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伏魔の恵  作者: 水前寺鯉太郎


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追放された横綱

第73話:追放された横綱

 朝廷による過酷な搾取に怒りを爆発させる湖水郷の地。

 そこには、源田三兄弟以外にも、朝廷に対して並々ならぬ怨念をたぎらせる「一人の怪物」が身を潜めていた。

 巨大な巨躯と、岩石のような筋肉。

 かつて朝廷お抱えの力士として土俵に君臨し、無敗を誇った元・横綱――正田貞三(しょうだ ていぞう)である。

「八百長……だと? この俺が、八百長などという卑怯な真似をするわけがなかろうがッ!」

 正田の胸を焦がしていたのは、朝廷の上層部から突きつけられた理不尽極まりない言いがかりであった。

 あまりの強さゆえに朝廷の官兵や贔屓筋の面目を潰された正田は、でっちあげの八百長疑惑を覆せぬまま、横綱の地位を剥奪され、追放処分とされていたのだ。

 土俵での誇りを踏みにじられ、路頭に迷わされた正田の前に、湖水郷の漁師たちを味方につけた恵太たち葦ヶ原軍が現れる。

「元・横綱の正田さん……! 僕たちと一緒に、あの腐った朝廷と戦ってくれませんか!」

 恵太のまっすぐな眼光と、仲間たちが背負う覚悟。

 正田貞三は太い腕を組み、地鳴りのような重厚な笑みを浮かべた。

「フン……面白い。相撲の技を愚弄し、俺の誇りを奪った朝廷の奴らに、本物の『張り手』と『ぶちかまし』を叩き込んでやる刻が来たようだな!」

 朝廷に捨てられた最強の力士・正田貞三。

 彼の加入により、葦ヶ原軍は朝廷の重装歩兵や要塞すら粉砕する、圧倒的な「肉体兵器」を手に入れたのだった。

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