出会
初投稿で文字の誤字脱字や構成がぐだぐだな部分もあるとは思いますが、それでも最後まで読んでくれたらとても嬉しいです!
「人生って上手く事を運んでくれないよね」
「もうその言葉を何度聞いたか...」
私の愚痴に呆れる友人、池田 花音は私が足繁く通っているビアンバーにて出会ったとても寛容な心の持ち主のお方なのです。今はそのビアンバーではなく近場の飲み屋で愚痴を聞いてもらっている。
「大体泉はストライクゾーンが狭すぎる!それに加えて自分で行動を起こさないからせっかくのチャンスを無駄にする。はっきり言って恋愛下手すぎ!」
「めっちゃずばずば言うじゃん」
「そろそろあなたの恋愛関連の相談に乗るのは時間の無駄かなって」
「冷たすぎる!」
花音の乗る気のないあしらう言葉とお酒を飲むと発動する泣き上戸により私の顔は涙で覆われてしまった。
確かに私、泉 恵は友達も少なければ恋人もいたこと無い。人と極力関わらないではなく人と関われない人生を送ってきた。私と友達になってくれた人達ありがとう!
「いつ見ても...」
「なんでそこで止める!?」
「...顔だけは良いからなぁ。正直惚れてしまいそうになる」
「酔ってる?」
「かもねっ」
自分の顔の評価なんて分かったものじゃない。だって人と関われないんだから。だけど私の友人たちは「顔だけは良い」と言う。中身は?そういえば聞いたことがなかったや。
「ちなみに中身は?」
「コミュ症で家事もできない奴に惚れるわけない」
「そうですか。ってさっき惚れそうとか言ってたくせに」
「記憶にございません」
なんだこいつと思いつつその後は与太話をして店を出た。お勘定は私が払いました。愚痴聞いてもらったからね。
「今日もありがと!」
「奢ってくれるならいつでも付き合うよ。じゃ私はこれで」
「はいはいまたね」
花音と別れてさっきいた喧噪に包まれた場所とは真逆の静寂に満ちた道を歩き出す。こういう雰囲気は私の心を落ち着かせ、浄化をしてくれると言っても過言ではあるだろうけど、実際にそう感じるのだから仕方ない。
はぁ、彼女欲しい...。私と背が同じぐらいで美人でロングヘアーで家庭的で包容力があって私を甘えさせてくれて相手から話しかけてくれる女性の方はいないだろうか。分かりますよ?いるわけないって自分でも思いますよ。でもどこかを妥協して付き合うとなったとしても私はその人のことを愛せないと思っている。そもそもこんな顔だけの良い中身スカスカの奴を誰が好きになるの?っていう話は置いておいて、どう考えても私がこの性格のままなら、一人寂しく生きていかなきゃいけないんだよね。嫌だなぁ。
小さい頃から学生時代まで当たり前の如く一人で過ごしてきた。だからこそと社会人になり親との関係とか金銭面とかのしがらみから解放されて、心機一転して脱孤独をしようと思えば現状至る。
今、私の目には多くはないが少なくはない人たちが映っているんだろうが私の意識は主に二人組の人たちに向けられている。当然、間柄なんてわからない。けどその人たちがパートナー同士だと思うと羨ましくて憧れる。でも結局は妬ましいという嫌悪感しか抱かなくなる。
そんな黒い感情は自分にとってとても良くないので早歩きで人気のない道に出る。せっかく心が浄化されたのに見たくないものを見てしまったから飲み屋を出た時と変わらない状態になってしまった。いや、それ以上に悪化してるかも。
そんなこんなで人気のない道を進んでいくと橋が見えてきた。その橋は出かけるときはほとんど通り、そこから見る景色は時間帯問わず綺麗なことが多い。でも有名でもなく誰かが写真を撮っている場面を見たことがないから私だけがそう思っているのかもしれない。それもいいよね。
今日も例に漏れず景色を見ようとして橋に近づくと橋の中央よりも手前に先客がいた。まだ遠かったからぼやけてわからなかったけど近づくにつれて外見がはっきりしてきた。
腰にまで伸びているボサボサの髪にダボダボの衣服、そしてそこの隙間から見える痩せ細った腕や足おまけに私と同じぐらいの身長。まじまじと見て申し訳ないと思いつつ私のタイプに片足突っ込んでるなと彼女に異変があるのにも関わらず自分の事しか考えないのである。
だからと言って私に話しかける勇気なんてないので素通りして橋の中央で景色を楽しもうと思って彼女の横を通り過ぎると独り言が聞こえた。
「もういいや...」
私は女性がいた場所に目を向ける。その女性は欄干に手を伸ばしたが、私がその手を掴む。ここの欄干は死亡事故等がなかったからか高さが低いのにも関わらず橋の高さは飛び降りたら無事では済まない高さがある。不穏な言葉とともに欄干に手を伸ばすのだからさすがに止めに入る。
「なに?」
離せと言っているとしか言いようの無い表情をして、ドスの効いた声を浴びせる。その圧に私は当然怖気づく。でも目の前で飛び降りようとしている人を黙って見ているわけにはいかないのでなんとか持ち堪えて声を発する。
「飛び降りるのは...良くないんじゃない...かなって...さ?」
「何が良くないの?世界から一人消えるなんて些細なことでしょ」
「でもあなたの血塗れの姿なんて見たくない!」
「そんなの見なければいいじゃない」
どうしたらいいのか分からない。けどさっきから彼女は振りほどこうとしてるんだけど全然振りほどかれる未来が見えないぐらいには力が弱い。...じゃあこのまま私の家まで引きずろうと思い、方向転換して歩を進める。そして案の定彼女はぎゃいぎゃい騒ぐ。
「ちょっと!離してよ!」
「嫌だ」
「どこに連れて行く気?」
「そりゃ私の家でしょ」
「行かないから!早く離して!」
「離してもいいけどその後どうするつもりなの?」
「当然、さっきのとこに戻るけど」
なんかもうずっとこの押し問答が続きそうだから無視することにした。貧相な見てくれなのにどこからそんなに大きい声を出せる元気があるんだろうか。
そんなこんなでキャンキャン吠える野良犬みたいな彼女を無理やりっていうとなんか犯罪を犯している感じになるけれど、無事に自宅に引き連れてくることができた。
「ほら、上がって」
「上がんないから!」
「はぁ...」
せっかく手を離してエスコートしたのに回れ右して逃げようとする彼女の手を捕まえて家に押し入れる。傍から見たら拉致監禁の場面にしか見えないけどもう夜も深まってるから誰も見てないと思うことにして私も家に入る。
「お腹減ってる?」
「......」
「シャワー入る?」
「......」
「...お風呂洗ってくるから逃げ出さないでね」
急に何も言わなくなったが特段気にすることもなく、どうせ返事は返って来なさそうなので待たずに洗いに行く。そしてふと思う。私は今何をやっているのだろうって。助けてしまったが故にその後のお世話もしなければいけない責任感からなのか、私のどタイプになりえる可能性があるからという満足感のためなのか、はたまた別の理由かもしれないけど結局は責任感からだなと結論付けた。そんな考え事をしてたら洗い終わってたのでお湯を張って彼女のいるリビングに向かう。
リビングに着くとキッチンには包丁持ってその刃先を喉元に突きつけた彼女がいた。私はその姿に少し動揺したけど、よく彼女を見てみると手が震えている。だけど私の予想だと彼女の力じゃどうにもできないと思い、安易に彼女に近づく。結果は普通に包丁を取り上げることができた。構ってちゃんか?と思えるほどぼーっと突っ立っていた。
そんな彼女をとりあえず椅子に座らせて、私は鍋に水を八割ぐらい入れてレトルトのおかゆをいれて火に付ける。私はさっき夕食を食べたからこれは彼女のおかゆである。お腹が減っているかは知らないが見た目からして減ってるでしょうという決めつけで作っている。
お湯が沸くまで暇かつやっと落ち着ける時間ができたから今一度彼女を観察してみる。会ってからずっと俯いているのと髪が長いせいで素顔が分からない。だから早くお風呂が沸かないかと待ち遠しく思う。どうせ連行して一緒に入らないといけないだろうからね。そしてこの体の細さだよね。服のおかげでよく見なければ気づかない程度には隠れているけどやはり手とか足は出ていて、それを見てしまったら骨と皮で形成されたような肉の少なすぎる体に気づく。現代社会にこういう人いるんだなと知った。
彼女を堂々と見ていたら沸いていたので火を止め、残っていたご飯をよそってレトルトのおかゆをかけて提供する。わかっていたとおり微塵も食べようとしないので私がスプーンで掬って彼女の口にねじ込む。なんとか全部食べさせたところでお風呂が沸いたことを知らせる音が聞こえた。
私と彼女の分の着替えと一人を持って洗面所に向かう。無気力人間とはいえ人と一緒に入ったことがない私はとても恥ずかしい。しかも彼女はもちろん何もしないので私が脱がせなければならないため、二倍の恥ずかしさが襲ってきたが彼女の裸姿がそんなものを吹き飛ばす。一言で言えばグロイ。
そんな彼女をお風呂場に連れて行き、先に私の髪と体を洗う。そして待っていたと言えば待っていた彼女の素顔との対面。余計なお世話だったんだろうけど、ここまでしたのだから何かもらっていいだろうと髪を洗いながら前髪をどける。そこから現れたのは私よりも美しい造形をした顔だった。肌は潤ってるし色ムラもないし他にもあるけれど、とにかく顔にはとても自身があった私がここまで驚いているというのだからそれで察してほしい。そんな美貌に思わず後ずさるが一人暮らしのお風呂場だからすぐ壁にぶつかる。いうても少し後ろに下がれたおかげで彼女の全身が目に収まる。...言っちゃ悪いだろうけど、体が骸骨みたいで顔が生身で......まるで.........さすがに人に言う言葉ではないな。私は気を取り直して彼女のボサボサの髪を洗い、傷だらけの体を洗った。
洗い終わればあとは湯に浸かるだけなのだが、二人が入れる大きさじゃないなと今更思う。とりあえず私が先に入ってその上に彼女を乗っける。重さをほとんど感じなかった。
お風呂から上がって、着替えて着替えさせる。だけど私には風呂上りにやることがある。それはスキンケアである。見た目しか取り柄がないのだからしなければならない。ふと横を見る。髪が細くて濡れているせいかその隙間から見える顔が恨めしい。今やっていることを否定されている気分になる。でもちゃんとやるんですけど。
一日のやることが終わってあとは寝るだけ。私のベッドのサイズはセミダブルだがシングルだとしても半人な彼女なら余裕で一緒に寝られるだろうけど。人と寝るのなんてめっちゃ久しぶりで若干の抵抗感もあるけどこの人、私の目が届くところにいないと何をしでかすか分からないから一緒に寝るという選択肢しかない。ちょっと硬い抱き枕だと思って寝るか。寝ててもどうにもできないだろうし。
「ふぅ」
私のストレスを少しでも減らすために花音と飲んできたのに何故だかとっても疲れたし、この人私がしてほしいことされてたなと今になって思う。そしてその美貌。羨ましいし恨やましい。でも連れてきたのは私とはいえ目の前で飛び降りようとしてたら無視できないでしょ!はぁ、なんか詐欺にあった気分。
もう寝ようと思い目を瞑る。せめて明日からは自分で動いてほしい。あわよくば今日したことを私にもしてほしい。どっちも叶う気がしないし、明日も居続ける保証もないのだけれど。
そうしてどんくらい経ったかわからないけれど何か耳元がうるさくて目を開ける。ただ真っ暗だから目を開けても意味がなく、結局目を閉じ、耳を澄ませるとすすり泣く声がかすかに聞こえた。どうせ目を開けても無駄なので手探りで彼女を探してそっと抱きしめる。
明日は彼女の名前が知りたい、あわよくば友達になりたいと思った。
最後まで読んでくれてありがとうございます!
できるだけ早く次の話を上げれるように頑張りますので
ぜひ!高評価やポイント、感想をいただけたらとても幸いです!




