第32話 腰抜け
「とっ・・・」
「と?」
「父さん!!父さん!!ローズマリーが!!!」
あちゃー あかん。とても現実的ですが今それダメなやつー。
物の見事にガッカリさせてくれた青年に
感情操作をお見舞いする。
配下と違って効きが悪いので精々数時間だ。
ここまでお膳立てしてやった苦労を無駄にするんじゃねぇ!
「お・・・おおおぉぉぉぉぉぉぉ!俺は強い!かっこいい!」
やりすぎた感はあるがまあいい。尻を蹴飛ばして
騒動の中心に突っ込ませる。
あとは定番の王子がマッチョ姫を救う、の展開だ。
ちゃんと悪者役の人には「覚えてろよ!」と言わせた。
完璧だ。私すごく頑張ったよ。
マッチョレディは助けられた上に貧弱な青年を見て
恋するフィルターがかかったようです。
お幸せに・・・!!数時間後に操作が解けて
俺は一体?!と思う頃にはレディは隣で微笑んでいることだろう。
慌てて出てきた過保護な町長のおっさんの肩をポンと叩く。
「毎度あり♪」
「あ・・・あんた魔法使いかなんかか?!」
「さぁてね、ところでお代なんだけど・・・」
「ああ!金ならたくさん・・・
「お金はいらない!」
キョトンとするおっさんに要件を伝える。
「髑髏渓谷の情報と、大工さんを数人回してくださる?」
髑髏渓谷は名前の通り、髑髏の形に似た岩が
ところどころにあるためについた地名ではある。
その穴が風を通して ひぃぃ ひぃぃ となるため
原因はわかっても誰も近寄らないらしい。
奥の方に封印されしなにかがあるらしいが
踏み入れて帰ってきたものはいないんだそうだ。大丈夫かな?




