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タイプな自殺志願者がいたので全力で幸せにする話  作者: 幸愛 リリー


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8/13

告白

八話目投稿しました!

喧嘩した二人はまた無事にいつも通りを過ごせるのか。

誤字脱字はもう無さそうな気がするので快適に読めると思います!

「お茶、用意しようか?」

「そういうのいいから。早くして」


 帰ってきた私は玄関前で待っていた幸にいきなり詰問をされたけれど、さすがに座って話したい旨を伝えたらため息が交じりながらもそうしてくれた。だから今はリビングにある二人用のダイニングテーブルに座っている。


「ほら、帰ったら言うんでしょ。私から離れる言い訳」

「う、うん。実は私...」


 はぁ、心臓が幸にも聞こえるじゃないかと思うくらい拍動していてうるさい。というかそのままの勢いで吐血しそう。だけど、私は言わなきゃいけないから...言葉を紡ぐ。


「同性が恋愛対象なの...」

「へぇ」


 私、花音は別として誰かにカミングアウトをするのは初めてなんだけれど、普通は気味悪がるものじゃないの?聞きたがっていた事を言ったのに気にも留められずに流された。本の中ではこういう時は悪い展開になってしまうことが多いのだけれど、今の状況は全くの未知。今の私に初めての事をさせるは止めて欲しかったなぁ。


「それだけ?」

「それ私のセリフだと思うんだけど、待たされた挙句に私にはあまり関係ない事明かされて」

「関係あると思うんだけど...」

「別に私が好きなんて言われてないんだから関係ないじゃない」


 嘘でしょ。私は何のために花音の家に行ってまで心の準備を整えて来たの。結局出来てなかったけど。でも結果的には良かったのかもしれない...このまま私が惚れなければまたあの日常を送れるのだから。


「ん?同性が恋愛対象だから離れる...。あなた、私にまだ言ってないことあるでしょ」

「い、いや、ない...よ...。そ、それより私が離れることに随分怒っていたけども、そんなに怒ることだった?」


 もう勘付いているようだったけれど、それはそれはとても都合が悪くなりそうだったので私が気になっていたことに無理やりシフトチェンジする。その代償として動揺して口が脳の命令通りに動かずとても怪しくなってしまった。なのでいつも通り長い前髪で見えないのにも関わらず訝しんでいる視線を感じる。毎度毎度どうやって感じさせているのか分からない。


「...分からないの?」

「うん。あんまり...」


 なんだろう、この面倒くさい彼女感。嫌いじゃない。


「はぁ」

「溜息を吐かれても...」

「じゃあもし仮にあなたが野良猫になって私に拾われました。最初の頃は構ってくれていたけど少し経つと構ってくれる頻度が減りました。あなたはどう思う?」


 何この心理テストみを感じる質問。いきなりそんなことを問われて私の頭は無難なことしか浮かばない。


「なんで?って思う」

「それが続いたら?」


 ごめん、幸が私に言わせたいことが本当に分からない。飼い主の態度が無愛想になったところで私はやっとゆっくりできる~としか思わない...。私の感受性って弱かったんだ。結構読書してきてるのに...。とりあえず適当に答えるとする。


「うーん...、構ってよ~っとか?」

「はぁ」

「とりあえず溜息吐くのは止めて欲しい」

「あなた野良猫向いてないよ」

「向いてたとしていつ役立つの...。結局私になんて答えて欲しかったの?」

「.........られる...」

「今なんて...」

「捨てられるっ!って言ったの!」


 テーブルに手をバンッと叩きつけながら立ち上がり、怒りか哀しみか、どちらか分からないけれど涙ぐみながらに幸はそう言った。

 それを聞いた私はえ?って思った。幸の言う施しを受け入れていないぐらいでそれ以外の離れることは考えてはいたけど行為としては未遂もあるけど結局していない。そんなことでそう思ってしまう幸には申し訳ないけど可愛いと思う。ただそれと同時に心配になる。だから幸にはあまり隠し事をしないようにしようって思う。

 てかそんなことを思っている暇じゃないね。目の前で泣いてる人がいるのに。私は立ち上がって幸のそばに寄って背中を擦る。


「ごめんね?勝手に離れようとして」

「離れようとするなら、最初から拾うな!」

「ごめんて...、私にも訳が...」

「それ言ったら許してあげる」

「言ったんだけど、まだ許されてなかったんだ...」

「当たり前だ。この無責任者!まだ隠してることがあるんだから言ってないも同然だ!」


 散々な言われようだけれど、結局のところは私がすべて悪い案件なわけで...。無責任...か。捨ててないし、捨てる気もさらさらないけれどこうなった責任を取るために言うべきなんだろうけど、こんな形で言わされるのはあまり気が進まない。だからと言って言わなかったらまた振り出しかそれ以上な状況になるので私の選択肢は一択。


「分かったよ。言うよ...。」

「遅っ」

「私...あなたの事が...好き」


 まだ惚れてないと自分に暗示をかけていたけれど結局は意識の問題。だから気になって拾ってしまった時点でもう惹かれていた私に今更そんなことをしたところで何の意味もない。ていうかなかった。


「...それだけ?」

「え?他になんか言うことある?」

「付き合ってくださいとか」

「関係性とかどうでもいいかな。ずっと一緒にいて欲しい」

「変わらなくない?」

「変わってるでしょ。というか言ったんだから答えてよ」

「あなたが隠してることを勝手に言っただけなんだから、私はそれに答える義理はないと思うけど」


 人が下手に出れば調子に乗るような人を何故私は好きになってしまうのか、しかも嫌いにもなれない。惚れたら負けとはよく言ったものだけど、罠にはまったみたいで少し腹が立つのは私だけなんだろうなぁなんていうのはどうでも良くて。

 告白したのに答えないとかいう斜め上ばかりのことしかしないこの人は結局何がしたいんだろう。離れようとしたら泣いたくせに。


「...これ今私たちどうなってるの?」

「私は許したから後はあなた次第じゃない?」

「...じゃあ、またよろしくお願いします?」

「よろしく~」


 ...元通りにはなったけど私の告白がなあなあになっててとても許しがたい。でも強引に聞いたところで、勝手に心配しているだけとはいえ飛び降りようとした事実は変わらなくて、その原因が今でも分かってないから触れづらい。特に恋愛。


「何?その顔」

「ずるいなぁと思って」

「でも元に戻ったでしょ」

「進んでもいいと思うんですけど」

「今のままでも十分でしょ」

「......うん」


 幸の何かの地雷を踏んで出て行かれるよりかは今のままでいいと思ってしまう。だってこのままなら

好きなまま一緒に入れるから。


「なんかお昼食べた?」

「何も」

「何か作る予定は?」

「ない。食材も」

「なら外食にしますか」

「感謝感謝」


 少し不快に感じるお礼を受け取って、私は花音の家からそのままだから外行きの恰好していて幸は出ていく気満々の恰好していたからすぐに外出することが出来た。目的地は飲み屋に行った付近にある焼肉屋。連れてきたばかりの幸ではさすがに噛み切れないかつ消化とかにも悪そうで連れて行かなかったけど、もう平均的な体型をしているから大丈夫だろうと思って向かっている。

 もうすぐ見えてくるところまで歩いてきて隣を見る。そこには息も上げずに歩いている幸の姿が映る。幸には買い物も頼んでいて、そのおかげで体力とか筋肉とか付いたから私の腕を支えに歩くこともなくなってしまった。つまり手を繋ぐことが無くなった。頼めば可能性はあるだろうけど、今の幸に頼むのはなんか癪だから今はいい。


 焼肉屋に着いて席に案内されてコースを選ぶ。まぁ無難な食べ放題のコースでいいかと思いながら、ふと花音にはお世話になったからこういうお礼をしてあげないとも思う。お酒を酌み交わしたからいいよとは言われそうだけれど、お礼を押し付けるように無理やり連れて行けばいい話。

 私は焼肉と言えば脂なのでカルビばかり食べる。すぐ胃がもたれるのがネック。ちなみに幸はとりあえず頼める部位を全て頼んで口に合うのを探すみたい。それで選ばれたのがシャトーブリアンでした。なんだこいつってなった。

 幸は私の倍以上食べてようやくお腹にいっぱいになったらしく、食べ放題のタイムリミットが少しあったから休んでから店を出た。

 その後は今日の夜食などを買うためにスーパーへ向かう。がしかし、料理担当の幸は特に献立は考えていなかったので適当に買い物かごに食材を入れるだけの買い物になった。それが買い物だけど...。幸と買い物するときはその買った荷物はもちろん私が持たされる。肉奢ったんだから今日ぐらいって思うけど料理を作ってくれる方が大変かと思い直すと共に帰路に就く。


 自宅に着いて、買った物を全て冷蔵庫に入れる。その後はシャワーを浴びたいんだけど...。


「一人でシャワー浴びてくれたり?」

「しない」


 どうせそう答えると思った。だから私は気持ちが知られているからこその脅しを言う。さすがの幸も嫌がる...嫌がらない可能性もあるけど考えてくれはするはず。


「私が何してもいいの?」と言って手をわきわきさせる。

「あなたができるとは思ってないからいいよ」


 とても舐められている。いつから立場が逆転したんだろう。こういうのはいつも唐突に変わって、そのまま入れ替わることが無いよね。まるでそれが当たり前かのように序列が決まっている。なんとかなりません?


「はいはい。入るよー」

「ん~」


 もう幾度も見てきた幸の一糸まとわぬ姿。だからと言って慣れることは一生ないんだろうなって思う。それは多分、いやきっと好きな人だから。というか慣れたらもう好きではないんだろうって感じてしまうから慣れたくない。だからと言って毎日見るのはさすがにって思うのは贅沢?


「はぁ」

「人の体洗いながら溜め息吐くなんて失礼って思わないの?」

「逆に吐かせてるんだからそろそろ一人で入ろうって思わないの?」

「思わない。むしろ好きな人の体を洗えるなんて光栄って思わないの?」

「光栄とまでは思わないけど、嬉...」


 嬉しいって言ってしまったら「じゃあいいじゃん」とか言われて丸め込まれてしまう。そうなってしまってはいずれ手が出てしまう...。人は三大欲求をコントロールすることはできないんだから。なので嘘を吐く。


「コホンッ、別に嬉しくないし」

「ふーん」


 そんな反応をしながら私の方に体を向き直した。要するに女性が隠すべき場所の部位を隠さずにすべてが見えてしまっている。私はもうたじたじである。のに対して幸はどんどん寄ってきた。


「...ねぇ、何を企んでるの?」

「今抱き着いたらどうなるんだろうって」

「どうにもならないから!早く泡落として上がって!」

「...はぁ~い」


 こんなこと毎日は耐えられないんですけど...、今更思ったんだけれど私まで服脱ぐ必要が無くない?幸を洗い終わってからでいいのでは?って思ったけど結局見るからあまり変わらないか...。やはりベッドかソファのご購入の検討をするべきだろう。

 そんな考え事をしていたら幸はもう上がっていたので、私は時間をかけてをかけて体を洗った。この上がりすぎている心拍数を落ち着かせるために。上がったらいつも通りのことをこなしてリビングに行く。ベッドでだらけている幸に聞いてみることにする。


「ねえ」

「ん~?」

「ベッドかソファ買っていい?」


 以前は理由を知らなかったからああなってしまっただけで今ならこの案は通ると思っている。てか通らないと別の問題が発生して出て行こうしてしまうから通って欲しい。


「それって一緒にお風呂入りたくないって話?」

「そうだけど...」

「じゃあ私が二日に一回自分で入るって言ったら?」

「入ってない一日は私が入らせるけど、それでもいいならって感じ」

「じゃあそれで」


 なんか呆気なく通ったというよりかは解決した。二日に一回なら大丈夫でしょ、何を持って大丈夫かは分からないけれど、もし限界が来たらまた言えばいいだけだからね。


 それからは各々過ごし、夕食という名のカレーを食べた。二度と食べられない可能性があった幸の手料理には美味しいのは当然として少しの感動もあった。あぁ、またあの日常を送れるんだって。それから時間が経ちベッドに横になる。


「疲れた~」


 つい言葉が口から漏れ出る。


「あなたが発端なんだから疲れて当然でしょ」

「まぁ、そっか。てかさすがにその前髪少しは切ったら?」


 幸の前髪はもうテレビから出てくるお化けの如く長くて見慣れた私もさすがに鬱陶しい。でも言った手前、切って美顔が露わになるのはそれはそれで嫌だなと思う。


「少しぐらいならって感じ。それか目隠れとか」

「いいじゃん。美容院予約しようか?」

「嫌、あなたが切って」

「え?」


 まず切っていいんだと思った。いきなり顔全体が見えるのは刺激が強いから目隠れとかならまだ平気だしむしろ助かるんだけど、ド素人に髪を切らせようとするのは止めて欲しい。


「成功率ゼロパーセントだから行った方がものすごくいいよ」

「あなたが切らないと一生このままだけど」

「嘘でしょ。失敗した髪型でいいの?」

「別に気にしない」

「えぇ...」


 なんて気丈なんだろうと思いつつ、なるべく失敗しないようにしようと思った。


「ふわぁ、眠くなってきたから寝る。おやすみ」

「ん~」


 一日だけ離れて寝ていたけれど、やっぱり自宅のベッドで好きな人と寝れる環境はとてもいい。だけれど心に引っかかっているものはある。それは当然私の告白の話なんだけど、結局私の気持ちが明るみになっただけで私たちは何も変わってない。でも変わらなくてもそれはそれで私は幸せ。でも幸は?って思う。私はまだ飛び降りようとした理由を知らない。私の告白に答えない理由も。恋愛が関係している可能性があるのだとしてもそれは本人に聞かない限りは分からないままで、もしそれを聞き出そうとした時はまたこの日常を失う可能性が出てくる。だから私は目を閉じて戻ってきたもの大切にするように丸まって意識を深い闇に落とした。

最後まで読んでくださり感謝感謝です!...ありがとうございます!

私は肉より魚派なのであまり焼肉にはいきません。

ぜひ!高評価やポイント、感想をいただけたらとても嬉しいです!

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