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外伝 とある勇者の軌跡 ゴブリンとオーク

ダンジョンを出るとちょうど夜が明ける前の時間だった。

今から歩いていけば試験場にちょうどいい時間に着くはずだ。


歩きながらさっきまでの事を考える。

勿論あの女の子の事だ。

あんな理知的なタイプは今まで僕の周りにはあまりいなかった。


転生者と言う記憶を取り戻したのが最近で良かった。

転生者という事で昔は周りの人があんまり頭がよさそうに見えない時期とかがあったら目も当てられない。

流石に相当な失礼な時期が存在していなくて良かったと今では思う。


転生前の知識の多くがこの世界では使えないものが多かったので、

実際論証不可能な知識ばかりを持っていて使える知識自体はあんまりないんじゃ笑えない。

偉ぶっている割には頭が悪いなんてちょっと、いや、かなりカッコ悪いから。


でも元々勉強は比較的熱心な方だったと思う。

母さんが「クリアリプルスの影響を受ける場所にいるなら、

証明できる能力は証明しないと大変よ。」と言っていたし、

その影響をよく解かっていたから。

だからクリアリプルスで教鞭を執っていた元教授のお爺さんに教わったり、

高位学部の最初期段階までは頑張って進んだ。

環境は他のお金持ちの人と比べるとお世辞にもいいとは言えなかったけれど、

勉強は頑張っていたし、元教授のお爺さんが結構影響力があったようで、

次の学部への進学も確定していたんだけど、

如何せんお金が足りなかったので、そこで辞めた。

覚えが良かったのか、いつでも来ていいとは言われたけど。

そんなわけで、僕はある程度必要な学歴と最低クラスの冒険者ランクは持っていて、

なんだかんだで、薬草売りとしてもそれに助けられたことは多かった。





元々ライトリーブスに住んでいた僕達にはあまり関係が無かったけれど、


ランク認定所の冒険者としての『階級(ランク)』とは違い、

総合ランク制度(仮)で、『家柄』、『知力』、『知識』、『魔力』、『体力』、『技術』、『総合戦闘力』、『容姿』、『資産』等が足りず、

若しくは生まれもっての能力が酷く低い上に、成長しても一般的な能力に届かないことが明らかとされた場合、

国家のお墨付きで『価値が無い』とされた人間は、もはや向上の余地なしと見做されたり、

国家に有益、又は有力な保護者がいなかったり、『無能税』を払えなかったりすると、

廃棄民(オーク)』とされてクリアリプルス王国から追放される。


廃棄民(オーク)には、あからさまで不気味な外せない首輪とか、

様々なものが着いている。

それに薬品実験や魔法、魔術等の実験の対象となったりしていて、

普通の人間とは明らかに違うので、廃棄民(オーク)になったら通常は戻れない。



遺伝子異常の人間の為れの果ての子孫である醜劣悪人(ゴブリン)や、

無能の烙印を押されて薬品や魔法などで歪められた廃棄民(オーク)


前世の世界の人が見れば卒倒しそうな内容だ。



ライトリーブスに生まれてよかったと思う。

ライトリーブスにはその制度はまだ普及していない。

なんていったって(仮)だから。

本当に良かった。



最初に魔術的スキャンされた情報に基づいて、

以後変化した部分を自動的に上乗せして、

任意で再度のスキャニングによってアップデートされる『証明カード』というアイテムが冒険者となった時に支給される。

基本的に『カード』と言われればこれか賭け事や占いに使うカードであることが多い。

前世の世界のファンタジーでは、所謂ギルドカードや、ステータスチェッカーと呼ばれるものだ。


この世界では割と差別と言うか区別というか、斬り捨てと言うか、まあそういうことが平然と行われるので、

そのFランクの冒険者としての認定試験の時にも酷く嫌なものを見た。


初めて冒険者として最低ランクである『Fランク』、通称Fランを受けに行ったときのことだった。



横にいた冒険者が僕の隣の列で審査を受けていた時だ。

彼とは一応審査を受ける少し前までは軽く話はしていた。

若干話がかみ合わない人だとは思っていたけれど、

衝撃的だったのは、彼の番が来て能力審査(ステータスチェック)と言う魔法の言葉が響いた瞬間だった。



固有名キムバ・クネトォ

人種 ヒト

ランク 未定 

レベル 2

属性  特になし

状態 ストレス多

体力20 精神・理力5 攻撃14 防御15 知能13 魔力0 抵抗2 器用12 俊敏13

装備 安い服一式

スキル なし

特性 先天性低発達力

(以下のものが含まれます; 先天性低動体視力低 先天性低認識力低 先天性低理解力 先天性低運動能力 先天性低連動力)

並行処理不可

称号 いじられキャラ



酷いものを見た。

いや、彼のステータスが、という話では無くて、

それを公開し、読み上げて、

挙句の果てにその途中で、


「これ以上読むのも時間の無駄だ。

第一お前の為に発行するカードがもったいない。」

そう言われて何処かへ連れて行かれてしまった。


それを見て爆笑する他の認定試験を受けに来た人や、

侮蔑する人を見て、都会って怖いと思ったね。うん。



僕のステータスは敢えて言わないけど、

試験官の人が、

「この世界は3割の有能な成果が7割のお荷物を抱えて生きている。

君がその3割の中に入ることを期待している。」

とは言われた。教育機関でも習った有名な内容だ。

でもその後、

「筋力が足りないな。魔法職系を目指すか、筋力を鍛えたほうがいい。」

とも言われた。

まあ、筋力を鍛えなくてもモンスターを倒してレベルを上げて行けば力も増えるし、

それでいいかなとも思ってる。



あくまで僕の本業は冒険者じゃなくて自家製メインの薬草売りな訳だから、

鍬を振るう力が増せばそれ以上の力入らないし。

僕の叔母さんだって、叔父さんと結婚する前までは、


「私、鍬より重い物、持ったことないんです♪」


って言っていた。嘘は言っていないようだ。

因みに叔母さんは割とダンジョンのそれなりの所まで行けた人らしくて、

『鍬より重い物を持ったことが無い』に間違いはないけど、

片手に1本ずつ、即ち2本の鍬を使って耕す人は叔母さんくらいしか知らない。

因みに冒険者としての全盛期は、指の間に3本ずつ戦闘用の重量鍬を持ち、


『六鍬流のターニャ』として名を馳せたらしい。


未だにその時の基準で物事を話したりするから、

娘までFランクの僕に無邪気にクリティカルな発言をしたりする。


うん。思い出したら悲しくなってきた。

でも、これで先着に漏れていなければ僕も晴れてEランカーだし、

もう危険な事もしなくて済む。

ダンジョンなんてもうこりごりだ。


そうやって考えている内に、試験会場に着いた。




二人を探したけれど、

レイウスもリアさんもいなかった。まだ来ていないみたいだ。

もう少し待っておこう。

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