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確率(ジャンル:ちょいモダン?)
手に握ったサイコロを、ポーンと上に投げてみる。
落ちてくるそれを掌でキャッチ。 開く前に数字を口にする。
「……… いち?」
ゆっくり開いた掌には『4』の出目が上を向いてる。 それを見て僕はため息ついた。
6分の1の確率。 約17%程の確率すら、当てるのは困難極まりない。
それなのに僕が手に持つ黄色い財布は、主人の元へ帰りたいと嘆いているようで。
まぁ低く見積もっても1000分の1程の確率としてみよう。 うん、無理だ。 たった今拾った財布を持ち主に一発で返すなど不可能。
警察に届けよう。 それが一番簡単であり安心である。 僕はそう思い、交番を探し歩いている。
「あの!」
声をかけられ振り向いた。 長い髪が風に揺れる、困った顔の君。
君が財布を落とす確率。 それを僕が拾った確率。
サイコロの出目を外す確率。 僕が交番へと向かう確率。
世の中行ってしまえば、全て確率の問題だ。
だとしたら。
君との出会いって、果たしてどれくらいの確率だったのかな?
何十、何百、何万何億? それでも出会えたのだから。
これはそう、奇跡的な確率と言ってもいいのかもね。




