↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伏魔の恵  作者: 水前寺鯉太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/78

居場所を賭けた夜襲

第64話:居場所を賭けた夜襲

 雨と濃霧が覆い尽くす南霧郷の夜。

 マラリアと敵の奇襲でボロボロになった葦ヶ原軍の陣営に、忍び寄る影があった。

 大葉の側近として絶大な信頼を寄せられる少年――石田宝(いしだ たから)である。

 元の世界での石田は、学校に馴染めず部屋に引きこもりがちな二年生だった。

 勇気を振り絞って参加した林間学校で、クラスメイトたちから投げかけられた心ない酷評。

『学校にも来ないくせに、林間学校の時だけ来んなよな』

『ハブられて当然だろ、アイツ』

 クラス中に嘲笑され、絶望の縁にいた石田を暗闇から救い出したのが、革命を掲げる大葉であった。

 大葉は石田の孤独を否定せず、その手をとって「お前の居場所はここにある」と居場所を与えてくれたのだ。

(大葉さんは……僕を人間扱いしてくれた。僕に生きる意味をくれたんだ……!)

 石田にとって、大葉の作る「誰もが平等な世界」こそが唯一の希望であり、大葉への心酔は己の存在理由そのものであった。

(あの葦ヶ原の連中……あいつらも学校の『リア充』どもと同じだ! 大葉さんの理想を邪魔させるものかッ!)

 暗闇の中、憎悪と忠誠に瞳をギラつかせた石田が、無音の弩を構えて手勢に手信号を送る。

 ――シュシュシュッ!!

 静寂を切り裂き、葦ヶ原軍の無警戒な幕舎へ注がれる黒い矢の雨。

「敵襲ぅぅッ! 夜襲だッ!!」

 悲鳴と怒号が夜の湿地帯に響き渡る。

 マラリアで傷つき倒れかけた仲間たちへ、自分の居場所を賭けた石田宝の凄惨な決死行動が襲いかかったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。