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タイプな自殺志願者がいたので全力で幸せにする話  作者: 幸愛 リリー


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6/13

喧嘩

六話目投稿しました。

長らくお待たせしました...。

誤字脱字があったら申し訳ありません。けど最後まで読んでいただけたらと思います。


 幸を拾ってから約三か月ぐらいが経った。出会った当初はどうなるかと思ったけれど、結果どうにかなってここまで同居生活を続けられている。だけど最近その生活が危機に曝されている。主に私のせいで。

 拾った時はガリガリだった幸もさすがに三か月もすればもう一般的な健康そうな身体になる。その子が料理を作ってくれたり、週に一回あるかないかの頻度で甘やかしてくれたりして私を労ってくれるようになった。つまり何が言いたいかというと、幸がほとんど私のタイプそのものになっている。

 確かにそういうつもりで家に連れてきた節はあるけれど、いざこの誰かが家にいてくれている生活を過ごし続けてみるととても心地が良くて安心する。今はまだ惚れているわけではないけれど魅入ってはいる。だから時間の問題と言えばそうなのだけど、私はできるだけ惚れないようにしたい。

 理由なんて、ラブコメでよく見る”関係を壊したくない”だ。私で言えばこの”同棲生活を解消したくない”になるけど、そこに対して差はないからどっちでもいい。

 そういうのを見ていた時はさっさと告ってくっつけ!と思っていたけど、その立場になるとこのままでいいやって思う。社会人で人と関わってこれなかった私にとっては尚更。


「さっきから手止まってるけど大丈夫なの」

「だ~!?いじょうぶ......じゃないけどどうかした?」

「どうかしてるのはあなただけど、熱でもあるの?看病とか嫌なんだけど」


 そう言いながら手を私のおでこに添えようとしてきたから私はそれから逃げるように後退る。幸にときめいてしまう可能性を少しでも下げるために。


「なんで逃げるの」

「逆になんでそんなに確かめたがる!?」

「そりゃあ、あなたが寝込んだら収入が途絶えるから。わかったなら動かないでね」

「じゃ、じゃあ体温計取ってきてよ」

「嫌よ。面倒くさい。後、なんでそんなに拒むの?余計に怪しい」

「もう、わかったよ...」


 私は観念して前髪をどかして、まだ長い前髪で隠れているとはいえ近づいてくる幸の目に毒な美顔を見ないために目を瞑っておでこを差し出す。


「最初からそうすればいいのに」


 幸が小言を言いつつ手を伸ばし、私のおでこに触れる。私は今五感のうち一つをシャットダウンしている。そしてその内の二つはほぼスリープ状態。だから私の脳は勝手に残った二つの機能をしなくていいのにフル稼働する。

 私のおでこから幸の体温が送り込まれ、私が使っているシャンプーの匂いも漂う。あまり感じていたくないのに感じていたい温もりが無理やり流し込まれる。場所も相まってくらくらする...じゃない!


「な、長くない?もういいでしょ...」

「熱はないね。顔赤いのに」

「幸の目が充血してるんだよ」

「充血してるからってそう見えるの?」

「わからない。適当に言った。私は仕事に戻るから自分で調べて」

「がんばー」


 幸に一か月前ぐらいに買った型落ち携帯をプレゼントした。その携帯の全ての設定は私がしたから、幸は開くときのパスコード以外は知らない。

 なぜそんな誰もが嫌がる管理をしているのかと言うと、SNSという名の世の中を見せたくないからだ。あんな見るだけで心を蝕む毒を幸が患ってしまっては一体どうなってしまうか...。心配のしすぎなんだろうけど今更だからいいかと思う。特に幸はそのことに何か不満を漏らしてこなかったから。

 

 時は夕暮れ、今日の分の仕事が終わってあまりの疲労にその場でうだうだと項垂れていると横から声が飛んでくる。


「膝枕してあげようか?」

「いいえ、大丈夫です」

「最近断るわよね。最初は飛び込んてきていたのに」

「飛び込んではいない。というかそんなに言うなら言わせてもらうけど、なんで急にそんなことをするようになったの?」

「...うーん、じゃああなたが寝込んで収入が途絶えるから」

「私どんだけ体調悪いの...しかもじゃあって。まぁいいや」

「する気になった?」

「しません」


 するわけがない。幸の美顔を見させられる立場になって見て欲しい。なら目を閉じればいいじゃないと思うだろうけど、それを幸が許さず無理やり瞼をこじ開けてくる。今の私からすればただの罰ゲーム。


「今日の夜ご飯は何を作る予定なの」

「秘密」

「いつもそれね。でも作ってくれてありがと」

「ん...。まだ作ってないけど」


 それから少し時間経ってから幸は台所に立って料理を作る。作られた料理はハンバーグでした。とっても美味しいかったです。それはいいんだけど...、次お風呂入らないといや入れないといけない...。


「お風呂入るよー」

「ん」


 各々着替えを持って洗面所に入って服を脱ぐ。当然のようにお互い裸で浴槽に入る。もちろんだけど私は一緒になんて入りたくない。でもなんで一緒に入らなければいけないのかと言うと。


「そろそろ一人で入ってほしいですね」

「週一でいいならいいよ」

「はぁ」

「毎日体洗うとか面倒くさい」


 この通り幸は俗に言う風呂キャンの人で、週に一回しか入らない人と同じベッドで寝るのは嫌すぎるのでこんなことになっている。しかも私が体を洗わなくてはいけない。甘えさせすぎた私が悪いんですかね?

 はぁ、少し前まで幸の背中を見たところであばら骨が見えるなぁとか硬いなぁとかしか思っていなかったのに今はもうそんな面影はなくて、やわらかいし、なんか実ってるしで私の目は定まらない。こんな生活してたらいつかぼろが出そうで怖くなる。


「ほら、洗い終わったからちゃっちゃと上がって」

「私もそろそろ洗ってあげようかな」

「自分の体洗えるようになってから言ってください」

「...最近私からの施しを受けないよね」

「施しって、何様のつもりなんだか...。というか狭いから早く上がって欲しいんだけど」

「ねぇ、何か誤魔化してる?」

「何も」

「そう...上がる」


 ふぅ、申し訳ないけどやっと上がってくれた。近くにいるとはいえ壁を隔てて一人になれる数少ない時間だからとても貴重である。だから幸に私の体を洗わせたらこの時間が無くなる。そして洗わせたら私が大変なことになるから仕方ないよね。

 この家には広いリビングにトイレに洗面所、そして浴室ぐらいしか個室がない。つまり私たちの個室がない。だからこういう私が一人になれる時間を取れることがまずない。それなのに今の私にはその時間が必要というか欲しいのだけれど...、もう一個ベッド...よりかは布団買って床で寝れば...、あるいはソファとか買えば週一とはいえ一緒に入らなくて良くなる。そうしようって思った。

 貴重な時間とはいえゆっくりできる環境じゃないから洗い終わったら上がる。浴室マットとか買ってみようかな。なんでかいかがわしい感じがしなくもないけど気にしないことにする。


 上がってスキンケアしてリビングに戻ってベッドで寝転がりながらさっそくソファを調べる。正直ふわふわな感じならなんでもいいんだけどなと思いつつ、ならネットで見る意味が無くねと思って携帯を閉じようとした時に暇そうな人がこっちに来てベッドに座る。


「何見てるの」

「ソファ」

「スペースも使用用途もないのになんで見てるの」

「そりゃあ欲しいからだけど」

「何に使うの」

「寝るため?」

「ダブルベッドがあるのに?」

「たまには一人で寝たいなーって思ったり...」

「は?」


 どうせ買うってなった時にバレるだろうから素直に言ったら怖い形相を浮かべた顔をこちらに向けてきた。どうやら怒らせてしまったらしい...。でも普通ダブルベッドを一人で使えるってなったら喜びませんか?


「ど、どうしたの急に」

「最近薄々思ってたけどさ」

「う、うん」


 その後出てくる言葉を今だに仰向けで寝転がって待っていると幸が私の足を跨いで座ってきた。まるで私を逃がさせないようにしているみたいに。それをなぜか見ていただけの私。


「私から距離取ろうとしてる?」

「......」


 そして私がしようとしていることがバレている。なんとか逃げれないか足を動かすけど微動だにしない。今思うことではないけど結構成長したなぁと思った。のも束の間に、幸は覆い被さってきた。長くて邪魔そうな前髪が私に垂れ下がってきて美顔が露わになる。私はそれを見ないように手で目を覆いたかったのだけれど、ちゃっかりしっかり幸の手で押さえられているから目を閉じることにした。


「ふーん、目に映したくないぐらい嫌いになったんだ」

「ち、ちがくて...」

「じゃあ何?」

「今は...言えない...」

「そう」


 そんなそっけない返事をして私から退いてどこかに行こうとする幸。


「どこ行くの?」

「ここではないどこか」

「ちょ、ちょっと待って!」

「待たない」


 今すぐにでも出て行こうとする幸を慌てるがあまり体をあちこちぶつけながらにも止めに入る。


「出て行くなら私が出て行くから幸はここいて!」

「なんで嫌われている人の家にいなきゃいけないの」

「嫌ってない!」

「じゃあなんで離れようとしてるのか言って」

「今はまだ言えない」

「じゃあ...」

「だから私が帰ってくるまで待っててほしい。帰ってきたら言うから」

「...あまりにも遅いといないから」

「できるだけ早く帰ってくるよ。お金とか置いとくから」

「ん」


 私は出ていく支度するという自分でもよくわからないことをして家を出る。幸を一人にするのは不安だけど、でももう大丈夫だろうと思っている私がいる。

 今日の宿だけど唯一と言っても過言ではない友達に支度している時に連絡をした。そして今携帯を見てみると返信が来ていた。


「いいけど。なんで今?」

「ちょっと居候と喧嘩して...」

「泉が出ていくの?」

「うん」

「事情は話してもうよ」

「はい...」


 今日と言わず頼めば何日か泊めさせてもらえる宿の予約ができたけどあまり頼りたくはない。だって私は幸といる日常が好きだから。

最後まで読んでくれてとても嬉しいです!

早く上げれるように頑張ります...。

ぜひ!高評価やポイント、感想をいただけたらとても幸いです!

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