↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕の義妹(マイシスターインロー)は一親等。【長編小説】  作者: 金森 亮
第三章 アバンチュールと再会

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/19

第8話 アイムユアー実母

 僕はあまりに奇想天外なことを言う彼女に、半笑いになってしまった。


「ど、どうしたんだよ。急に嘘なんか並べちゃって……らしくないな」

「なら、お父さんに私・麻也に関する質問をしてみてください。そしたら十中八九答えられますから」


 僕は彼女の「このときを待っていた」と言わんばかりの自信に、狂気じみたなにかを感じていた。


「……どういうことだよ」

「私にもよく分かりませんが、この世界に帰ってきちゃったんです」


 彼女は有耶無耶な回答を続ける。僕がこんなSFじみた話を信じるわけがなかった。


「信じない……。僕は絶対に信じないから」

「では、兼平麻也の趣味、二人の出会った場所、駿さんの出産予定日、結婚式の候補地に挙げていた場所、これらをお父さんに聞いてみてください」

「……分かった」


 僕は黙ってスマホを取り出すと、即座に父親に電話をかけた。そして、「小雪ちゃんには何も言っていない」と言う父の言質をとりつつ、彼女の言った母親の情報を入手した。


「時間がもったいないですし、観覧車の列に並びながら答えましょうか」

「あぁ……」


 そうして、彼女は僕の瞳だけを見つめ、僕に自信のほどを見せつけてきた。


「じゃ、じゃあ母の趣味は?」

「一人旅です」

「ふ、二人の出会った場所は?」

「コンビニでバイトしているときでしたね」

「僕の出産予定日……」

「5月6日。だけど実際は5月18日になりましたね」

「結婚式の……」

「羽田空港。実際はお高級なホテルでしたが」

「じゃ、じゃあプロポーズの場所は」

「横浜、みなとみらいですね。どうですか?」

「……合っているよ。全部合っている」


 彼女の自信は果たして本物だったようで、一問も淀みなく答えきった。


 僕は彼女の顔をまじまじと見つめた。肉体は違えど、遺影でしか見たことのない母が、眼前でにこやかに笑みを浮かべているのだから……。


「これで分かってもらえましたか?」


 彼女は笑みを崩さずにそう問うてきた。


「分かったけど、分からない……」

「次期に教えますよ。私・兼平麻也がこの世界に戻ってきた理由を」


 そうこう話している間に、僕らは列の先頭までやって来ていた。


「……ですが、一つだけお願いがあるんです」


 乗り込む直前、彼女は僕の前で直立して、背を向けながらそう言った。


「なんだよ……?」

「私をこれからも義妹として扱ってほしいんです」

「それまたなんでだ?」

「昔と身体が違ければ、性格も異なっています。前の記憶を引き継いだ、ただの一般高校生なんです」

「それは……そうかもしれないけどさ」


 そうして、彼女は係員に従って徐に観覧車へと乗り込んでいった。反射に映る彼女の顔は、どこか儚い様子が滲んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。