第3話〜心の拠所〜
「私の妹の親友の子、相当いい子らしいよ。妹が言ってた。」
それは、1ヵ月前のバイトの日。店員であり、クラスメイトの篠原恵美が、思い出したように早瀬拓海そう言った。
言われた途端、拓海の頭の中は疑問符で埋め尽くされる。
「・・・なんで今、俺に関係ある?学校で話せばいいじゃないか。」
「だって学校、ケータイ持込禁止だし。」
そう言いながら、ケータイを弄る恵美。
恵美と拓海が通う国立麗宮高等学校は、途轍もなく規則が堅い。ケータイ使用禁止、スカートは膝下、髪は肩にかかる場合は結ぶなど、田舎の中学校みたいな規則ばっかりだ。(髪を染めている拓海は、生徒指導の先生に(無論)指摘されると「地毛」と言い張っている)
「この子だよ。彼女候補にどう?早瀬君。」
恵美は、ケータイに反映された写メをズイッと拓海の方へ向ける。
―――一瞬で、拓海はその画像に魅入った。
「・・・欲しいもの、発見。」
そうポソリと呟くと・・・
「・・・篠原も早く仕事しろ。」
パチンとケータイを閉じ恵美に返すと、恵美を仕事に託した。
「はいはい。早瀬君、欲求もほどほどにね?」
「・・・欲しいものを欲しいと感じることの何が悪い?」
恵美はにんまり笑うと
「だって早瀬君、性質悪いもん。」
見透かしたような瞳で、そう断言した。
拓海は、「どうだかね。」とフッと余裕みを帯びた笑顔で答える。
・・・内心、「よく分かってんじゃん。」と恵美の透視力に観念していたが。
それから、例の方法によって美輝の有無を聞かずに、半ば無理矢理付き合い始めた。
・・・恵美は・・・飄々とした美輝の性格に、安心しきっていた。裏で悩んでるなんて・・・気づかなかったのだ。
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「ただいまぁっ!」
美輝は、重い扉をバンッと開けて威勢の良い声で「ただいま」を言った。
その明るい声が中央ホール全体の隅々まで響き、余韻を数秒残す。
「・・・っせぇなぁ美輝。鼓膜破れるっつの。」
風呂上りなのか・・・大輝は、バスタオルで髪をガシガシ掻きながらホールを横切る。
「へへへ〜ゴメンッ!元気ありあまってるぅ〜って感じ??」
笑いながらそう言い、美輝は靴を脱いだ。
「・・・あ、そうだ。レポートやってくんない?」
思いついたかのようにそう言う大輝に対し、美輝は「ハァ?」と顔を顰めた。
「アンタ1日中何やってたの?」
「昼寝。」
フッと微笑み、手にしていたスポーツ飲料をクイッと一口飲む。
何食わぬ表情の大輝の態度に、美輝は益々顔を顰める。
「流石B型人間・・・よくずっと寝てられるねぇ。」
『テメェのせいだよ』と、声に出来ない反論を心の中でした大輝は、反論する代わりに少し眉を顰めて、またスポーツ飲料を喉に注ぎ込んだ。
・・・美輝がいない間、ずっと起きていると・・・心の拠所がない、喪失感に蝕まれるから、夢の世界で少しでもそれを感じないようにと―――逃げていたのである。
「まぁ、私が書いたら字がキレイすぎてかえって不気味だから遠慮しとくよ☆大輝って字ィ汚いもんねぇ。」
「・・・るせぇよ・・・悪かったな。字ィ汚くて。」
珍しく、拗ねたような口調でそう言う大輝が、なんだか可笑しく思えて・・・美輝は思い切り笑った。
『やっぱ弟扱いされてる』という、弟・・・即ち家族・・・いや二従兄妹という繋がりに苛つき・・・
でも、二従兄妹という関係があってこそ、出逢えた運命を誇らしく思え・・・
大輝の中で、二従兄妹という言葉は、家族としか・・・弟としか見られないことに『苛つき』の感情を覚え、逆にこの二従兄妹という関係があったからこそ、何分か・・・恐らく1兆は超えるであろう分母の1の確率で出逢えた奇跡に、『感謝』して・・・
苛つくのに、感謝する。
俗に言う、“矛盾”だ。
『・・・あれ?私、作り笑いしていない。心から笑えている。』
拗ねた大輝の表情を見て、少女はふとそんな単純なことに気づいた。
でもそれは、「確信」へと徐々に結びついてゆく。
―――大輝の隣が、私の心の拠所かもしれない。自然に笑えるほど、心が落ち着く場所・・・
やがてその場所が、“恋人”という場所に妥当することは・・・美輝は、まだこの時気づいていなかった。
矛盾した気持ちに悩む少年。
無理矢理好きでもない男と付き合わされた少女。
それぞれが辿ってきている、ひとつのグラフ。
それは、互いが、互いの存在を「心の拠所」と素直に交わした時・・・初めて、格子点が生まれるグラフだった。
・・・だが、交互とも伝え合う気はなかった。
それは・・・相手が自分のことをどう思っているのか。それが不安だからなのだろう。
要するに、互いが互いを「ただの二従兄妹」と思い込んでいる。
それが思い込みだと知らない2人のグラフは・・・時を重ねるにつれ、どんどん離れてゆく。
―――伝える術も瞬間も・・・その2つのグラフの離間に飲み込まれてしまい、姿を眩ませて・・・けど、「心の拠所」と思える気持ちは、比例も反比例もせず・・・強い意味を持ったまま、2人それぞれの中に留まっているままなのだ。
『比例×反比例』裏コント〜学校では?〜
作者「え〜。更新遅れてスミマセン&短くてスミマセン・・・」
拓海「ったく。こんなダメ作者でスミマセンねぇ。俺のよさも引き出してねぇし。」
作者「・・・(どんだけナルシなんだよ。)今日は早瀬拓海に登場していただきました。早速インタビュー。」
拓海「さっさとインタビューしろよ。バイト遅れる。早く美輝に会いてぇし。」
作者「・・・(彼女バカ?)学校ではどんな感じ?」
拓海「朝、靴箱に入ってる・・・毎日少なくとも10通以上は入っている手紙(俗に言うラブレター)を適当に回収するトコから始まる。午前中、女どもから調理実習で作った菓子を先公の目の隙を狙って食う。まぁ女教師の場合は許してもらえるから堂々食えるけど。午後中は眠いから適当に拾った女と屋上で寝る。まぁ美輝以外の女見てねぇから疚しいことはしてねぇけどな。部活中はとことんサボる。帰宅したら、風呂入って女からのメールチェックして適当に返信して・・・云々。」
作者「・・・浮気しまくりじゃんか。美輝カワイソ。」
拓海「は?美輝以外の女なんか見えてねぇぞ?何言ってんだよ読解能力ナシ作者。」
作者「・・・(怒)」
拓海はとことんヤなヤツ・・・という設定です




