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集合

「うわっ、モロに入ったぞ。痛そう。ってそうじゃなくて! ティア! とりあえずちょっと大人しくするんだ。絶対危ないから」


 倒れた敵に追撃を与え殺害せんと駆けようとするティアを羽交い絞めにして、リーゼに抵抗されたときのために買った手錠と目隠しを素早く取り付ける。オマケで貰った蝋燭は非常時にでも使わせてもらおう。


「……なぜ手錠もするのですか。ここまで拘束されると恥ずかしいのですが」


 前はなんだかんだで喜んでいたくせして、一丁前に恥ずかしがる。体を縮ませて、頬を朱に染める姿はどんな場所であろうと関係なしに艶やかである。とりあえずあの馬鹿が倒れているうちに仲間の暴走に手を打ってしまおう。俺の真似をするイーリスの真似をすればいいだけだ。実に簡単である。……恥ずかしいが。


「……あんな奴じゃなくて俺だけを見てろよ」


 俺はまるで女性向け恋愛漫画の広告バナーみたいな台詞を威圧的に言って、エア壁ドンをして迫る。


「ン……ふぁ、はイ」


 ティアは敵を撲殺しようとする衝動を霧散させると、まるで可憐な少女のようにか弱く、だが大人びて香の混じったような返事を返した。どうしてこの子はこんな風になってしまったのか。製造者(おや)の顔が見てみたい。


「おいイーリス、笑って見てんじゃねえよ。見世物じゃないぞ。リーゼもだ。笑うのか怒るのかハッキリしろ」


「いや、だって面白いですし」


「怒りたいっすよ……! でもそんなの見て堪えるほうが……くくく」


 なんで俺達はこんな状況になっても馬鹿やってるのか、そんな疑問が脳裏を過ぎったとき、肌を震わせるような威圧感が轟いた。


『ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ』


 スカイネーターから擬音が響く。漫画で見られる表現であるがいざ耳に入るとバカっぽさが際立つ。しかしそんな馬鹿っぽさとは裏腹に、倒れていたフィティーは糸に引っ張られるかのごとく、勢いよく立ち上がった。


 ダメージがあったようには見えないが、金属で殴打されたことで仮面の片側は完全に砕けていた。


 赤く光っていたのはどうやら仮面の機能らしい。宝石のように輝く紫の瞳がこちらをじっと見詰めていた。左側しか見えないので断言はできないが整った立ちをしている。言ってしまえば女にも見えるし男にも見えた。


「…………」


 不意打ちは予定外だったのか、フィティーは閉口した。時折、スカイネーターに助けを求める視線を送っているのはご愛嬌だ。数秒もするとスカイネーターが台詞を小声で教え始めた。


『ゴゴゴゴゴ……この我に一撃を与えるとはやるではないか。だが、もう遊びは終わりだ』


「ごごごごご……この我に一撃を与えるとはやるではないか。だが! もう遊びは終わりだ」


 多分だがゴゴゴゴゴは口にする必要はないと思われる。


「せっかくお気に入りの仮面だったのに……人が自己紹介してるときに攻撃するなと教わらなかったのか? まぁいい。予定通りこの街は滅ぼしてやろう!」


 フィティーがいかにも悪者らしい笑顔で指を鳴らすと、待機していた金のゴーレムが再び動き出した。こちらがどうこうする前にまだ撃っていないほうの腕をこちらに構える。非常にまずい、あの攻撃が来る。


「ティア! すぐに防御魔法を!」


「無理です。前が見えません」


 俺はすぐさま目隠しを外そうとするのだが、慌てて上手く外せない。おまけに手が耳や首に当たるたびにビクリと震えるものだから、精神衛生的にもよろしくない。


「動くなティア! 上手く外せない!」


「カイトの触り方がやらしいからでしょう」


「こんなときにさすがにいやらしい触り方しねえよ! なめるなよ! その気になって触ったら多分もっと凄いからな! したことないから知らないけど!」


「イチャついてないで早く外せっすよ!」


 リーゼが顔を真っ赤にして訴えるなか何とか目隠しを外すが、防御魔法は手遅れ臭かった。純金の腕がミサイルのように放たれる。


 だが不幸中の幸いにも、俺に掛けられたバフの効果はいまだ持続していた。咄嗟にティアを投げ、爆発で致命傷にならないように彼女の距離を離す。こんな考え方正気ではないが最悪、俺は死んでもいい。


 しかし放たれた純金の腕が俺達を粉砕することはなかった。


 突如として上空から降り落ちてきた白い光にロケットパンチが貫かれたのだ。結果、爆発するはずであったその純金は不発となって地面に落ちた。白い光の力が凄まじかったのか、ただそれだけで地面に面白いくらい亀裂が走る。


「【スターダストアロー】でやんす。間に合ってよかったでやんすよ」


 奇怪な語尾がついた少女の声。慌てて声のした方向に目をやると、そこには飄々(ひょうひょう)とした様子で弓を持つベネッティアと彼女にバフを重ねるクレア。そして、死んだはずのイケメン君がなぜか当たり前のようにいた。結構キレ気味でいつもの余裕そうな笑顔もない。


「リーゼロッテ様を攻撃するとかありえないだろう。鉄くずが、【斬鉄剣】!!」


 鉄と金の違いも分からないほど激怒していたイケメンは、感情のままに持っていた剣で空を切り裂いた。その斬撃はスキルによって地面をも両断する衝撃波となりゴールドゴーレムへと放たれる。それはほんの一瞬の出来事で、瞬きをしたときには既に、金のゴーレムは文字通り一刀両断されていた。


 ゴーレムはバチバチと、切断面から電気のようなものが零れると青い煙を上げてそのまま機能を停止した。続けざまにベネッティアが上空に放った矢によって、周囲にいた鉄やミスリル銀製のゴーレムも次々活動を停止していく。


「ああ……! 助けてくれたのは嬉しいのに素直に喜べないっす……。自信作だったのに」


 喜ばしいことのはずだが、製作者様リーゼにとってはショックなことだったのかもしれない。目の前の敵にとってもだが。


 ゴーレムに襲われていた人たちがイケメン君らを英雄視し始めるなか、俺は何気なくフィティーの表情を伺った。彼? 彼女? の表情に焦りなど一切なく、まるで、このときを待っていたよ。フハハハハ! と今すぐにでも言いそうな表情をしていた。


「素晴らしい、素晴らしい! このときを……このときを待っていたよ! フハハハハハハハハハハハハハハハハ!」


 ほら見ろ。予想した通りの発言だ。そして大胆な高笑いは強者の特権である。フィティーが何か奥の手のようなものを持っていることは明らかであった。


ウデムシ(現実世界の生物) うぃきぺでぃあより^q^


ウデムシ目(ウデムシもく、Amblypygi、別名に無鞭目)は、節足動物門鋏角亜門クモ綱に所属する分類群であり、カニムシモドキとも言われる。ただし、カニムシとは形態的類似性は低く、系統的にも近縁ではない。偏平で丈夫な体と、横に張り出した長い足を持ち、その外貌は他に類するものがないほど異様である。小さいものでは体長5mm程度だが、大きいものは体長4cmを越え、しかも足は体長の2〜4倍以上あるため、陸生の節足動物としては大型の種を含む。


森林の朽ち木の隙間や、樹皮上、洞穴などに生息する。夜行性で、昼間は物陰に隠れる。種類によっては、洞穴の壁に張りつき、天井もはい回る。肉食性で、昆虫などを捕食する。

配偶行動として、婚姻ダンスを行う種が知られている。 卵は卵塊として雌が腹につけて保護する。生まれた幼生は雌の背中に登り、しばらくはそこで過ごす。



人間の生活との係わりはほとんどない生物だが、熱帯産の大型クモ類や甲虫類同様に観賞用に飼育されることがある。




これは完全な余談だが、ハリーポッターの映画に登場しているので探してみてほしいところである。

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