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175話 亮二とシャルロッタとの一コマ -会話が弾みますね-

あの騒動から1ヶ月が経過しました。

「あの事件から1か月が経ちましたよね。それにしても怒涛のごとく出来事が有ったので、いまだに現状を理解し切れていないのですが、この状態で大丈夫なんですかね?」


「大丈夫じゃないですか?シャルロッタ学院長でしたら、これからどんな問題が起こっても対応できますよ」


「それです!1か月経って、やっと落ち着いたのでリョージ君に今更ながらの質問です!なぜ、私が学院長をしているのでしょうか?ライナルト主任教授の方が間違いなく実績もありますし、人気も高いですよ?それに、他にも何名か教授が居ますよ?」


 シャルロッタからの質問に亮二は「本当に今さらな質問ですね」と苦笑いしながら、この1か月の出来事を思い出しながら説明を始めた。


「まずは、シャルロッタ先生が私の事を思って行動してくれましたよね?」


「当たり前です!可愛い生徒の事を思わない教師が居るわけがないです」


「それが理由です」


「リョージ君!説明が雑!端折り過ぎ!最初から説明して!」


 亮二の大雑把な説明にシャルロッタが抗議口調で説明を求めると、亮二は笑いながら詳細な説明を始めた。


「まずは、“初級探索者ダンジョン”をクリアした事に始まった一連の流れは最高の結果で終わりました。特に前学院長のクリストフェルや前教授のセオドアなどの小者が亡くなった事は僥倖でした」


「亡くなってないからね!みなさん、生きてますからね!ハーロルト公爵が「安心せい。儂が面倒を見てやる」と言っていたのが恐ろしいですが…」


「で、小者の話は投げ捨てといて、はっきり言って人手不足です!その中で人に指示を出せる人材がいれば指揮系統を任せますよね?シャルロッタ学院長にはその能力があったので諦めてください!で、改めて言うのも何ですが、なんで俺まで生徒しながら講師をやらされてるんですか!」


「当たり前です。いま、学院は物凄く人手不足です。その中で人に教えられる人材がいれば任せますよね?リョージ君にはその能力があったので諦めてください」


「それ、さっき俺が言いました!とにかく、早く人材を集めないと過労で倒れますよ…」


「それはお互い様ですね」


 亮二とシャルロッタのやり取りを苦笑いしながら聞いていたメルタを見ると、亮二は勢い良く振り返って質問をした。


「そこで苦笑いをしている未来の俺の奥さん兼メイド長と秘書をしてくれているメルタさん。今日の過酷な予定を教えてください」


「はい。今日のリョージ様の予定は昼まで1時間の講義を3回、その後は昼食を食べながら職員会議を1時間です。昼からは1時間の講義を3回と実技講座を1回。夕方はハーロルト公爵との食事会を兼ねた面談となります。打合せと面談の資料はここに置いておきますので、始まるまでに目を通してください」


「冗談で過酷って言ったけど、普通に過酷じゃない?」


「その通りだと思います。ちなみに明日は学院での活動は同じですが、宮廷魔術師ヘルマン様と枢機卿ラルフ様との面談が夕方に続けてあります。その翌日は騎士団長テオバルト様の後にエレナ姫とマルセル王との食事会が予定されています。食事会では“すいーつ”を作って欲しいとエレナ姫から懇願が来ております」


「ちょっ!懇願って!普通にお願いでいいから!」


 亮二とメルタのやり取りを眺めながら、シャルロッタは自分の忙しさが「リョージ君に比べるとまだマシだな」と思いながら目の前に積まれている書類に取り掛かるのだった。


 ◇□◇□◇□


 夕方になり、亮二とシャルロッタは馬車の中に居た。シャルロッタは首を傾げながら、視線を合わせないようにしている亮二の頬を両手で挟むと無理矢理目線を合わせると質問をした。


「で、なんで私もリョージ君と一緒にハーロルト公爵の食事会に参加する馬車に乗っているんでしょうか?」


「え?それはハーロルト公から面倒くさい依頼があったら押し付け…シャルロッタ学院長にとって、貴族との付き合いは今後の学院運営にとっていい経験が出来ると思ったからですよ」


「絶対に何かを押し付ける気満開ですよね?言い直してますけど、本音駄々漏れですよ!」


 シャルロッタの「やっぱり帰ります」との発言を宥めながら、ハーロルト公爵邸に到着した亮二達は馬車を降りると玄関に居た執事に案内されて食堂にやって来た。


「よく来てくれたの。リョージ伯爵とシャルロッタ学院長。今日は料理人が腕によりをかけて頑張ってくれたそうじゃ。特に“すいーつ”は気合を入れて作ったそうじゃから楽しみにしておいてくれ」


「お招き頂き有り難うございます。こちらは奥様への贈り物とご家族でお楽しみ頂きたいお土産のお菓子です。今度、屋台街から独立店舗を出す店で取り扱ってもらう為に考えたお菓子になりますので、お口に合うか分かりませんが」


「おぉ、これは結構な品をすまぬな。妻もリョージが持ってくる装飾品とお菓子の虜になっておるよ。装飾品もお菓子もリョージが作ったのか?」


「ええ、少し装飾品とお菓子の作成には腕に覚えがありますので」


 ハーロルトが亮二から受け取った装飾品を眺めながら感想を述べていると、シャルロッタも気になったのか装飾品を眺めた。シャルロッタは装飾品の美しさに目を奪われながら「これ、リョージ君が作ったの?」と呟き、亮二の多才ぶりに尊敬を通り越して呆れた顔になるのだった。

今度、シャルロッタ学院長にも装飾品をプレゼントしよう。

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