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46話

 野営すること2日。


 30階層の攻略3日目にして、ボス部屋を発見した。


 ボス部屋とは、ダンジョンの階層ごとに居たり居なかったりする、強いモンスターのことだ。

 この最寄りダンジョンは、これまでボスが居なかったが、ダンジョンによっては全階層にボスが居るダンジョンもあるらしい。


 最上階のボスモンスターを倒すことで、そのダンジョンを攻略した事になる。ダンジョンを攻略すると、良いアイテムがドロップしたり、何かと良いことがある、らしい。もちろんダンジョンのレベルにもよるらしく、最上階が3級程度のダンジョンであれば、ボス倒して中級ポーション1個出るか出ないか、といった具合らしい。

 また、ボスを倒せるのは1人1回だけだ。つまり今回私たちがボスを倒した場合、再度ボス部屋に来てもボスは現れず、倒すことができない。私たちではなく、ワルキューレ・コードの皆さんが来た場合は、まだボスを倒していないのでボスが現れ、倒すことができる。といった仕組みだ。


「さ、ボスとご対面だよ!」


 ボスモンスター⋯⋯攻略情報によると、そのモンスターは————


「キイイイイイイイイイ!!」

「レッサー・ヴァンパイアだ!!」


 レッサー・ヴァンパイア。1級モンスターでも最上位クラスに位置する、特級手前のモンスター。しかも、ボスモンスター特有の謎強化により、馬鹿みたいに強いらしい。


 甲高い叫び声をあげたレッサー・ヴァンパイアは、部屋に入った私たちへ一気に距離を詰めてくる。狙いは⋯⋯本能的に理解したのか、サーシャを狙っているようだ。


「この私をスルーして、守護対象に攻撃しようなんて、甘すぎるのよ!!」


 アリサが一瞬でレッサー・ヴァンパイアの前に立ち、その攻撃を盾で防ぐ。そしてカウンターとして剣を振るう。


「キイイイ!!」


 レッサー・ヴァンパイアは、その斬撃に爪を使って応戦する。しかし、アリサの強力なカウンター攻撃を受け止めることが出来ず、大きく後方に吹き飛んだ。

 しかし、腐ってもボスと言うべきか。空中で回転し体勢を整えると、何事も無かったかのように着地。そして、足元の地面にドプンと沈んでいく。


「影潜り!」

「任せてください!閃光弾、投げます!」


 レッサー・ヴァンパイアの能力の一つ、影潜り。やつは影の中に潜り込み、自由に行き来することができる。サーシャのバフ魔法『温熱感知』により、サーモグラフィーの如き視界を持つ私たちには、影に潜ることの潜伏性は低い。ただ、影の中にいると攻撃がしづらいため、対策として閃光(フラッシュ)手榴弾(グレネード)を持ってきていた。


 激しい光がボス部屋を包むと、影に潜り込んだレッサー・ヴァンパイアが地面に引き摺りだされる。


「今です!」

「うん!はぁぁぁっ!」

「喰らえぇっ!」


 私は『雷神の槍』を付与した槍を、セリナは最近習得した連続投げナイフを、レッサー・ヴァンパイアに放つ。投げナイフを数本避けたようだが、私の槍が心臓部を貫き、セリナのナイフが四肢を切り落とした。


「キ、キイイイイイ!!」


 レッサー・ヴァンパイアが怒りの声を上げると、切り落とされた四肢が再生し、心臓に空いた大きな穴も瞬時に塞がる。

 アンデッド系モンスターが持つ不死の力。その最上位に位置する、『死至再生』の能力だ。


「初めて見たけど、マジでクソチートだなぁ」

「殺し切っちゃえば良いんでしょ?」

「再生出来なくなるまで、殺し尽くすわよ」

「や、やります!」


 アンデッド系モンスターは、不死の力により肉体を超再生することが出来る。そのため、腕がちぎれても、10秒もすれば生えてくるのだ。ただ、肉体が機能を停止するダメージを受ける⋯⋯例えば頭部を破壊されたり、許容値を超えたダメージを受ければ、アンデッド系モンスターも死ぬ。

 その最上位の能力、それが『死至再生』。これは死に至るダメージや傷を受けても、一瞬で完全再生するというものだ。ただし、各種族に『死至再生』の上限があり、たとえば魂を狩るアンデッド——ソウルイーター——であれば、狩りとった魂を超える数だけ、死に至るダメージを受ければ殺せる。

 そしてレッサー・ヴァンパイアの場合は、自身に貯蔵されている血液が無くなるまで殺しきれば、私たちの勝ちだ。肉体の再生時、欠損した部位なんかは再生後に動かすため、そこに血液を送っている。だから、何度か殺せば確実に倒せはするのだ。


 そんな事を考えていると、レッサー・ヴァンパイアが大きな金切り声をあげる。


「キイイイイイイイイイイイイ!!!!」


 その声が止むと、ボス部屋には多様なアンデッド系モンスター、亜人系モンスターが大量にポップする。どれも3級以下の雑魚モンスターだが、その数は膨大だ。


『な、なんだこの数!!』

『ざっと見ても100は超えてないか!?』

『フルールにとっては雑魚かもだけど、オーガ・ナイトとか、スケルトン・ウォリアーとか、3級モンスターも沢山いやがる!』

『なんかヤバくない???』


 コメント欄がザワついてるが、幾らこの辺の雑魚が湧いてきたところで、あまり関係ない。問題なのは——


『は!?』

『アンデッドモンスターを壁にして、亜人モンスターを吸血してやがる!』

『おいそれは反則だろ!!』

『しかも、吸血しきった亜人モンスター、アンデッドになってるぞ!!』

『デスコンボすぎるって!!』


 やっぱりそう来たか。モンスターを沢山呼んだ時に嫌な予感がしたが、こうもインチキじみた事をしてくるとは⋯⋯。


 レッサー・ヴァンパイアの『死至再生』を突破するのは、やつの貯蔵している血液を枯渇させる必要がある。しかし、アイツはみるみる亜人モンスターの血を吸い、その抜け殻をアンデッドに変えて、私たちに仕向けている。幾らなんでも酷いんじゃないだろうか。


「みんな!アンデッドは一旦無視!亜人系のモンスターを先に全滅させよう!」

『了解!』


 私たちは、100以上は居るであろうアンデッドの大群を飛び越え、レッサー・ヴァンパイアの餌になり得る、亜人系モンスターを倒しに駆けた。

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