果たされた仇討ちと、二府攻略の競射
第51話:果たされた仇討ちと、二府攻略の競射
長谷川蓋人先輩の死から、三ヶ月。
盧山俊太郎や関口勝といった頼もしい仲間を傘下に加えた葦ヶ原軍は、ついに因縁の敵――『北狄村』へ再び大規模な軍勢を率いて侵攻を開始した。
「今度こそ、長谷川先輩の無念を晴らす……! 全軍、出撃だッ!」
悲しみを糧に成長した葦ヶ原軍の決死の反撃。
怒涛の進撃の末、北狄村の防衛網はことごとく破られ、ついに長谷川の命を奪った神弓の宿敵・史野恭弥が追いつめられた。
圧倒的な弓術で抵抗する史野だったが、その前に立ち塞がったのは、新たに加わった大商人にして無双の武芸者・盧山俊太郎であった。
「長谷川殿の命を奪ったその罪、己の命で贖うがいい!」
盧山の放った凄まじい一閃が史野の弓を叩き割り、その胸元を深々と貫く。
激闘の末、北狄村は完全に滅亡し、ついに長谷川先輩の無念は果たされたのだった。
砦へと帰還した後、恵太は清々しい顔で決断を口にする。
「長谷川先輩の遺言通り、史野を討ち取った盧山に首領の座を譲りたい」
しかし――真っ先に首を横に振ったのは、当の盧山俊太郎本人であった。
「待ってくれ、恵太くん。私が首領になるなど滅相もない。108の魔星たちを今日まで束ね、ここまで導いてきたのは君の人徳と指導力だ。皆も同じ思いのはずだ!」
「そうだ! 恵太が首領じゃなきゃ嫌だ!」「俺たちが付いてきたのは恵太だ!」
智也をはじめ、宗一郎、武藤、大八ら全員が盧山の言葉に激しく頷く。
一歩も引かぬ恵太と、頑なに固辞する盧山。見かねた軍師・智也が笑みを浮かべながら両者の間に割って入った。
「ふたりとも、そこまで言うなら『勝負』で決めようじゃないか。折しも、朝廷の拠点である『東鳳府』と『東雲府』の二つの城が我らを狙っている。恵太と盧山、二手に分かれてそれぞれの城を攻略し、先に落とした方を真の総首領とする……これでどうだい?」
「望むところだ!」「良い提案だ、智也くん!」
亡き長谷川の遺言と、仲間たちの想い。
葦ヶ原砦の「真の総首領」の座を懸けた、恵太と盧山による競射のごとき二府同時攻略戦が、いま幕を開けたのだった。




