アクターズ「第十四輪」-北の大地-
この物語はフィクションです。日本国内では未成年の喫煙行為は、法律で禁じられています。ですが、日本が崩壊してしまった社会なので、各地で法があったりしますが、基本的には誰が喫煙しても良いという背景がこの作品にはある為、描写はその様になっております。
アクターズ「第十四輪」-北の大地-
メビウスと調葉師の少女は、あれからまた1週間ほど歩き続けた。途中メビウスの精神状態が不安定になるものの、どうにか平静を取り戻し、気がつけば、村長が言っていた北の国までかかる日数ちょうど歩き通していたことに気がついたのだった。
「これで、村長さんが言っていた一ヶ月歩き通しましたね。ようやく、北の国の領域入りしたのでしょうか。」
「途中物資調達のために村に寄ったけれど、もう一息といった感じね。不思議なのは、村人たちがそこまで動揺していなかったこと。北の国の領域といっても、勢力ごとにその安定度合いは違うのかしら」
「そうなんでしょうか...あ、あそこに道があります。もしかしたら、あそこが北の国の領域内の集落かもしれません!」
「あの村の様子を遠くからだけれど、よく見てみると建築物に使っている素材が少し違う様に見える。もしかすると、ついに北の国入りしたのかもしれないわ。警戒もしつつ、早く行ってきましょう」
「はい!」
そうして2人は足早に道に沿いながら集落へと向かう。すると、やがて入口へと辿り着いた。門番が出迎えた。
「ようこそ、旅の方々でしょうか。ここは北の国入口の村。今は内乱で不安定ですが、幸いにもここ一帯は余裕があります」
「そうなんですか...?僕はてっきり、北の国では地獄の様な様相を呈しているかとばかり...」
「メビウス、思い込みだけで語るのは失礼よ。それで、門番さん。私たちはここに滞在したいと考えているのですが、よろしいでしょうか。お金も持っていますし、決してご迷惑はおかけしませんので」
「分かりました。本当はこの状況ですから、あまり旅人を歓迎する人はいないかもしれません。別の地域から来た難民も多くはないですがいます。くれぐれも、目立つ様な行動は控えるように、お願いいたします。」
そうして門番は2人を通した。2人は村の住民からひそひそと噂話をされているのを耳にしながら、宿泊所へまずは向かって行った。
「やはり、私達はあまり歓迎されてはいない様ね。無理もないわ。余所者が何か厄介ごとを起こしては、たまらないもの」
調葉師の少女は荷物を置くとそういった。
「そうですよね。難民が炊き出しを受けているのも見ました。そう考えると、あの難民が押し寄せている村よりは確かに良い状態ではあるのだろうけれど、油断はできませんね。」
「明日、早くこの村を出ましょう。最低限の物資だけ買って、あとこれから情報収集もしましょう。『特急調葉師』の存在についてと、『三大勢力』についても、情報が欲しい。不審がられないように、情報を集めなければならないわ。買い出しでお金を出した際に、チップを出すというのもいいかもしれない。」
「分かりました。ですが、村長さんからもらったお金もあまり多くはありません。絞って情報を集めなければ」
「ともかく、行きましょう。」
そうして2人は宿泊所から出ると、市場で情報収取を始めた。
「こちらの品物いただきます。少ないですが、こちらを...」
「まあ、いいのかい?悪いわね。聞きたいことがあるなら聞いてくれてもいいのよ」
「ありがとうございます、実は...」
「『特級調葉師...ごめんね、よくわからないんだよ。どんな存在かもわからないし...ただ、三大勢力に関しては、少しわかることがあるわよ」
「本当ですか、ぜひ教えてくださると助かります」
「私は詳しくないのだけれどもね、この地域は『火の鳥』様の元比較的安定している地域で。
ほか二つは厳しい状況にあるんだと。この二つと近々戦いがあるのではないかとは言われているだけど...これ以上はわからないわ。ごめんね。」
申し訳なさそうにいう女店主にメビウスは優しく返す。
「むしろ、こんな状況の時に来てしまった我々も悪いんです。有益な情報をありがとうございました。」
「あいよ、また平和になったら来るといいよ、さっきのお礼もしたいから。またね」
一方調葉師の少女も、買い出しついでに情報収集をしていた。
「タバコ葉と巻き紙で、30000園だね。おっと、お嬢さん、少しお金が多いよ?」
「それはチップです。混乱している中旅人として来てしまったから、せめてもの、といった所です。」
「これは...優しいお嬢さんだねえ。けれど、心配しなくていいんだよ。何せここの領主様である『火の鳥』様は、税を多く取ったりはしないから。」
「『火の鳥』...?もう少し、詳しくお聞かせいただいても...?」
「ああ、その質問なら大歓迎だよ。『火の鳥』様は3大勢力の1人で、まだ幼年だから摂政様がついていらっしゃるんだよ。昔飢饉があった際に、炊き出しを初めてから早10年。今では私達はこの様に、この混乱の中でも比較的穏やかに過ごせているんだよ」
「なるほど...ありがとうございます。『特急調葉師』に関しては何かご存知でしょうか?」
「知らないねえ。んん...?ひょっとすると、ここから近いところに、ネオニコチンタバコ葉を栽培している特別な集落がある。そこで情報がもしかしたら、集められるかもしれない。」
「ありがとうございます。とても有益な情報です。近々そこに向かってみることにします。
「1週間あれば着くと思うよ。そこなら調葉師や喫演者もいるだろうから、きっと何か情報が得られると思うよ」
「分かりました。では失礼します。」
「ありがとよ!」
そういって店主に見送られながら、2人は宿泊所に戻った。
「メビウス、有益な情報は?私はあったわよ」
「僕もです。」
そうして2人はそれぞれ得た情報を交換した。
「『火の鳥』というのが3大勢力の一つで、ここはその領域。だから安定していると。なるほど、門番さんの話とも合致するわね」
「調葉師や喫演者が集まるタバコ葉栽培村か...!それなら何か情報があるかもしれない...。もしかしたら、特級調葉師の方にも会えて、北の国問題が...!」
希望に湧くメビウスに、調葉師の少女は冷静に語りかけた。
「まだ、全てがうまくいくと確定したわけではない。そもそも、なぜ特級調葉師を誰も知らないのか。それは、もともとネオニコチンの能力を復興に利用しようとした人々が、特級調葉師となったから。しかし今では、過去の私も含めチンピラ連中や支配力強化を狙う組織が調葉師を囲い込み、その力を悪用する様になってしまった。それで、憂いた特級調葉師は密かに誰の目にもつかないところで暮らし始める様になったの。だから、早合点しないこと。いいわね。」
「分かりました。そんな歴史が調葉師にはあったなんて...ん、もしかして、それは喫演者にも同じことが...!」
「その通りよ。だからピースマンは、『煙劇団』を解散した。そして、人知れず平和を実現しようと旅を続けている。あなた、ピースマンに会えたのは凄いことなのよ。そして、ピースマンの思いをあなたはしっかり理解して、旅を続けるべきじゃないかしら。調葉師の歴史の様に。」
「そうだったのか...だからピースマンさんは、あんなに熱い思いを秘めていたのか...」
「調葉師さん、必ず『特級調葉師』の方を見つけましょう。多分、彼らの憂いはピースマンさんと同じ様だと思います。僕も強くなります。いずれ出会った時、その心の火種を認めてもらえる様に。」
「私も、調葉師の学習を怠らない様にする。そして、メビウスの実力を発揮して、調葉師の本領を磨く必要性がある。」
「これからが、本当の旅の始まりですね。」
「そうね。明日早く出るから、今日はもう寝ましょう。次の村まで1週間歩くでしょうから、体力を蓄えておかなくてわね」
そうして2人は床に着いた。メビウスは、「特級調葉師」の人と出会った時、何か理想はあるのかとか、何故北の国の内乱を収めたいのかなど、うまく答えられる様寝る前に考えていた。そして夜が明けた。
「さあメビウス、次の村に向けて出発よ。準備はできたかしら?」
「はい、大丈夫です。『特級調葉師』に関する情報があればいいのですが。」
「行ってみないとなんとも言えないわね。2級調葉師の私でさえ、その顔すら見たことはないのだから。」
果たして2人は「特級調葉師」を探すことができるのか。捜索は再び始まるのであった。
このお話を読んでいただきありがとうございます。喫煙者なものでしてタバコの銘柄の違いとか煙の技とかで戦う世界があったら面白そう!と思ってこの作品を描き続けています。
文章が読みにくい、こうすると面白くなる、などのご意見などございましたら是非よろしくお願いいたします。




