスとコモドは歩き始めた。

 戻ってみると、ダニエルが剣でアネーリオの十字短剣と打ち合っていた。

「まだまだ、腰が甘いかな」

 ダニエルがそう言い、こちらに目を向けた。アネーリオ少年も振り返った。

「戻った」

「御無事のようですね」

 マリアンヌ姫が明るく微笑んで言った。

「教会戦士達の力を借りた。彼らはタリスマンを配ろうとしていた」

 フラマンタスが言うと聡明なマリアンヌ姫は状況を理解したように頷いた。

「遊べなくなるぐらいなら、先に壊してやる。という心積もりでしょうか」

「おそらく」

 フラマンタスは頷いた。

「で、この子どうすんのよ?」

 コモドが一同に尋ねた。

「教会戦士に預けて王都で然るべく保護をしてもらおう」

 フラマンタスが言うと少年は強くかぶりを振った。そして頑と強いまなざしを向けて声を上げた。

「俺は、マリアンヌお姉ちゃん達と行く! みんなの仇を取るんだ!」

「というわけなんですよ」

 ダニエルが弱りきった様子で応じた。

「戦い方なら、みんなのを見て覚える! 足手纏いにはならない!」

 少年の強い言葉にフラマンタスは冷静になって応じた。

「相手は手強い。それに大勢のゾンビと戦うことになるぞ」

「みんなが戦っている間に誰がお姉ちゃんを守る!? 俺が守る!」

「そりゃ、頼もしいね。少年、将来の夢は?」

 コモドが問うとアネーリオ少年は言った。

「教会戦士!」

「だ、そうです、先輩」

 コモドがフラマンタスを見て言った。

「俺っちの考えだけど、子供なら真紅の屍術師を欺けるかもしれないぜ。この少年がやる気なら、俺らで一流の戦士に育て上げれば良いんでない? 貴重な仲間を得るチャンスだぜ」

 そうして傭兵コモドは決定権はフラマンタスにあるというように視線を向けた。

 戦力は多い方が良い。コモドの言う通り、子供ならば真紅の屍術師も侮るかもしれない。それにこれもコモドの言う通りだが、旅の最中で私達で戦い方の指導に当たれば、良い戦士になれるだろう。

「アネーリオ君、君の手を借りよう。お姉さんをよろしく頼む」

 フラマンタスが言うとアネーリオ少年は飛び跳ねるかと思ったが、重々しい表情で頷いた。

「今度は死なせない」

 少年はそう呟いた。

「大丈夫か?」

 ダニエルが問う。

「うん、マリアンヌお姉ちゃんのことなら俺に任せてくれよ」

「頼もしいな」

 コモドが笑った。

 こうしてアネーリオ少年が加わり、フラマンタスは改めて東へ旅を進めることにしたのであった。

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