表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『伯爵家次男に転生した俺は、前世の知識で世界を変えていく』  作者: バモス
第一章 幼少期編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/62

第50話 魔法書との出会い

 図書室を訪れてから数日後。


 アルスは朝食を終えると、父カインから許可をもらい、一人で図書室へ向かっていた。


「失礼します。」


 大きな扉を開くと、いつものように静かな空気が迎えてくれる。


「おはようございます、アルス様。」


 司書のオズワルドが穏やかに頭を下げた。


「おはようございます。」


「今日はどのような本をお探しですか?」


 アルスは少し考えてから答える。


「魔法の本を読んでみたいです。」


 オズワルドは嬉しそうに微笑んだ。


「承知いたしました。」


     ◇◇◇


 案内された本棚には、魔法に関する本がずらりと並んでいた。


 初級魔法。


 属性理論。


 魔力制御。


 生活魔法。


 古代魔法研究録。


 その中からオズワルドが一冊を取り出す。


 『初級属性魔法大全』


「アルス様には、まずこちらがよろしいでしょう。」


「ありがとうございます。」


 アルスは両手で本を受け取り、静かに席へ座った。


     ◇◇◇


 ページをめくる。


 そこには美しい魔法陣の図が描かれていた。


 火属性。


 水属性。


 風属性。


 土属性。


 それぞれ魔力の流れが丁寧に解説されている。


(面白い……。)


 今までリーナ先生から教わった内容が、図と文章で詳しく説明されていた。


 さらに、その先の応用理論まで書かれている。


(魔法陣にも意味があるんだ。)


 アルスは夢中になって読み進めた。


     ◇◇◇


 すると、ある一文が目に留まる。


 『魔法の威力は魔力量だけで決まらず、魔力操作の精度によって大きく変化する。』


 アルスは思わず本を見つめた。


(やっぱり……。)


 三年間、毎晩続けてきた魔力操作。


 その努力は、決して無駄ではなかった。


 むしろ魔法の基礎そのものだったのだ。


 神から与えられた力に頼るだけではなく、自分自身で積み重ねてきた努力が、少しずつ実を結び始めている。


     ◇◇◇


 さらにページをめくる。


 そこには生活魔法について書かれていた。


 火で料理をする。


 水で洗濯をする。


 風で乾燥させる。


 土で畑を耕す。


 アルスは自然と笑顔になった。


(この世界の魔法は、本当に生活に根付いている。)


 戦闘よりも、人々の暮らしを支えるために使われる場面が多い。


 だからこそ、自分もそんな魔法の使い方を目指したいと思えた。


     ◇◇◇


 昼頃。


 父カインが図書室を訪れた。


「読書は進んでいるか?」


「はい!」


 アルスは本を見せる。


「魔法陣のことも書いてあります!」


 父はページを眺めながら頷いた。


「知識を得ることは大切だ。」


「だが、本に書かれていることだけが正しいとは限らない。」


「実際に試し、考え、自分のものにすることが重要なんだ。」


「はい、お父様。」


 アルスはその言葉をしっかりと胸に刻んだ。


     ◇◇◇


 午後。


 リーナとの授業で、アルスは今日読んだ内容について質問した。


「先生。」


「魔法陣って、どうして必要なんですか?」


 リーナは優しく答える。


「魔法陣は、魔力を整えやすくするための補助です。」


「慣れてくれば、魔法陣なしでも発動できる人もいます。」


「でも最初は、形を学ぶことが大切なんですよ。」


「なるほど。」


 アルスは納得した。


(剣術の型と同じなんだ。)


 最初は型を覚える。


 そして、その意味を理解していく。


 何事にも共通する学び方だった。


     ◇◇◇


 夕方。


 鍛冶場を訪れると、ゴルンが笑いながら言った。


「坊ちゃん、本ばっかり読んでるらしいな。」


「はい!」


「魔法の本です!」


 ゴルンは豪快に笑う。


「いいことだ。」


「でも、本だけじゃ鍛冶はできねぇぞ。」


「鉄を打って。」


「失敗して。」


「また打つ。」


「その繰り返しだ。」


 アルスも笑顔で頷いた。


「はい!」


「勉強も、練習も頑張ります!」


     ◇◇◇


 夜。


 部屋へ戻ると、今日借りた魔法書をもう一度開いた。


 ページをめくるたび、新しい発見がある。


 前世にはなかった世界。


 前世にはなかった知識。


 それらを吸収できることが、たまらなく楽しかった。


 魔力操作を終えた後、アルスは手帳を開く。


 今日の言葉を書き記した。


 『まなびは せかいを ひろげる』


 知識は力になる。


 しかし、その力を正しく使える人にならなければ意味がない。


 そう心に誓いながら、アルスは静かに本を閉じた。


 図書室で出会った一冊の魔法書は、少年の知識だけではなく、未来への可能性も大きく広げてくれたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ