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爆発無傷

 なのだが、敵は本当の奥の手をまだ残していた。


「フハハハハハハハ! フハハハハハハハ! ピピ――言語機能のエラーを確認しました。言語をJMT南国同盟に変更します。ピピ――言語機能を初期設定に変更しました。ああクソ、なんだこのバグ! せっかく格好いいところなのに!」


 怒らずとも最初からグダグダだったと言ってあげるべきだろうか。ちなみにバグの原因はおそらくリーゼのリモコンである。彼女が隣で小悪魔的微笑を浮かべながらピコピコと緑と赤いボタンを同時押ししているのを確かに見た。


「……ごほん! この竜の動力や【太陽を敬う(コロナドミナス)】のエネルギーはどこから出ていると思う? 一瞬にして金属さえも消し炭にするパワーはどこから? そう、この機械竜アリアージュには太陽圧縮結晶テスカトルタイトが内臓されているッ! そのパワーを外部に放出すればこの場で超高圧のエネルギー爆発が生じ、街ごと木っ端微塵だ! フハハハハハハハ!」


 そんな彼の発言に慌てているのは響君とその取り巻きちゃん、それとエロイアイテムの店主ぐらいで、あとは馬鹿だなぁあいつって感じの目でドラゴンに哀れみの目線を与えた。それを絶望か何かと勘違いしたのか、竜はご機嫌にカウントダウンを始める。


「フハハハハ! 三分間待ってやる! 精々逃げ惑え! 最期の言葉でも泣きながら言うんだなフハハハハハ! 百八十、百七十九、百七十八――ピピ、言語機能にエラーを確認しました。言語をJMT南国同盟に変更します。リァモウハサピィハゥンデェ、リァモウハサピィタGIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」


 あぁあぁまた言語機能がおかしくなってしまわれた。ドラゴンはむしゃくしゃしたのか怒りの雄叫びをアメコミ風に空に轟かせる。手足は動かせなくなっているらしい。無論、機関銃やミサイルも。自爆装置とやらだけ作動するようになっているのはリーゼの優しさか、……いや、邪悪さか。


「だってさリーゼ。俺たち最期になるらしいから、その前に俺を大人にしてくれよ。ほら、一緒に大人のエレベーターへ!」


 もちろん冗談なのだが、リーゼは想像以上に慌てて顔を真っ赤にしてリモコンを顔面に投げつけてきた。俺はそれを顔で受け止める。幸いにも変なボタンを押したりはしなかった。それよりもイケメンの形相が怖かったので彼の前では色々自重しようと思った。


「セクハラっすよ!? 却下っす却下! それより、カイト。実験っすよ? そこの髑髏マークの、絶対に押すなボタンを押すっす」


「押しちゃだめなんじゃないのか? まぁ押しちゃだめならそんなボタン造るなって話だけど」


「前フリっすよ。まぁ確かにカイト以外が押したらとんでもないことになるっす」


「おっけ。ポチっとな」


 カウントダウンなんて必要ないかなって思って、特に大したことも考えずにボタンをおした直後、竜の体から太陽のごとき光が溢れ始め、その閃光と圧倒的なまでの爆発が一瞬にして街全体を覆うのだった。とはいえそれは一ダメージで、動かなくなるのは動力が無くなったアリアージュと、本当は痛すぎて死ぬのではなく、激痛の後に死ぬのが副作用だったやばいお薬を刺した俺だけであった。


ゴールドゴーレム

全長2m~5mで、金の装甲で武装した人型ゴーレムを示す。しかし装甲に使われる金は自然界に存在する金を使用することはなく、錬金術によって作り出した錬金と呼ばれる特殊な金を使う。

 通常の金では柔らかく、とてもではないが装甲などに使うのは不可能であり、これらは金貨や装飾品、もしくは錬金術の素材として使われるのに対し、錬金で作られた金は「完全存在」という魔術的な要素を含み、不滅の装甲を手にすることとなった。その頑丈さは錬金を作成した術師や使われた素材に依存するものの、その多くはミスリル銀などとは比較にならない強度を持つ。

 武装は剣などはなく、その豪腕と脚でもって標的を叩き潰す。アルトゥリックにおいてこのゴーレムは警備用ではなく、敵の殲滅を行なうためのゴーレムである。

 そのほかには、奥の手としてその腕をロケットのように撃ち放ち、着弾地点に激烈な爆発と衝撃を起こすことができる。一見すると片腕を消費し、二回しか行なえない攻撃は非合理的極まりないが、これは暗黒騎士ブラックナイトの職業スキルである「暗黒剣」と呼ばれるスキルを擬似再現しているためである。

 このスキルは魔力ではなく自らの生命力を犠牲にして極めて強力な攻撃を叩き出すものであり、またマジックアイテムや個人スキルにおいてもなんらかの代償を要求するスキルは強力なものが多いのと同じで、ゴールドゴーレムは片腕を犠牲にするという代償行為を行なうことによってその攻撃を強化しているのだ。


 余談。錬金術師が金を精製することで金貨を造れるのではと一時期問題になったが、それにおいては一切問題はなかった。錬金術師が造った金は全てが頑丈過ぎるからである。また、作成に同等もしくはそれ以上の金や希少素材を使うために基本的に儲けにならない。

 しかし本当に優秀な錬金術師が造る金であれば、その金は武具の素材として莫大な富を生み出すだろう。


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