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第四話

「……どうやら、失敗の様ですね。博士はこれでバッチリだとおっしゃっていたのですが」


「何だコイツ~~!?」


「ウチは好きやけどなぁ……」


 目の前のゴーレムと名乗ったソレに対し忌憚なくツッコむシノハ。好感触のオトギの反応を横に置き、ユイナは面食らいつつも話を続ける。


「あ、えぇと……つまり、貴方はゴーレムの零型さん、というお名前という事でしょうか……?」


「いいえ。ユイナ。ゴーレム零型はあくまで識別の為の分類名称であり名前ではありません」


「じゃじゃあ、ゴーレムさんは何と呼べば……?」


「お好きに読んでもらって構いませんが、名称の例としては私を創造した博士と開発者たちは上記の略称を用い零型と呼称していました」


「で、では零型さんで」


「はい」


「「……」」


 そこで、途切れるユイナと零型の会話。シノハは後ろの二人に対しひそひそ声を出す。


「……どう思うよ、あのヘンテコゴーレム」


「悪い子じゃなさそうやけどなぁ」


「そんなのまだ分からないでしょうオトギ……気を許した途端、ドカンもあり得るんだから」


そんなひそひそ話に零型はゴーレムらしいにも関わらず器用に半眼の表情を作る。


「……何だか、失礼な発言をされている気がしますが……まぁ、よいです。それにしても、見慣れない服を着ていますね、装備ですか? ……少し失敬、スキャンします」


 そういうと零型は目から光を出し、ユイナたちを下から上へと隅々まで照らし観察する。


「ちょ!」


「な、なに!?」


「解析中、機動性を重視した鎧に……首の輪に耳の物体、通信機の様な役割でしょうか、そして腰の物体……火薬を使い加工した金属弾を発射し攻撃をする武器と判断」


「見ただけで!?」


 驚くシノハを気にせず、零型はスキャンを続ける。


「全て魔道具とも、違う……構造、材質はどのデータにも該当は無し……生体データは十代半ばの女性の身体構造と一致していますが……どうも不自然な個所が多い……何より魔力が無い。……貴方たちは一体……」


「! ……わ、私たちは」


 零型への返答を言い淀むユイナ、三人の方を振り向くと、その目線の意味を三人は理解し、シュバッと四人は円状になって集まり、四人のひそひそサークルが結成される。


「ど、どうしましょう。素直に話しますか?」


 と、ユイナ。


「うーん。情報はアドバンテージだからなぁ」


 と、シノハ。


「とはいえ、このままだとこっちも得られる情報、殆ど無いで?」


 と、オトギ。


「だからって、あんな得体の知れないの信じられないってば……!」


 と、ウミカ。


 四人がひそひそと話し合っている最中も零型は気にも留めず思考する。


「明らかに私の知っている文明とはかけ離れた技術……この世界のものとは思えない武器……貴方たちは……いえ、もしかして……。……。成程、理解しました。貴方たちは別の世界からの来訪者、なのですね」


「秒でバレた!」


「ちょ、まだブラフかもしれないでしょ!」


 シノハを窘めるウミカを他所に零型は喋るを止めない。


「そうですか、博士の計画は成功したのですね」


「! 博士……って零型さんを作った方が私たちをここに連れてきたということですか?」


「ユイナ、だから……!」


「その発言は正解であり、間違いです。あくまで予測ですが、貴方たちがこの世界へ来ることになった原因に博士は関係していますが、貴方たちをここに招いたのは博士ではありません」


「? どういうことでしょうか……?」


 ユイナは息を呑む。


「……そうですね。別世界から来た皆さんが話を理解しやすくするために、まずは現状から説明しましょう。まずはこの世界には魔法というものがありますが、この概念は貴方がたの世界には存在しますか?」


「あーやっぱり、あんの!? この世界。知ってる知ってる! 魔力とかで炎出したりとか雷出したりとかでしょ!」


 シノハは腕を振りながら零型の魔法というワードに喜々とする。


「ふむ、あるのですね」


「あくまで空想上の産物ですが……」


 ユイナの補足。零型の考察が続けられる。


「なるほど。そこまでかけ離れた法則の世界という訳ではないのかもしれません。では、ある程度、こちらの言葉を理解できるという前提で進めましょう。……結論からお伝えしますが、貴方たちがここに来たのはとある博士が設計した亜世界転移装置の影響です」


「何か名前からしてモロなんだけど」


話に割って入るシノハ。


「今、生きている魔導線で残った記録装置や情報媒体などを確認しこの都市の現状を確認しましたが、どうやらこの都市は放棄されてから百年余りが過ぎているようですね」


「百年……」


 ユイナは驚き、目を丸くする。


「元々、装置は都市に人が居た頃に実用的ではないと判断され凍結され、放置されて居たはずですが、生きている魔導線を辿ってサーチしてみたところ、それが誤作動で自立的に起動した形跡があります。本来凍結術式によって機能が封じられていた装置ですが、経年により術式が劣化、そして、その後、同じく経年によるエラーで意図しない挙動が発生し、装置が起動。それにより貴方たちが招かれた、ということではないかと」


 淡々と零型の語ったユイナたちの異世界に来た理由。


「それは、つ、つまり……」


「はい、纏めると、先程の疑問への解答ですが、要は『何か呼ぶつもり無かったけど装置の不具合で間違って呼んじゃったみたい。てへっ。』という事です」


「……」


「あれ~……」


「マジすか」


 頭をコツンと叩きながら軽いノリで衝撃の事実を伝える零型に言葉を失くす、ユイナ、オトギ、シノハ。そして、


「う」


「ウミカ……?」


 話を聞き、頭を押さえるウミカにシノハは思わず後ずさる。


「うあああああああああぁぁあっ!!! 嘘でしょ!? こんな訳の分からない所に無理矢理連れてこられた挙句にその理由がただの不具合!? 嘘でしょ、嘘よね、これ!? そう、嘘、これは夢! 本当の私は今頃元の世界でジープに揺られながらグッスリ眠ってるの! そうこれは……あああああぁぁ!!!」


 突如、堰を切ったように感情を溢れ出させるウミカ。現実が受け入れられないと半狂乱で叫び出す彼女にユイナは駆け寄り、何とか励まそうとする。


「ウ、ウミカちゃん! 気をしっかり!」


「あちゃあ、壊れちゃった。……ていうか異世界とか信じてないって言ってなかったっけ?」


「異世界だって信じてないってよりは異世界だって信じたくないってことやったんやろなぁ……ウミちゃんは特に神経質やし堪えるやろなぁ」


 冷静にウミカが発狂に至った理由を分析するオトギ。


「ご理解いただけたようですね。ですが、ご心配なく。私は人と人を結び、手助けをするために生まれた人工生命、ゴーレム零型。別世界から来た貴方も例外ではありません。不肖、この私が皆さんの力になることを約束しましょう。感謝して貰っても全然構いません」


 胸に手を当て、自信満々に胸を張る零型に、


「全然違うんだろうけど、何だろうこのマッチポンプ感……」


 シノハの呟き。ユイナはウミカを励ましなら零型の方を向く。


「わ、分かりました。それでは協力関係を結ぶということで……」


 そう言いながら、ユイナは二人にアイコンタクトを送る。二人はしょうがない、という表情で目線を返す。ユイナは少し考えて零型へこう、提案する。


「……それでは、お願いなのですが。私たちが安全に過ごせそうな、拠点になりそうなところを教えてはくれないでしょうか。まずはそこで零型さんの詳しいお話を聞きたいので」


「なるほど、了解しました。……少々お待ちください。今、維持装置を外します。」


 そう言うと、零型の周りからプシューと煙が噴き出し、ゴトンと繋がれていたケーブルは落ち、零型はゆっくりと立ち上がる。


「駆動系統に改めて異常無し。それでは、早速、城の案内から開始しましょう。着いてきてください。……あふん」


 そして、歩き出したかと思えば急に動きが止まり、体のバランスが崩れ頭から勢いよく転倒し、零型は地面に固まったまま転がる。


「おっと!」


「……ふむ。どうやら起動に際しかなりのエネルギーを使ったせいか、内部エネルギーの残量が不足して活動機能を制限せざるを得ない状態だった様です。お手数ですが、城の倉庫にエネルギー補充の手段があるのでそこまで運んでくださらないでしょうか」


「手間が掛かるゴーレムさんだぜ……」


 突っ伏しながらも冷静な分析をする零型にシノハは素直な感想を漏らした。

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