第74話 なかなか本気になってくれない
手のひらについた血を舐める。
しょっぱい、そして鉄くさい。分身体もなかなかリアルだ。
煽情的な仕草で挑発してみせる。
猫獣人サキュバスが私の他の分身体に運ばれていく。
死なないようにしている見せかけだけの重症。
こっちの能力なんて詳しくわからないだろうから
オタ狼は私があの子を殺そうとしたと思っている。
さぁ、やっちゃってよ!
カッとなり鋭い爪で攻撃してくるオタ狼をギリギリで躱す。
悪魔であるこの体は獣人ほど身体能力はない。
本来はそうなんだけど首から下を今まで変化した中で
もっとも敏捷性があると判断したクモ種の女体に変えている。
この会場や施設全体はピンクの力でできているから
歓楽街では正直、私は無敵なのだ。
世の中いろんな趣味の人がいるんだよ。
肉体的に女郎蜘蛛ってやつかな?
性的な行為と判断されればその生物の簡単な能力なら
この体でも再現できる。
糸を吹き付けてその威力を見せつける。
オタ狼が退いたかわりに後ろの冒険者たちに引っかかる。
縛り上げられた冒険者が周りに助けを求めているが
剣でなかなか切ることができないとざわめいていた。
オタ狼がこちらを見て言う。
「まさか、ここで俺を殺す気か?!」
「そんなことないよ、これもプレイの一環。
手抜きされるなんてまっぴらごめんだよ。
本気で殺らないと、死んじゃうかもね!」
ニッコリ笑ってみせる。
サキュバスってそういう生き物でしょう?
心から相手に夢中になって、すべて奪い尽くされる。
残ったオタ狼のライフ一つ
手を抜いたら本当に奪ってもいいと思ってる。




