108星、集結する
第56話:108星、集結する
空を切り裂く二つの風切り音。
大田道灌の放った音速の直線弾に対し、青山燕の放った小石は美しい弧を描き、空中での衝突を経て大田の急所へと寸前でピタリと止まった。
「……僕の勝ちだね、大田くん」
「……見事です。僕の計算を遥かに超えていた」
石投げ対決は青山燕の勝利に終わり、大田道灌は晴れやかな顔で服従を誓ったのだった。
二府攻略戦は、先に東鳳府を陥落させていた恵太チームの勝利となった。
盧山俊太郎をはじめ、108人すべての頭領たちが恵太の前にひざまずき、満場一致で恵太が「葦ヶ原砦の正式なる総首領」の座へと就いた。
東鳳府の青木草平、そして東雲府の大田道灌が加わったことで、ついに葦ヶ原の頭領は『百八人』へと達していた。
首領となった恵太は、ただちに大規模な式典の開催を宣言する。
それは勝利の宴ではなく――初代首領・長谷川蓋人先輩をはじめ、これまでの熾烈な戦いで命を落としていった全ての仲間たちを悼むための「大規模な供養式典」であった。
静寂と祈りに包まれる式典の最中、突如として夜空が昼のように眩しく弾けた。
――ズドォォォォンッ!!
天より巨大な火の玉が猛然と降り注ぎ、地鳴りのような轟音とともに山の南の地へと落下した。
恵太たちが煙の巻き上がる落下現場へと駆けつけると、そこには妖しい燐光を放つ巨大な「古代の石碑」が鎮座していた。
智也と公文が石碑に刻まれた古代文字を解読すると、その表情が激しく変貌する。
「これは……恵太、僕たち百八人の頭領の真の名と、それに対応する『魔星』の名が刻まれている……!」
『天魁星・恵太』を筆頭に、ずらりと並ぶ百八の頭領たちの名。
あの日、龍隠山の伏魔殿から解き放たれた百八の魔星たちは、運命の糸に手繰り寄せられ、この異世界の地にいま完璧なる集結を果たしたのだった。
第一部、完




