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外伝 とある勇者の軌跡 周りの賞賛と、己の焦燥と

証拠のAランクモンスターを提示したことで、

Bランク昇格試験に無事合格したリアさんことリア・メスカリウス。

竜人族内部のごたごたで今はメスカリウス家の人間では無いのかもしれないけれど敢えてそう呼んでおく。


リアさんがBランクに上がってから僕達のチームの扱いは一気に変わった。

それまでは運良く功績を上げたという風評だってあった。

だけど今はBランクがいるチーム。

上位試験の概要を知る者には少なくとも3人で1人をBランクに押し上げる力があることまで理解されていた。

ランクが上がることのデメリットの恐ろしさを知らない者が、

リアさんや僕達3人を自分のランク昇格の為にスカウトに来るくらいだ。

といってもBランクの試験を知る者で実力の無い者がランク上位に上がる事の恐ろしさを理解していない者は少数ではあったが。


何はともあれ戦功を上げただけではなく、クリアリプルスの擁する強者の一角というステージ、

かつてガレクスさんがいた地位に片足を突っ込んでしまった。

それは『血塗られた』事で戦功を上げたと揶揄される事から、

『血塗られた』道で覇を振るう者と恐れられる存在になったことを意味する。


もはや、馬鹿にされることも、批判を表だって受けることも少なくなった。

それをする事を躊躇わせるBランク以上に配布される腕や髪などに飾る幾つかの装飾具がある。

ちなみにこれは様々な種類があって自由に選べるんだ。

Bランクなら銅色。Aランクなら銀色。Sランクなら金色の装飾具という事らしい。



Bランクともなれば武力として恐れられる側面もある。

だがそれ以上にこのクリアリプルスは強者こそを優遇する。


弱者にだって仲間内の小さな輪は回せる。

だが、高位冒険者の様にそこらの冒険者には手が出せない物を取りに行って市場に流すことはできない。

判り易く言うと中小企業が国内で回す経済、つまりはお金の価値に、

大企業が国際舞台で他国から搾取して重みを付加する必要があるわけだ。

中央銀行と地方銀行の話に例えても良い。


更に例えると大企業が心臓であり、外部から栄養を取り組んで血管に流し、

中小企業である毛細血管を使って全身に栄養を送り込む。

心臓と毛細血管。どちらも大切だが、重要度は心臓に分が上がるという事だろう。


全身に栄養や酸素を行き渡らせる様に、

より大きなサイクルで巻き込むことで経済を活性化させる。


マクロな視点の為に冷淡なほど露骨に弱者を切り捨てる。

低ランク冒険者の代わりなら幾らでもいると。



そしてギルドはクリアリプルス国家とズブズブなのは暗黙の了解だ。

貴族社会における爵位とギルドの認定するランクは、

朝廷の役職と幕府の役職の様な関係だ。


なればその強者を弱者が批難することをクリアリプルスが許すはずもなく、

例えリアさんが温厚だと皆が知っていたとしても、その背後を皆が恐れることになるのだ。




そして今の僕とレイウスの立ち位置は事情を詳しく知らない者にはそのおまけ。

事情通にはリアさんをBランクに押し上げた立役者として映っている。


正直此処まで周りの目が変わるとは当初想像もしていなかった。

きっと僕自身が高ランクになればきっと誰も僕を批判しなくなる―――――――――――。



そんな自分の過去を無かったことにする身勝手な発想が一瞬であっても出てくることを止めることはできなかった。

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