断ち切られた回路と、天より降る紫電
第44話:断ち切られた回路と、天より降る紫電
「……ここだ。両親の無念、ここで晴らしてやる……!」
不気味な歯車と高圧の雷気が渦巻く、からくり城の中枢制御室。
天井裏から影のように降り立った時田潜は、両親を改造した悪魔の機械――五千体のからくり兵を一括制御する「核」の前に立っていた。
時田は躊躇することなく、身軽な躍動から懐の短刀と鋼線を中央の主歯車と高圧の起電配線へ叩き込んだ!
――バチチチッ!!
激しいスパークと黒煙が巻き起こり、からくり城全体が大きく振動する。
その瞬間、城外の平原を埋め尽くしていた五千体のからくり兵が一斉に動作を停止。不気味な異音を立ててその場に硬直した。
「なっ……!? からくり兵の制御が途切れただと……!? どこだ、どこで回路が断ち切られたッ!?」
城壁の上で高田廉が金切り声を上げて狼狽する。
その絶好の機を、陣内で待ち構えていた軍師・智也と公文勝也が見逃すはずはなかった。
「今だ、公文! 制御を失ったカラクリ兵は大気の起電力に無防備だ!」
「分かっているよ、智也。……時田くん、良い仕事をしてくれたね」
公文は両手に掲げた八卦の符鏡を天へと突き出し、気象学と電磁気学の極致たる理を叫んだ。
「大気中の電位差を固定……荷電粒子を集束! 喰らいなさい――『五雷天心正法』ッ!!」
ドカァァァンッ!!
漆黒の空から、巨大な紫電の束と超高圧の暴風陣が落とされた!
制御を失い硬直していた五千体のからくり兵へ、公文の科学雷撃が直撃する。
内部の精密回路と歯車は過電流で次々と焼き切られ、爆発の連鎖を起こしながら、五千の機械軍団は一瞬にしてただの「鉄くずの山」へと変わり果てた。
「バ……バカなァァァッ!! 我が誇りの五千のからくり兵がァァッ!?」
絶叫する高田廉。
そして側面で長谷川蓋人と激闘を繰り広げていた「双鞭」の國府田延晴も、眼前で起きた凄まじい大逆転劇と、からくり兵の惨状に息を呑んだ。
「正面のカラクリ兵が……全滅だと……!?」
「國府田! 勝負は決した! これ以上、朝廷の傀儡となって無駄な血を流すな!」
長谷川の大鉄棒が國府田の双鞭を力任せに弾き飛ばし、その喉元へピタリと突きつけられた。
時田の執念、公文の知性、そして長谷川の誇り。108の魔星たちの絆が、絶体絶命の死線を完璧な大勝利へと塗り替えた瞬間だった。




