憎悪の潜入者と、からくり城の罠
第40話:憎悪の潜入者と、からくり城の罠
高田廉からの挑発に応じ、葦ヶ原砦を出陣した恵太率いる葦ヶ原軍。
彼らが目指すのは、不気味な鉄の匂いと煙を吐き出す高田の本拠地――高嵐州に築かれた『からくり城』であった。
大軍が進軍を続ける中、その陰に紛れるように城下へと先回りする一人の少年がいた。
名を、時田潜。
元の世界では身軽さと軽業を得意としていた時田だったが、この異世界で彼を突き動かしていたのは、胸を焼くような深い「憎悪」であった。
(高田……! 許さねぇ……絶対に許さねぇぞ……ッ!)
時田の優しかった両親は、高田廉の冷酷な実験によって意思を奪われ、肉体を鉄とギヤで切り刻まれた「からくり兵(傀儡)」へと改造されて殺されてしまったのだ。
城の周囲は、不気味な異音を立てて巡回する無数のからくり兵と、高田の張り巡らせた妖術の結界で覆われている。普通の兵であれば、近づくことすら叶わず切り刻まれる殺戮の要塞。
だが、時田は猫のようにしなやかな身体能力と、両親の仇を討つという執念だけで、死角となる断崖絶壁を垂直に登り詰めていく。
「お父さん、お母さん……見ててくれ。あいつの城を内側からぐちゃぐちゃにしてやる」
闇に紛れ、警備のからくり兵の隙を縫って、時田は城の通気口から内部へと滑り込んだ。
狙うは、からくり兵たちを一括制御している「中枢のカラクリ動力室」、そして高田の妖術を増幅している「結界の核」。
葦ヶ原軍の本体が到着する前に、少年による決死の「内応・破壊工作」が、静かに始まったのだった。




