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伏魔の恵  作者: 水前寺鯉太郎


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球児たちの再会と、激突の双鞭

第43話:球児たちの再会と、激突の双鞭

 双鞭(そうべん)を狂おしく振り回し、葦ヶ原軍の側面を粉砕せんとする國府田延晴。

 その圧倒的な質量の暴力の前に陣形が崩れかけた――まさにその瞬間、重厚な鉄のぶつかり合う音が轟いた。

「そこまでだ……國府田ッ!」

 側面へとなだれ込んだのは、葦ヶ原砦の総首領・長谷川蓋人(はせがわ がいと)率いる精鋭の手勢であった。

 長谷川が掲げた大鉄棒が、國府田の放った双鞭の一撃を正面から完璧に受け止めて弾き返す。衝撃波で周囲の木々が激しく揺れた。

「……長谷川先輩!? なぜ、あんたが野盗どもの頭を張っているんだ!」

 國府田の眼光が驚愕に揺れる。

 二人は元の世界、同じ地区でしのぎを削り合った「野球部」の強者同士だったのだ。

 甲子園を目指し、泥に塗れて白球を追いかけたかつてのライバル。

「不条理な現実に抗うためだ、國府田。俺たちは悪党になることを選んだのではない。虐げられた仲間を守るために、ここに立っている!」

「ふざけるな! 朝廷の法を破り、賊に落ちた者にどんな大義があろうか! 先輩だろうと、白球を叩き込んでいたあの頃のように……容赦はせんぞッ!」

 白球を打棒に変え、異世界の戦場(グラウンド)で火花を散らす二人。

 重圧を放つ國府田の双鞭と、揺るぎなき信念を宿した長谷川の大鉄棒が激突し、側面の戦場は一瞬にして二人の「男の意地を賭けた一騎打ち」へと変貌を遂げたのだった。

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