第78話 オタ狼視点
ハッと気づくとサキュバスの遺体が目の前で
血まみれになって倒れていた。
一気に血の気が引く。
冷静になったのがサキュバスのスキル効果が止まっているからだと
わからないため自分を責めてしまう。
でも歓楽街の惨状。それは許せなかった。
やっと自分の居場所だと自信を持って言える場所を
踏みにじろうとしてきたから。
でもこのつかみどころのない女が
本当になにを考えてこんなことをしたかわからない。
ただ己の血に濡れた口元が、手が異様に熱い。
急遽冷静になった状況を前に戸惑うオタ狼の目の前で
サキュバスの体がピンク色に光っていく。
全身を包んだ淡い光がオタ狼めがけて飛び移る。
最初は驚いたがそういうものかと努めて
落ち着いたふりをしつつ周囲を見回し
勝利の咆哮をあげた。
「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
周囲の観客たちも一気に冷静さを取り戻し
勝利して見せたオタ狼の勇姿を讃える。
オタ狼は徐々に進化してその身を変える。
強者に勝利するということは
それだけ経験値をたくさんもらえるということだ。
それはまるでかつていた獅子の魔王を彷彿させる勇ましい姿だった。
ライフを取り込んだことで体表に変化が現れたらしい。
進化するのはスキルだけではないようだ。
体が一回り大きくなりその迫力に観客は息を飲む。
だが、オタ狼は勝利宣言のあと全く違うことを考えていた。
サキュバス、ちゃんと生き返ってくれよ!!
勢いにまかせて食いちぎったとはいえ
ライフが3つあったのだから死なないはずだ。
おそるおそる薄く開いた目を覗き込む。
生気がないにも関わらず薄く幸せそうな表情で空を仰いでいた。




