偽りの訃報と、遠瀬灘への道
第27話:偽りの訃報と、遠瀬灘への道
清風砦の激闘を制し、栄留や秦野、清風山の仲間たちと共に葦ヶ原砦を目指していた恵太。しかしその道中、故郷から衝撃の報せが届く。
「養父上が危篤……いや、すでに息を引き取られたとの噂です!」
「そんな……おやじさんが!?」
この異世界で身寄りのない自分を温かく引き取り、実の子のように育ててくれた養父。恵太は仲間たちに後を託し、苦渋の決断で一人一行を離脱。捕縛のリスクを顧みず、急ぎ故郷の屋敷へと駆け戻った。
しかし――屋敷の敷居を跨いだ恵太を迎えたのは、床に臥せっているはずの養父の元気な姿だった。
「お前……生きて……っ! 一体どういうことなんだ!?」
「すまん、恵太。お前を呼び戻すための嘘じゃった」
養父は静かに首を振ると、溢れ出る涙を拭いながら恵太の手を強く握り締めた。
「お前が山賊どもと手を取り、朝廷から追われる身になったと聞いた。だが恵太、お前は根からの悪党ではない。このままお尋ね者として日陰の道を歩み、命を落とすことなどワシには耐えられんのだ……!」
親心から出た悲痛な策略。
官兵と全面対決する道を捨て、法に従って自首し、しかるべき刑期を終えて罪を清めてほしいという養父の切なる願いだった。
「……分かったよ、おやじさん」
養父の自分を思う深い愛情に胸を打たれた恵太は、逃亡の手を止め、大人しく官府へ自首することを選ぶ。
恵太の誠実な態度と、これまでの地域での功績が考慮され、死罪は免れたものの、言い渡された判決は極遠の地――『遠瀬灘』への流罪であった。
両手に重い枷を嵌められ、冷たい雨の降る中、遠瀬灘への護送車に揺られる恵太。
葦ヶ原砦の仲間たちから離れ、単身で未知の処刑場とも呼ばれる遠瀬灘へ向かう少年の背中に、不穏で巨大な暗雲が迫りつつあった。




