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タイプな自殺志願者がいたので全力で幸せにする話  作者: 幸愛 リリー


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2/13

初日

二話目を投稿しました。

今回も文字の誤字脱字があるかもしれませんが、それでも読んでくれたら嬉しいです。

「んぅ...」


 朝特有の陽の光がカーテンの隙間からまばらながら私に降りかかる。それが私には眩しいもので目が覚めてしまった。目を開けると、私を真顔で見つめている彼女の顔が映る。それに思わず驚く。驚きすぎてベッドから落ちてしまった。寝ててもベッドから落ちたことなかったのに。そんなしょうもないことで落ち込んでいると上から声が降ってきた。


「トイレ...借りてもいい?」

「ど、どうぞ。部屋を出て玄関に近いドアがそうだから」


 彼女はこくりと頷いてすたすたと部屋を出ていく。やっと喋った言葉がそれかいと思ったけれど久しぶりに彼女の声を聞けたからまぁいいかと思うことにした。

 しかし、今気づいたけれど彼女を一人にしてしまった。少し嫌な予感がするから様子を見に行くと水が流れる音が聞こえた。どうやら私の杞憂だったらしく、起きたばかりで口の中が気持ち悪いのでそのまま洗面所で歯を磨くことにした。この後朝ごはん食べるのにね。

 その後リビングに戻って食パンをオーブンに入れるところでベッドに腰かけている彼女に声をかける。


「食パン食べる?」

「食べる」

「......」


 返事が返ってくるなんて思っても見なかったから少し固まってしまう。なんなの?この人。昨日私の家に上がってからずっと黙ってたくせに急に喋って、まぁでもずっと黙っていられるよりいいけどさ?

 とかなんとか思いながら食パンを二枚オーブンに入れて焼く。その間にちょっとお話してみちゃおっかな。


「ぐっすり眠れた?」

「うん」

「......」


 私、自分が人とあまり関わってきたこと忘れてた。こうゆう時どういう話をすればいいのか全然わかんない。それから必死で話題を考えるもののオーブンから食パンが焼けたこと知らせる音が鳴った。要するに時間切れです。

 オーブンから食パンを取り出して皿に乗せ、ついでに冷蔵庫からジャムとマーガリンも取り出す。それらをテーブルに並べる。そして彼女を椅子に座らせる。私は食パンを食べる時はいつもマーガリンを塗ってその上にジャムも塗って食べている。今日も例に漏れず塗って食べているとその様子を見ていたであろう彼女は顔をしかめていた。なぜ?そんな彼女はマーガリンだけ塗って食べている。


「私、なんか変なことした?」

「した」

「何を?」


 そう言ったら彼女は私が持っているマーガリンとジャムを塗った食パンを指さした。ん?こういう味お店でも並んでるんだけど...もしかして。


「食べたいの?」

「いえ、全く。そんなぐちゃぐちゃした食べ物食べたくないです」

「食べたことは?」

「ない」


 ふむ。なんか食べたことないくせに私がいつも食べているものを食べたくないと言われると腹が立つ。なので食わせる!


「あーん」

「?食べないけど...」

「あーん!」

「だから食べっ...」


 とやかく言われる前に彼女の口に食パンを突っ込む。口がもごもごと咀嚼しているの確認して食パンを離す。彼女の口元は当然のごとくマーガリンやジャムでべとべとであり、今だけは私の方が上だという優越感に浸れたが、彼女の表情は昨日橋の上で引き止めたときよりも威圧感ある表情をしているからすぐに脱せられた。だからといって私は屈さずに言う。


「どう?美味しいでしょ?」

「...」


 言葉は返ってこないし、めっちゃ睨まれているが口はもぐもぐしてるからまずいということはなさそう。偏食家はこれだから...。そんなことがありつつも私も彼女も食パンを食べ終える。そして私は彼女に問う。


「ちなみにこれからどうするの?」

「?ここに住むけど?」

「まぁ、それは覚悟してたけど...ヒモってこと?」

「そうだけど」

「家事もなにもしないと?」

「あなたは捨て猫を拾ったの。捨て猫がそんなことできるわけないでしょ」


 ...あの、私詐欺に引っかかったのかな。もし彼女を家から追い出したら飛び降りに行くだろうから私はこの自称捨て猫をを飼うしかない。うん。引っかかって全財産なくなったかのような、人生お先真っ暗みたいな絶望を味わった感じ。これは過言かもしれないけど。


「はぁ、名前は?」

「つけていいよ。あなたが拾ったんだから」


 もう、なんなんですかねこの人。寝る前に彼女の名前を知ることが今日の目標なのになぜか今は彼女の名前を付けさせられようとしている。この自称猫取り扱いが難しすぎる。


「もう一度聞くけど名前は?」 

「...」


 自分の名前を言いたくないなんてことってあるんだなって思った。はぁ、仕方ない。この自称猫の名前を聞くのは諦めよう。

 私は妹いないし動物も飼ったこともないから名前を考えたことがなく付けるなんてこともなかった。そんな私がこの自称猫に名付けたら...。


「じゃあ今日から幸(サチ)で」

「...」

「よろしく!」

「......うん」


 なんかものすごく嫌そうな顔してたけど受け入れた返事が返ってきたから気にしないことにした。

 私の家に幸が住み着くってなると二人暮らしになるわけで、二人暮らしになったらなんかあるのだろうかと思いちょっと調べてみる。そしたら今借りている賃貸の契約内容を確認した方が良いと出てきた。二人暮らしなんて想定していなかったからインターネット様様である。大家には昼ぐらいに電話をかけようと思った。


 今日からみんなが大好きの休日である。私の休日は主にゲームか本を読むかのどっちかなのだけれど、新たな住人は何をするつもりなのだろう。


「幸は今日何するの?」

「なんか」

「そう...。一緒にゲームでもする?」

「やったことないけど...」

「じゃあ私が教えてあげるよ」

「...やる」


 その会話した後、わたしたちは食パンを食べ終え、私はゲームの起動をして幸を隣に招く。

 私は最近といっても半年ぐらい前ぐらいだけれど、少し古いゲーム機でゲームをしている。最近のゲームはインターネット対戦が主流で、少しやってはみたけど合わなかった。それに比べて古いゲームは一人プレイが主流で全クリという目標が定まっていて、その達成感が良い。

 さて、ゲームをやったことがないと幸は言っていたからコマンド選択式のRPGのソフトをゲーム機に差し込む。気に入ってくれるだろうか。


「はい、コントローラー」

「ん...」


 心無しか幸の表情少し明るい気がする。そんな彼女にとりあえずゲームが始まるまでは指示を出す。まぁ、いうても操作方法ぐらいですけどね。ちなみにプレイヤー名はねこである。好きなんかな?


 ゲームのプロローグが終わりお前は勇者なんだから世界を救ってこいと言われて町を追い出されてから物語は始まる。


「私はここで本読んでるから困ったら言ってね」

「...わかった」


 数時間が経ち一回も頼られることなく昼になった。忘れない内に大家に電話してしまおうと席を外す。はぁ、次に話すときは退去のときだと思ってたのにと思いながら電話をかける。電話の内容をまとめると、「二人で住んでいいところだしあなた収入多いから契約書書いてくれればちゃっちゃと審査する」と言ってくれた。はぁ、緊張した。


 その後は幸と一緒に契約書を書いて提出した。その時に幸の名前を見ようとしたけれど気が引けたのでやめた。


 それから私たちは自宅に戻り、私は読書、幸はゲームを再開した。それは夕食まで続いたが結局頼られることはなく、合間合間にゲーム画面を見ていたけれど順調に進んでいた。私がやったときは途中途中で詰まって調べてたんだけどな...。途中、邪魔してやろうかと思ったけど目を覆う前髪の隙間から見えるきらきらとした目がそれを止めた。私はもしかして甘いのだろうか。


 夕食の時間になりご飯を作りにキッチンに立つ。そして私は思う。逆じゃね?って。でもいつまで幸がいるかは分からないけれど、その間はこういう生活が続くのだから慣れていかないといけない。...嫌なことに慣れなきゃいけない。泣けるね。


 夕食が出来上がる。ええ、もちろん湯煎にかけたレトルトカレーです。料理なんてできないので。出来上がったそれらをテーブルに並べて幸と一緒に食べる。私は食べ慣れた味だが幸はそうではないらしい顔が少し見える。普段何を食べていたんだろうか。この後はシャワーなのだが...。


「シャワー先浴びる?」

「今日はいい」

「私、汚いの無理だからダメ!」

「じゃあ、あなたが洗って」

「......」


 はぁ、またかぁ。


「じゃあ、ちゃっちゃと浴びますよ」


 そう言って幸の腕を引っ張って浴びさせて洗った。面倒臭いので私も一緒に。上がったらまた各々さっきの続きを再開する。そこから時間が経ち夜が深まってきた頃、私たちはベッドに横になる。


 二人暮らし初日、あまり会話を交わしていないけれど一人暮らしをしていた時にはあった寂しさが今はもうない。同じ部屋なのに一人いるというだけで違う空間である。だから一応の感謝を込めて言う。


「おやすみ、幸」

「...おやすみ」


 なんだか少し愛おしいと感じた。

最後まで読んでくれてありがとうございます!

できるだけ早く次の話を上げれるように頑張りますので

ぜひ!高評価やポイント、感想をいただけたらとても幸いです!

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