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第37話 キーマンはダージリンの後に~とりあえずもう1杯~

あれから2日。

獄痛生成器(ヘルペインメイカー)達を倒した『バグ』観光の後、

僕達は若干気まずい雰囲気のまま帰った。


「僕が生きていようが死んでいようが―――」

そう言おうとしたとき、

「その先は、言わないで下さい。

私の方も言いすぎました。遥さんにご自分を大事にとはもう言いません。

ですが、死のうとはしないで下さい。

貴方が死ぬと悲しむ者がいるということを心に留めてくだされば、

それが、私の、幸せです。」


そう摂理に泣きそうな顔で言われたから。

何も言えそうではなかった。



恐らくだけれど、僕は摂理にそれなりには好かれているのかもしれない。

ただ、彼女の意思には関係なく、彼女は世界側の天使だ。

だから、信用しても、信頼してしまうわけではない。

そう言う意味では昨日の空の散歩も悪手だったかもしれない。


彼女の意図しない彼女が引き起こす僕の不利益は、

彼女が望むことではないだろうから。



だけれど、世界を倒した後、もし、僕と摂理が2人とも残っていたのなら、

その時は―――――


「…遥さん、は~るかさ~ん?」


「聞こえているよ。何かな?」



「又悪巧みですか?

考えにのめり込むのは遥さんの悪い癖ですよ。」


「コミュニケーションによって意見を確立するのと、

自己の思考の深度を高めるのでは後者が勝ることもある。

特に僕の場合はね。ところで要件は何かな。」



「ダージリンとキーマンどっちにします?」


「じゃあキーマンで。」



紅茶を摂理に任せながら、その間僕は再び思考を始める。

取り敢えず直ぐに必要な要件は新しくできた5階層分の運用か。

現状の

1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

11~15階層 死の砂漠

16~20階層 罠部屋群

 21階層 未定

 22階層 未定

 23階層 未定

 24階層 未定

 25階層 未定


…深海、砂漠と来て、次は…高山なんかもいいかもしれない。

空きは全て『山』にして統合で運用しよう。

1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

11~15階層 死の砂漠

16~20階層 罠部屋群

 21階層 山地

 22階層 山地

 23階層 山地

 24階層 山地

 25階層 山地


    ↓


1~9階層 浅瀬 浅瀬 海 海 海 海 深海 深海 極深海

 10階層 浅瀬

11~15階層 死の砂漠

16~20階層 罠部屋群

21~25階層 山麓 山地 高山 山脈 超高山帯


最近になって、だいぶポイントの回復量や最大量にもかなりの余裕が出来てきたし、

世界、禁書、どちらのカタログにも閲覧可能なものが増えてきたので、

それらのモンスターをここには大量に蒔いておこう。


高山狩狐(アルパインフォックス)

電波文茄子(デンパナスビ)

散髪唐辛子(チリチリペッパー)

可逆蕃茄(トマトマト)

雪燕(スノースワロー)

雪兎(スローラビ)

飛跳山羊(ホッパーゴート)

山登蟹(マウンテンクラブ)

這敷松(カーペットツリー)


放電雛鳥(ビリビリバード)

放電鳥(エレキバード)

音符角蜻蛉(ノートホーンフライ)


高山狩狐(アルパインフォックス)は即戦力足り得るランクB-の高位モンスターで期待できる。

下3つは特にレア種であり、

特に音符角蜻蛉(ノートホーンフライ)は禁書製のレア種。

つまり礁湖雀蜂(デュカリス)の同様の超特別性モンスターだ。


つい最近蛹が孵って、

仔育てが終わった礁湖雀蜂(デュカリス)に任せてみようか。

それもいいのかもしれない。

蜂が牧場的な意味合い以外で他者を育てるとは思わないけれど、

僕自身(デュカリス)なら何とかしてくれるはずだ。



礁湖雀蜂(デュカリス)の娘達たる蛹の礁湖雀蜂(ラグーンヴェスパ)達は、

今まさに浅瀬一帯を一族の者とせんと、

長く伸びた翅と、魚の尾の様に二股に伸びて薄く広がった尾での水中飛行を楽しむこと9割、

使命感1割で泳ぎ回っている。


水中昆虫の例にもれず、

海中、上空、地上。

ありとあらゆるフィールドで戦力となりうるので、

非常に楽しみだ。



礁湖雀蜂(デュカリス)の最初の姫蜂である仔は、

アリスという名前とのことだ。

特にデュカリスに似たその容姿は、きっと彼女の後を継ぐのに相応しい。

少しおとなしそうな気もするけれど、冷静なのだと判断しておこう。

査定が甘いのは仕方がない。

彼女(デュカリス)の娘なら僕の娘でもあるのだから。


……意外とアリスが親離れできていなくて、

引き離すのには苦労しそうだけれど、

そこは僕自身(デュカリス)に丸投げしておこう。




「遥さん、キーマンです。」

比較的複雑な工程が作りだす独特の味、実に悪くないね。


「紅茶を作る間に、迷宮(ダンジョン)設定ですか?

仕事が早いですね。」



「そういうものさ。」


「広域モニターを見てください。

パターン青…。来たようですね。

ところで、あの2人を覚えています?」



「憶えているさ。それがどうかしたのかな?」


「来るそうですよ。『勇者』に覚醒して。」


それは、――――――とても面白くなりそうだ。

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