外伝 とある勇者の軌跡 別に相手を無視して進んでもいいじゃない。例えば飛び越えて斧を取って。
「まずはレイウス黙れなんて言ってごめん。
アレはレイウスに言った言葉じゃないことは信じて欲しい。
僕の中には…化け物がいる。
―――――――――――恐らくは世間には魔王と呼ばれる存在だ。」
いきなり突拍子もない事を言った僕に2人は理解してくれようとしていた。
恐らく先程の僕の行動がそれを後押ししているんだろう。無言で続きを促してくれている。
「もし、僕がその意思に呑まれた時は殺して欲しい。」
そう言った時に再びレイウスの拳が僕の顔に飛んできた。
「僕が僕でいられる間に。僕が僕の意思にそぐわぬ肉の器に成り果てる前に、
他ならぬ親友の君の手で殺して欲しい。」
衝撃は無い。
拳が目の前で止まっていた。
「本当、なのか。」
「本当だ。
……そうでなければ意思を呑みこませた上級モンスターが破裂する事なんてありえない。」
「…解った。その時はオレが殺してやる。」
「レイウスッ!!」
リアさんが非難してくれるが二人のそのどちらの気持ちもありがたく感じる。
「だから…、だからそれまでは死ぬな。
お前を殺すのはこのオレだけだ。それは譲れない。」
「ありがとう。だからレイウスも死なないでね。」
「あったりまえだ。」
僕は左手で拳を握りしめると顔の前に突き出された拳に軽くぶつけた。
「ちょっといいわね。男の子同士の友情って。
女性向けの小説にも出てくるけど、そういうのとか嫌いじゃないわ。」
リアさん。それは腐ってる方の友情では無いよね?
そんなこんなで僕達は何処にあるか解からない出口へ向かい移動することにした。
そこに血液凝固因子体というモンスターが襲ってきた。
名前の通り相手の血液を緩やかに固めて絶命させるモンスターだ。
ある意味現時点での最高戦力であるリアさんにとっては攻撃を封じられる点でも天敵と言っても良い。
だが―――――――――――
―――――――その時にはすぐ目の前に出口があったので、そのまま僕達は脱出した。




