第3話 レイモンドとノーラ
レイモンド・キャボットの書斎で、三人が紅茶を飲んでいる。
ライラ11歳、資産家キャボット家の養女。
資産家キャボット家の次男で主人のレイモンド、
ライラの叔母でレイモンドの夫人ノーラ。
居心地のいい空間だが、ライラは少しだけピリッとした空気を感じた。
夕食後に話があると言ってレイモンドの書斎に集まったのだ。
「私、この中学校に行きたいんです」
ライラがバルストローネ女子中学校のパンフレットを
レイモンドとノーラに差し出す。
レイモンドは、パンフレットを読み始める。
なになに……。『自主独立』の気風を大事にしている。
それから……
「全寮制なんて!」
ライラは両親が亡くなって、叔母夫婦に引き取られた。
引き取られたばかりのころ、ライラは夜一人にすると泣き止まず、
毎晩ノーラが抱きかかえるようにして寝ていた。
今は一人で寝るようになったが、いまだに心配しているのだ。
「ライラ、私たちに遠慮なんてしないのよ。
……それとも、誰かに何か言われたの?」
ライラは首をふるが……。
叔母たちの負担になりたくない、と言えば叔母がどう言うか
わかっていたので、ライラはどう言えばえいいか、ここ数日
一生懸命考えた。
初代校長で、創設者のバルストローネ女史の本を読んで感動したこと。
先代校長で今の理事長のミード女史の本で、「女性だって選べる」
という考えに共感したこと。
「なるほど、それでライラはミード女史を目標にしたいと
思ったんだね」
「はい。そうです」
「でも、全寮制のところにしなくても……」ノーラは寮生活に
こだわる。
「ノーラ、叔母さんを目標にしたいと言われなかったからって、
すねるものじゃないよ」
「すねてなんて……」
「環境が変わったら、またあの時みたいになるかも知れない
じゃないの……。私はそれを心配しているのよ」
「ライラの人生だ、私はライラの好きにすればいいと思うよ。
でも、決める前に、もう少し学校について知っておいたほうが
いいんじゃないかな?これからの人生にかかわるかもしれないからね」
「はい。そうします」
とりあえず、叔父が賛成してくれて、ライラはほっとした。
ノーラはまだ何か言いたそうだったが、今日はとりあえず話だけ、ということになってライラは部屋に戻った。
話し合いの1回目は、無事に終わりました。
次回は、義理の兄が登場です。
ケインと出会うまでは、なるべく短い間隔で投稿する予定です。




