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第5章 猫の力
戦いの最中だった。
零の剣が鋼兵衛の巨躯を狙い、銀髪が血を浴びて赤く染まる。
その瞬間――
「ニャー」
静かな一声が、森の中に響いた。
刹那、二人の動きが止まった。
鋼兵衛の脳裏に、前世で猫を助けていたあの雨の夜が蘇る。
零の頭にも、同じように楽しかった記憶が溢れ出す。
二人は同時に刀を下ろし、思わず笑みを浮かべた。
「……馬鹿馬鹿しい」
零が小さく呟く。
鋼兵衛は銀髪を振り、静かに答えた。
「ああ……本当に、馬鹿馬鹿しいな」
二人の足元で、白猫がのんびりと喉を鳴らしていた




