対面
五話目投稿しました!
若干早めに上げれました!
いつもの如く誤字脱字があったら申し訳ない。それでも最後まで読んでほしいです。
幸が料理当番となり、見た目はパッケージ以上で味は格別の料理が毎日食べられる生活を送り、なんで幸はこんなに料理上手なのかと思いながら質の上がった生活を堪能していたある日。ちょくちょく連絡を取っている池田花音からお誘いというよりかは脅迫みたいな連絡が来た。
「愚痴聞いて!」
「うーん...」
「たくさん聞いてやったんだから付き合えや!」
「はい...」
こんな感じで花音の愚痴を聞くことが決まった。別に愚痴を聞くことは特になんとも思っていないし、むしろ聞かせてきたのだから聞いてあげたいと思う。でも私は花音に言っていないことがある。それは幸の存在である。黙っていても問題は無いと思うのだけれど幸を一人にはしておきたくはないから一緒に連れて行ってしまいたい。だから頑張って伝えようと努力はしたんだけれど正直どう言えばいいのか分からないからそのまま一か月が経ってしまった。
今は昼頃で飲み屋に行くのは仕事終わりの夜、もちろん今日は平日の金曜日で仕事があるのだけれど、幸の件をどうしようか悩んで手が動かない。またこれか...。とりあえず幸に飲み屋に行くのか聞こうと思い幸に話しかける。
「今日友達と飲み屋に行くんだけど来る?」
「友達いたんだ」
「あなたと違って一人や二人ぐらいはいるわ!」
「別に私いないなんて一言も言ってないけどね」
「......ってそんな話は今はいいから。行くの?行かないの?」
「あなたの友達を見たいから行く」
「理由が嫌だけど分かった」
幸が行くと言ってくれて助かった。黙っておけるなら黙っておきたかったから無理やりにでも連れて行こうとは思わないけど、やはり一人にはしておきたくなかったからこれで腹を括ることができたので花音に幸を連れて行く旨の連絡をしておこう。
「友達も連れて行っていいかな?」
「友達?泉に?」
「うん」
「ドッキリ?」
「全くの真実です。まぁ友達というか居候みたいなものだけど...」
「ふーん、なるほど?とりあえずわかった。この一か月で何があったか聞かせてもらうわ」
「あんまり話したくないなぁ」
「聞かせてもらうね」
「......了解」
ふぅ、なんか面倒くさいことになったような気がするけどとりあえず言えたからいいか。後は仕事を終わらすだけだから手を動かそうとすると横から質問が飛んできた。
「飲み屋って何?」
「お酒飲むところ」
「あぁ...、お酒以外の飲み物あるの?」
「全然ある」
「そう。よかった」
お酒は苦手なのだろうか。というより飲んだことあるのだろうか。私は自宅ではお酒を飲まないため幸に薦めることはないから何もわからない。もっと言えば幸に関してほとんど分からない。なぜなら私が人との関わり方が初心者で慎重になっているからなんですけどね。
「お酒苦手なの?」
「う、うん。とっても」
「そっか」
いつもは深堀りとかしないのだけれど、この時の私は聞いた。その証拠に幸が少しどもってしまった。単純に私が好きな物を幸はどう思っているか気になったから...なんだろう...ね。初心者すぎて自分も分かってない。
幸はお酒がとっても苦手なのか。なんだか少し残念だけど体質の問題だから仕方ないかと思うことにして仕事に手を付ける。この一か月、幸の件で思い悩んで仕事があまり捗ってはいなかったのだけれどそれが無くなったことにより早めに終わらせることができた。そのおかげかそのせいか自宅を出る時間まで余りに余っている。とりあえず出かける準備だけしときますか。
「出かける準備しといて」
「もうしてある」
見ると、おしゃれに着飾って椅子に座って買ってあげたレシピ本を見ている幸がいる。いつ準備をしていたのか分からないぐらいには仕事ができていたということなんだろう。
とかはどうでも良くて。なんでもう準備が終わっているのだろう。そのことについて考えながら準備をして、出た結論は少し肉付きが良くなって着替えるところを見られるのが恥ずかしくなったということにした。まだまだ世間一般的にはガリガリだし、まだ私が体を洗ってあげているから欠陥結論だけれどこれ以上考えていても何も出ないからもうそういうことにした。
準備が終わったので幸のいるリビングに戻り、まだまだある時間を潰すために声をかける。
「何か作りたいレシピあった?」
「いっぱい」
「時間あるし買い物行く?そのまま飲み屋だけど」
「荷物持ってくれるなら」
「持つから行こうか」
「わかった」
突如として決まったからか、いつもは買い物リストに書いてからいくのだけど今回はレシピ本を持っていくらしい。そろそろ携帯買ってあげた方が良いのかなぁって最近思っている。幸が料理当番になってから買い物は基本幸一人で行っているのだけど、何かあったら嫌だなと思って仕事が~な毎日。買うか。
今日はそのまま飲み屋に行く関係でいつものスーパーではないところで買い物をする。私たちが出会ってしまった橋を通ってしばらく歩くと少し栄えたところがある。そこに買い物するところに飲み屋、そして都合よく携帯ショップもある。到着して幸に先に行っててと言ってサッと型落ちした携帯を買って、すぐに幸と合流した。
「お待たせ」
「待ってはない」
「友達には幸のこと友達兼居候ということになってるので」
「友達?私が?あなたと?」
「友達ぐらいにはなったと思ってたんだけどな...」
「残念だったね」
「じゃあ幸と友達になるには?」
「あなたには無理じゃないかな」
「私ってそんな嫌われてるのね」
一か月も同じ屋根の下で過ごしてきてまだ友達にもなれず、挙句に果てにはその友達になれる可能性がないって言われた...。なんかちょっと視界が滲んできちゃったかも。
「...なんで涙目になってるの」
「誰かさんのせいだけど...」
「はぁ、じゃあ家帰ったら何かしてあげる。これでどう?」
「...わかった」
泣かした人に慰められてものすごくみっともないところを幸に晒して、気づいたら買いたい物は買い物かごに入れたらしいからお会計を済まして店を出て飲み屋を目指す。飲み屋で先に待っていると連絡をくれた花音をあまり待たせないぐらいにはちょうどいい時間で買い物を終えれたから「遅い!」とか言われないで済む。いつも言われてたからね。飲み屋に着いて探すと今まさに飲もうとしている花音を見つけた。
「なんで一人で飲もうとしているの?」
「今日もどうせ遅れてくるんだろうなと思ったから」
「もう信用が無くなっている...。それにしても会うの久しぶりだね」
「週一が一か月になったからな。...であなたが例の居候さん?初めまして私は池田花音よろしくね」
そう言って席から立って幸の前に手を出す。幸はその手を握って挨拶をする。
「よろしく。私は幸って言うらしい」
「どゆこと?」
と言って私を見る。うーん。
「私も多分幸もお互いの名前知らないんだよね。教えてもらえないから私が勝手に幸って呼んでる」
「......とりあえず座ろっか」
花音が頼んだであろう料理やつまみが並べられたテーブルに座る。そして私の席にはいつも頼んで飲んでいるお酒が置いてあった。さす花音ですね!
「私の愚痴を聞かせてからにしようとしてたけどさすがにそっちの方が気になる」
「私も花音が一か月でこんな事になっていたらさすがに聞くね」
「名前知らないって住んでるところの契約とか大丈夫なの?」
「うん、なんかお互い見ないようにして書いた感じかな。あ、幸は飲みたいのとか食べたいのあったら頼んじゃっていいから」
「わかった」
それから私は花音から幸に関する質問攻めを受け、その最中幸は飲み食いしている。そしてしばらく経って質問攻めが終われば花音の愚痴が始まった。私はそれをうんうんと聞いている最中、幸は飲み食いしている。っていうか幸が飲んでるのお酒では?酔いすぎててわかんにゃいや。
「あんたがそんなに酔ってるのは珍しいね」
「間が空いたからだろうね~」
「間が空くってことはストレスがあんまり溜まってないってことだから良い事だな。もしかしなくても居候のおかげだろうね」
「認めたくはないけどね~」
それから少し雑談をしてお開きとなった。支払いは幸がとんでもなく食べていたので割り勘にした。
「今日はありがとね」
「倍以上聞かせてきたんだからこのくらいいいってことよ~」
「じゃあまた溜まったら頼むわ」
「りょーかーい。またね~」
「んー」
花音と別れ、私たちも帰路を歩く。アルコールが体中を回って体が温かい。その体を夜が深まったとき特有の涼しい風が冷やす。なんだか久々の感覚である。ちなみに今は幸と手を繋いで歩いている。私が無理やり幸の手を取ったのだけど。
「さちー。おさけにがてっていってたよね」
「うん、苦手」
「でものんでなかった~?」
そう質問したときにチャラくてうるさい雄二匹が私の前に現れた。
「ねぇ!お姉さんたち!俺らと一緒に飲まない?奢るよ!」
定型文みたいな誘い文句をびちゃびちゃと口から出す生物。私はこの生物が大の苦手だ。だから女性と付き合いたいというわけではない。ただただ女性が大好きな女性です。
さてっどうしよう。一人ならいつも走って逃げるのだけれど今は幸がいるし、ただでさえ人と会話を交えないのにこんな生物とどうやって...。そんなこと考えていると幸が一歩前に出て圧をかける。
「邪魔。失せろ」
たったそれだけの言葉だったが立ちはだかった二匹は逃げ出した。それもそのはずで一か月一緒にいる私でさえ聞いたことのない声色。一歩前に出ている関係で幸の顔が見えないのだけれど、正直見たくない...。二匹の登場で酔いが少し覚めてしまったが、その声色で完全に覚めてしまっているのにこれ以上何を覚ますの!というか覚めちゃったから夜中の吹く風が寒い!
「男の人苦手なの?」
「う、うん。とっても」
「へぇ。私と一緒ね」
「そうなんだ...」
再び帰り道を歩き出す私たち。だけど繋いでくれている手の握る強さがさっきより強くなっている気がする。でも元々が弱いから気のせいだろう。
「ちなみにさっきの質問だけど」
「うん」
「だから苦手」
「うん?」
質問って疑問を解決するためにする行為なはずなのに解決しない返答されても困惑するだけだと思うんですよね。実際に今している。
「もうちょっと具体的なのがほしい」
「酔っている状態が苦手。他人も私も。」
「そうなんだ。えっと、じゃあさっきの私嫌だったんだ」
「そうなるね」
「申し訳ない...」
「別に...気にしてない」
なんだか微妙な空気になる。そのままの空気のまま私たちが出会った場所に着く。
「ここからの景色良くない?」
そう言って私はその景色が見えるところを指さす。今日は満月の日でその月明かりが橋の下で流れている川で反射して幻想的な景色を生み出す。これには思わず感動詞が漏れることだろう。
「まぁ、キレイだけど、探せばどこにでもありそう」
漏れたけど思っていた反応ではなかった。一応キレイと言ってくれたけど、だからと言って納得はできない。けど幸は感受性が乏しいということにして気にしないことにした。
「こんなキレイなところをあなたは汚そうとしたんですけどね!」
「逆に汚れた方がキレイに見える可能性も」
「ありません!」
こんな不穏なことを言う奴はちゃっちゃと自宅に連れて帰る。自宅に帰ってそういえば幸に言い忘れていたことがあったことを思い出す。
「ねぇ、幸ー」
「ん?」
「ありがとね。あの時助けてくれて」
「あぁ、別に私はあの二人が邪魔だと思っただけだからあなたを助けたつもりは無い」
「でもありがと」
「...ちょっと来て」
床でなぜか正座で座った幸に手招きをされて近くに寄ると、幸は太ももをぺちぺちと叩きだす。私の頭をここに乗っけろとでも言うように。
「ええと...」
「いいから早くして」
「あっ、はい。失礼します」
特に抵抗できずに圧に屈するように頭を幸の太ももに乗せる。私は上を向いていて幸は下を向いているため、私たちはお互い見つめ合っている。
「硬い...」
「感想は聞いてない」
初日に幸の前髪をどかして素顔を見たけどそれ以降は前髪の隙間から見た顔しか見ていないため最近はっきりとは見たことがなかった。だけど今久々に見ている。あの日の記憶の中の顔とあまり変わっていない。いやむしろ食生活が改善されてより美人になっている。正直臆しているのだけれど、幸の長すぎる前髪がカーテンのように視界を遮っていて、私たちの交わっている視線はまるでトンネルの中。膝枕が終わらない限り謎の引力によって私たちはこのままである。
「あの...、これはいつまで...?」
「終わってもいいなら今からでも」
「うーん、あともう少し」
「ん」
なんだかとても気恥ずかしいけれど、次があるのか、あってもどのくらい先なのか分からないからもう少し堪能することにした。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
そろそろ一周間以内投稿いけそうですね!
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