智也の閃きと、授けられた秘策
第54話:智也の閃きと、授けられた秘策
「……やあ、盧山くん。随分と派手にやられているみたいだね」
東鳳府の青木草平を味方に引き入れ、勢いに乗る恵太たちが東雲府の戦場へと到着した。
盧山隊の猛者たちが全滅し、國府田が鼻を押さえてうめき、服部先生と奥田先生が落とし穴の底から顔を出している惨状に、智也は呆れつつも感心の息を漏らす。
「見事なものだな。地形を計算し尽くした罠の配置……そして、あの1年生の投石の初速と精度。正面から挑めば、関口さんや宗一郎ですら餌食になる」
敵ながら大田道灌の異能を高く評価する智也。だが、その瞳にはすでに「攻略の糸口」が冷ややかに光っていた。
(武力で勝てないのなら、彼の『計算』そのものを狂わせればいい)
智也は即座に一計を案じると、盧山俊太郎の忠僕であり、身軽さと弓・投石の天賦の才を持つ青山燕を静かに手招きした。
「燕くん、耳を貸してくれ。大田くんの石投げは『視界と予測』に全面的に依存している。……君にしかできない役目だ」
智也から耳元で策を授けられた青山燕の顔に、ニッと不敵な笑みが浮かぶ。
「任せてください、智也さん。主人の借りは、僕が必ず返します!」
大田道灌の誇る「絶対不可侵の要塞と石弾」を打ち破るべく、知恵者・智也と天才・青山燕による極秘の罠外し作戦が、静かに始動したのだった。




