薙刀の少女と、高田廉からの挑戦状
第37話:薙刀の少女と、高田廉からの挑戦状
万願寺の落城に伴い、厳門寺で捕らえられた美しき女武者の身元が判明した。
彼女の正体は――元の世界で中学1年生の薙刀部に所属していた後輩、富樫かなみだった。
「先輩……! 私、異世界に飛ばされてどうしたらいいか分からなくて……厳門寺の人たちに言われるがまま戦っていました……」
「無事でよかった、富樫さん。もう大丈夫だ、これからは俺たちと一緒に葦ヶ原で暮らそう」
恵太や宗一郎たちの温かい歓迎を受け、涙を拭うかなみ。
こうして我孫子ゆきや富樫かなみといった新たな仲間を加え、捕虜となっていた葵や加藤も無事に奪還した一行は、膨大な兵糧と武具を携えて、威風堂々と葦ヶ原砦へと帰還を果たしたのだった。
難攻不落の万願寺を討ち破った大勝利に、砦内は歓喜と大宴会の熱気に包まれる。
しかし、その宴の真っ只中――冷や水を浴びせるように、都の官府から一通の不吉な書状が届けられた。
差出人は――先日の戦いの裏で怪しい影を潜めていた、官軍屈指の妖術使い・高田廉。
『葦ヶ原の野盗どもへ。万願寺を破った程度で気取るな。我が治める高嵐州の陣へ来られる度胸があるならば、貴様らの仲間の命と引き換えに拝謁してやろう。公文とかいう気象オタクの小僧も連れてくるが良い。我が真の黒風の前に、骨も残さず吹き飛ばしてくれる――』
叩きつけられた、あからさまな挑発状。
書状を読み上げた智也の顔から笑みが消え、恵太の瞳に静かな怒りの火が宿る。
「……高田廉。万願寺の次は、あの妖術使いか」
「フッ……僕の科学的道術を『気象オタク』と馬鹿にしてくれたね。上等じゃないか」
公文が冷ややかな笑みを浮かべ、八卦の符鏡を握り締める。
万願寺を越えた108の魔星たちに、次なる巨大な刺客――「高嵐州・高田廉」との全面戦争の刻が迫っていた。




