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伏魔の恵  作者: 水前寺鯉太郎


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桜下の誓いと、集いし覇者たち

第78話:桜下の誓いと、集いし覇者たち

 玄人の家のほど近くに、春になると桜が乱れ咲く美しく静かな丘があった。

 満開の桜吹雪が舞い散る木々の下で、意気投合した徳田玄人、関山長助、張山翼の三人は、なみなみと満たされた酒杯を互いに掲げ、熱く深く酌み交わした。

「我ら三人、生まれし日、時は違えども、望むは同じ『天下の平穏と民の救済』! 願わくは同年同月同日において死せんことを!」

 桜の下で交わされた熱き義兄弟の契り――。

 血の繋がりを超えた「義」で結ばれた三人はすぐさま立ち上がり、徳田の持つ第1皇帝の血脈と大義のもと、志を同じくする民や若者たちを募って「義勇軍」を結成したのだった。

 一方、都から東に位置する一大拠点・東州街。

 そこには、圧倒的な知略と果断さで街を治め、人々に畏怖と敬愛を抱かせる気高き女名士――武田操(たけだ みさお)がいた。

 彼女の元にも、遠藤紹平からの『反菫山檄文』が届けられていた。

 書状を一読し、不敵で凛とした笑みを浮かべる武田操。

「菫山卓……傀儡の帝を立てて都を荒らす野蛮な豚め。時代を動かすのは、あのような愚物ではない」

 操はすぐさま、信頼する従兄弟であり一騎当千の将である夏山淳(なつやま じゅん)と夏山敏郎(なつやま としろう)の二人を呼び寄せた。

「淳、敏郎! 我らの精鋭を率いる時が来たわ。あの愚かな反乱を叩き潰し、新たな時代をこの手に引き寄せるわよ!」

「はッ! 操様の仰せのままに!」

 夏山兄弟の勇猛なる号令のもと、漆黒の甲冑を纏った「武田軍」の精鋭たちが怒濤の勢いで結集していく。

 そして――湖水郷の地で、朝廷への反攻の機会を伺っていた恵太の元にも、ついに遠藤紹平からの『反菫山檄文』が届く。

「……来たか。全土の諸侯と英傑たちが、菫山卓を倒すために動き出した!」

 手に握りしめた檄文と、胸に秘めた『伏魔殿の鍵』。

 恵太と九十数名の頭領、湖水郷の源田三兄弟や正田貞三、徳田らの義勇軍、そして武田操率いる覇道の軍勢――すべての運命の糸が、暴王・菫山卓を討ち果たす「反菫山連合」の決戦の地へと手繰り寄せられていくのだった。

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