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タイプな自殺志願者がいたので全力で幸せにする話  作者: 幸愛 リリー


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4/13

料理

四話目投稿しました!

一週間以内目標が結局はいつも通りになってしまいました...。

誤字脱字があったら申し訳ない。けど最後まで読んでいただけますと嬉しいです!

 幸と二人で買い物に行った時に買ったダブルベッドが届き、睡眠の不安点が解消されて数日。買い物をしてから一週間が経った頃に珍しいことが起きた。


「食べに行きたい...」

「.........どこに?」


 そう。幸から私に初めて話しかけてくれたのだ。と思ったけどそういえば初日にトイレの場所聞かれたけれど、それは違うなと自分の中で勝手に決めて初めてだということにする。


「前に行った駅前の店」

「ひっ...。うーん、まだ仕事が片付いてないからなぁ」


 危なかったー。一人で行ってくれば?って言うところだった...。最近というかそういう行為は初日以降見られないけど内心どう思ってるか分からないから無鉄砲に言うのは良くない。今は仕事の合間の休憩中である。決してサボっているわけではない。

 私も食べには行きたいのだけどさっき言った通り仕事があるし、散財をしすぎたからあまりお金を使いたくない。


「そもそもなんで行きたいの?」

「分からない?」

「美味しかったから?」

「それもあるけどそうじゃない!」

「うーん?」

「毎食毎食レトルトで飽きたの!」


 まぁ分かってはいたけど、分からないふりをしてしまった。いつもなら一方通行なやり取りなのだけど、今日の幸はちゃんとを受け答えしてくれるからついどんな反応とか言葉が出てくるの気になってしまった。

 

「でも今日は無理です」

「むうぅ」

「じゃあ幸が作ってみれば?道具はあるよ」

「食材は?」

「ない」

「てかあなたが作ってよ」

「ダメ、家が無くなる」

「はぁ、じゃあお金頂戴。食材買って、自分で作るから」

「.........え?」


 え?えーっと?幸が買い物に行くって言いました?ええっと...。いや聞き間違いかもしれない!ちょっともう一回聞いてみるか。


「もう一回言ってもらっていい?」

「食材買ってくるからお金頂戴」


 聞き間違えではなかったみたい...。どうしよう...。なんかもう行く気満々だなぁ。本当は嫌だけど咎めるのも何か違う気がするからしょうがなくお金を渡すしかないか...。まるでまだ幼い子供におつかいを行かせるような感覚に陥る。まぁ子供なんていないけど。ましてや年の離れた妹とかもいない。


「はい、バッグと財布。お金は財布の中に入れてあるから」

「わかった」


 私が持ってるそれらを取ろうと手を伸ばす幸。それを避けるように手を引っ込める。私の脳はそんな信号送ってないはず。どうやら内なる私が本当に行かせたくなくて反射で避けたらしい。だから当の私はなんで手を引っ込めているのか分かってない。


「なにしてんの?」

「わざとではないんです」


 例のごとく前髪で表情が見えない(なんだったら髪が伸びてきていてもっと見づらくなっている)けどものすごい圧を感じたおかげでつい敬語になってしまった。


「はい、どうぞ」

「ん」


 引っ込めた手を伸ばして幸に受け取らせる。受け取った幸はそのままスタスタと玄関向かって行った。しかし私の中に疑問が生まれたので、その疑問を幸に投げかける。


「そういえばスーパーの場所分かるの?」

「知らない」

「買うもの決まってるの?」

「何も」

「...とりあえず戻ってきてー」


 何をしに外に出ようとしたのか全く分からない彼女にここから徒歩十分で着く手書きのスーパーの地図を渡して、幸はこの前食べたホットケーキを作るらしいのでそれにまつわる食材リストを書いてあげた。そして幸は再び玄関に歩いて行った。

 

「いってらっしゃい」

「......」


 何の返事もなく、その代わりのようにバタンッという玄関が閉まる音が私の耳に届いた。お金あげたのだから返事ぐらい返してくれたっていいと思うのですけどね。

 さてとっ、そうこうしているうちに休憩時間が終わっていたので仕事を再開しなければとパソコンを開いてカタカタと叩く...のだけれど、正直幸の様子が気になってあまり手が動かない。だからしょうがなく本当にしょうがなく幸がスーパーに入るところを見届けてから仕事をしようと思う。これは決してサボりではない。というより仕事が進まないその原因を取り除くのだからむしろ仕事している。っと思うことにした。


 さっと行って帰ってくるからメイクなんてせずにすっぴんを隠すように帽子にマスク、そしてグラサンをかける。見た目は不審者でこれから幸の後ろを付いていくのだから行動も不審になるから通報を受けそうだけれど、そんな外にいるわけではないから気にしない。

 外に出て五分ほど、距離で言えば自宅とスーパーの中間のところに幸が歩いている姿を見つけた。幸が自宅を出てから十数分経っている。うん...、遅い。これから十数分、幸の後ろを付けなくてはならないから周りの目が気になってしまうけれど私の心の平穏のためには仕方ないので後を付ける。しかし特に何事もなく幸はスーパーに着いた。だから結果的にわたしが奇異な目で見られただけだった。とても恥ずかしい。


 幸が無事にスーパーに入って行くの見送ったので私は来た道を辿って自宅に帰って仕事をやっと再開する。不安が取り除かれたからかいつも通りに集中して仕事を進めることができ、気づいたら一時間経っていたのだけれどまだ幸が帰ってきていない。取り除かれた不安が舞い戻ってきたのでまた私の手が動かなくなる。

 またまた仕方なく先ほどの防具を装備して外に出てスーパーの道を歩くと、荷物を持って見るからにへとへとそうな幸が歩いてくるのを見つけた。だから駆け足気味で駆け寄ったのだけれど...、幸は荷物を捨てて私とはいない方向に走りだした。なんで!?っと思いながら捨てられた荷物拾って走って追いついて幸の腕を掴む。


「嫌!離して!」

「私だよ!わ・た・し!」


 私から逃げた理由が分かり、装備を外しながら幸をなだめる。というかこういうの抵抗しなさそうだと思ったけれど意外にも拒むのかと思った。もしかして私のおかげでそういう感情は薄まっているのかなと自惚れてもいいのかもしれない。


「...!なんだ...犯罪者か」

「まぁ確かに無理やり自宅に連れ込んでしまったけどさ...」

「冗談よ」

「冗談じゃなくなっちゃてるのよ」

「ほんのちょっとだけ感謝してる」

「......ん?」


 今日は本当に気分が良いんだろう。ものすごく聞き取りづらいぐらいの小さい声だったけど何とか私の耳達はそれを拾ってくれた。どうやら自惚れていいらしい。少しからかいたくなったけれど当の本人は照れ隠しなのかわからないけどスタスタと私の横を過ぎ去って自宅に向かって歩いて行った。荷物を私に持たすなと思った。幸の歩行速度は遅いから結局は追いつくのだけど、なんだか話掛けづらくて私たちの間に会話がないまま自宅に着いた。


 帰ってきたら私は仕事、幸は料理に取り掛かる。幸に作り方は分かるのか聞いたところパッケージの裏面に書いてあるとのこと。そうなんだ...知らなかった...。

 しばらく仕事に集中していると甘い匂いが私の嗅覚を刺激する。そろそろ出来上がるのだろうと思って飲料水を取りに行くついでに見に行く。(本当は逆だけど)チラ見をした程度だけど私の目にはパッケージと同じ見た目をしたホットケーキが映った。どうやら幸は料理ができるらしい。羨ましい。

 どうせ私は何を言っても食べれなさそうだからねだらずに大人しく仕事に戻る。頭の傍らに先ほど映ったホットケーキがちらついてあまり仕事が手につかない。今日全然仕事が進まないなと思った。その原因がすべてあの自称猫のせいなんですけどね。

 さて、うだうだ言ってもしょうがないからやるかぁと思ったときにコトッと一枚のホットケーキが乗ったお皿が置かれた。


「一枚だけ食べさせてあげる」

「いいの?」

「いらないなら別に...」

「いる!いる!食べるから!」

「まぁ私は三枚だけどね」


 テーブルの方に置いてあるお皿を見てみると言っていた通りに三枚重なったホットケーキがあり、さらにこの前食べた駅前のホットケーキを再現するかのようにハチミツがたっぷり入った器まである。まぁいいか...。


「ありがと!」

「別に...ただのついでだし...」

「それでも嬉しいよ」

「...そう」


 そう言って逃げるようにテーブルの席に着いて食べ始めた。毎日こういう日がいいなぁって思った。

 私も食べようと思ってあまり動いていなかった手を止めてフォークを取りに行くついでに幸が食べているところを見る。なんだか幸せそうに食べている。私も戻ってホットケーキを一口サイズに切ってハチミツをかけてバターも乗せて口に運ぶ。うわぁ、めっちゃ美味しい。外食しなくてもいいぐらいには満足度がすごい。さすがに食材の質が違うから駅前のお店の味にはかなわないけれど。

 そういえば私は外食とか学校の調理実習とかを人の手料理と言わないのであればこれが初めての手料理だなと気づいた。なんだか妙に体が温かい。

 まだ残っているホットケーキを一口、また一口と口に運んで完食する。ちなみに幸はもう食べ終わってる。お皿をシンクに戻して幸にお礼を言う。


「美味しかったよ。ありがと」

「あっそ、別に聞いてない」

 

 テーブルに肘をついて口元を隠すようにその手に乗せてそっぽを向く幸。今日は記念日にしたいぐらいには珍しいことが多く起きた。だけど幸は何を考えているかわからないから突然こんなことを言い出す。


「ねぇ、私が毎日料理作ってあげようか?」

「いいの?」

「最近やることがなくて暇なんだもの」

「じゃあお願いしようかな」

「わかった」


 幸が来てもまだまだいつも通りだと思っていた日常が明日以降から、いや今日から?少し変わっていくらしい。私はそれを悪い事なんて微塵も思わない。むしろ望んでいたものに少しでも近づいている気がするから大歓迎である。だからこれからが楽しみだと思った。

最後まで読んでくださってありがとうございます!

これからも一週間以内投稿を目標に頑張っていきます!

ぜひ!高評価やポイント、感想をいただけたらとても幸いです!

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