↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伏魔の恵  作者: 水前寺鯉太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/78

秘めたる不満と、プライドのつぶて

第55話:秘めたる不満と、プライドのつぶて

「――大田くん。君は本当に、今の朝廷のやり方に満足しているのかい?」

 煙幕と対峙する陣前で、智也の静かな問いかけが大田道灌の耳に届く。

 大田の眉根が一瞬、かすかに跳ねた。

 築城の天才であり、頭脳明晰な大田は、とっくに気づいていたのだ。民を搾取し、保身と権力に走る朝廷の腐敗した現実を。

 自分のような1年生の技術すら利用するだけ利用し、捨て駒のように扱う上層部への不満と怒りを、大田は冷たい仮面の下にずっと隠し続けていた。

(……分かっている。こんな朝廷に義などないことくらい……!)

 心の揺らぎを打ち消すように、大田は手の中の小石を強く握り締める。

 そこへ、智也の背後から軽やかな足取りで一人の少年が歩み出た。盧山俊太郎の忠僕・青山燕である。

「大田くん。君の石投げは凄い。だけど、朝廷の言いなりになって投げる石に、本当のプライドはあるのかな?」

 燕はポケットから、手頃な小石をひとつ取り出し、指先で器用に弄んでみせた。

「言葉で議論するのはやめよう。……僕と君の『石投げ』で決着をつけないか?」

「……僕の弾道とスピードに、石投げで挑むと言うんですか」

「僕が勝ったら、君のその頭脳と石を、僕たちの『正義』のために貸してもらう。……どうだい?」

 大田の瞳に、初めて狂暴なまでの闘志と情熱の火が灯る。

 朝廷の兵としてではなく、一人の「石切り・投石の表現者」として。

「面白い……! 盧山の側近・青山燕、僕の石を撃ち落とせるものなら撃ち落としてみてくださいッ!」

 二人の天才が、同時に小石を構える。

 東雲府の戦場全体が静まり返り、息をのむ「音速のつぶて対決」の火蓋が切り落とされたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。