暗黒の傀儡と、広がる影
第75話:暗黒の傀儡と、広がる影
高田修司を凄惨な酒宴の中で殺害し、朝廷の頂点へと躍り出た覇王・菫山卓。
その暴政は、都の破壊だけに留まらなかった。
菫山は権力を盤石なものとするため、自らの耳目となり手先となる「宦官」どもを重用。
さらに、自身の意に沿わない正義感の強い第8皇帝を冷酷に追放すると、何ひとつ抗えない幼き「第9皇帝」を傀儡として玉座へ擁立したのだ。
「フハハハッ! 帝など、俺の書状に印を押すだけの飾りよ!」
幼い皇帝を盾に取り、朝廷の絶対権力を完全に手中に収めた菫山卓。
その勢力は、都の壁を越えて怒濤の勢いで拡大していく。
精鋭の兵と苛烈な力をもって、都の周辺都市を次々と侵略・鎮圧。
逃げ惑う民の悲鳴と燃え上がる炎とともに、かつて国家と呼ばれた大地は、瞬く間に「菫山卓の暗黒帝国」へと塗り替えられていった。
服部先生と奥田先生の宿屋で、段影住の口から語られる絶望的な情勢。
恵太や智也、そして湖水郷の源田三兄弟や正田貞三たちの表情が、重く引き締まる。
「第8皇帝の追放……幼い第9皇帝の擁立……。菫山卓は、この国そのものを自分の私物にしたんだ」
手の中にある『伏魔殿の鍵』を見つめる恵太。
朝廷の暴政に苦しむ民を置き去りにして、自分たちだけが元の世界へ逃げ出すことなど、もはやできるはずもなかった。
「智也……行こう。都を、そしてこの国をあの悪魔から取り戻すために!」
九十数名となった葦ヶ原の頭領たちと、湖水郷の新たなる英傑たち。
暴王・菫山卓の暗黒支配を打ち破るための、最大にして最後の「反乱同盟」が、静かに立ち上がったのだった。




