漆黒の要塞と、鳴り響く突撃ラッパ
第67話:漆黒の要塞と、鳴り響く突撃ラッパ
戦場をジャングルから『南霧郷の市街地』へと引きずり込み、反撃の口火を切った葦ヶ原軍。
しかし――大葉率いる紅巾軍の真の恐ろしさは、街の内部へ入ってから遺憾なく発揮されることとなった。
大葉軍は、市街地に建ち並ぶ頑丈な石造りの建造物を即座に要塞化。さらに複雑に入り組んだ「地下道」を密かに張り巡らせ、徹底的な陣地防御と泥沼の持久戦を展開してきたのだ。
「くそっ! 建物の中に罠が仕掛けられている! 踏み込めないぞ!」
「地下から敵が出てきた! どこだ、どこに抜け道があるんだ!?」
分厚い壁と狭間から放たれる無音の弩弾。
壁一枚隔てた暗闇から突如として現れ、襲いかかっては地下道へと消えていく紅巾兵たち。
関口の大薙刀も、武藤の拳も、厚い石壁と迷宮のような地下道の前には阻まざるを得なかった。
そして――困惑する葦ヶ原軍をさらなる心理的恐怖の底へと叩き落としたのは、市街地の廃墟に響き渡る音であった。
――パーーープーーッ!! パパラパーーッ!!
「な、なんだ……!? この音は……!?」
夜の闇と石造りの空洞に反響する、高らかで不気味な『突撃ラッパ』の音。
どこから聞こえてくるかも分からないその甲高い響きは、兵たちの神経をズタズタに引き裂いていく。
「また来るぞ……! どこから出た!? 上か、後ろか、足元か!?」
ラッパの音が鳴るたび、暗闇のどこかから放たれる弩弾と夜襲。
コンクリートの要塞と地下道、そして精神を削り取る突撃ラッパの心理戦――大葉の仕掛けた死の迷宮の中で、葦ヶ原軍は再び極限の恐怖へと追い詰められていくのだった。




