刑場の大乱入と、闇の古廟
第29話:刑場の大乱入と、闇の古廟
「刃を引けぇぇぇっ!!」
処刑台に刃が振り下ろされようとしたその瞬間、刑場の屋根を突き破り、二丁の斧を構えた巨漢――加藤が一番乗りで躍り出た!
「恵太の兄貴に手を出す奴は、俺が叩き潰す!」
混乱に陥る刑場へ、宮園率いる遠瀬灘の義賊たちが一斉に襲いかかる。さらに、杉野の打った緊急打電(神行法)を受けて駆けつけた長谷川、宗一郎、武藤、大八、志郎、栄留、秦野ら『葦ヶ原砦オールスターズ』が正面からなだれ込んだ。
「恵太を救い出せ! 一人も死なせるな!」
豪傑たちの圧倒的な武功の前に官府の警備隊は瞬く間に瓦解。恵太と杉野は間一髪で救出され、そのまま遠瀬灘を脱出。一行は歓声とともに、難攻不落の要塞『葦ヶ原砦』へと堂々の入山を果たしたのだった。
葦ヶ原砦に迎え入れられ、ついに不条理な世界とたたかう「頭領(副首領)」の一人となった恵太。
だが、恵太の胸に引っかかっていたのは、故郷に残してきた養父の存在だった。
(俺が葦ヶ原砦に入ったと知れれば、おやじさんにまで官府の追手が及ぶ……!)
恵太は故郷の養父を安全な葦ヶ原砦へ迎え入れるため、単身で再び故郷の村へと引き返す。
しかし――村はすでに恵太の手配書を張った官兵たちによって厳重に警戒されていた。屋敷に近づいた瞬間、鋭い怒号が飛ぶ。
「待ち伏せだ! 逃亡犯の恵太が戻ってきたぞ! 囲めッ!」
必死の思いで追撃の矢や槍をかわし、暗い山道へと逃げ込む恵太。
雨と泥に塗れ、追い詰められた恵太の視界に、山奥の森の中にポツリと佇む、廃墟と化した古びた廟が飛び込んできた。
背後に迫る官兵の篝火と足音。
逃げ場を失った恵太は、意を決してその不気味な扉を押し開き、暗闇の廟の中へと滑り込んだ――。




